-5- 除草
夏場は雑草の伸びも早い。鳥餅は、またか…と、しなければならない除草の苦労を、まだしてもいないのに辛いな…と思った。
次の日は、朝から珍しく冷んやりとした凌ぎよい気候だったから、鳥餅は、作業することにした。広さは100平方mばかりの広さで、そう手間どるとも思えなかったから、暑くなる前に済ませてしまおう…と鳥餅は軽く思った。そのあと、シャワーを済ませ、遅めの朝食をいい気分で味わう・・という寸法の算段である。さて、そうなると急がねば…と、鳥餅は作業用の靴を出した。ここまではよかった。靴を履き終わった鳥餅は除草の道具を何にしようか? と、また動きを止めて思った。道具は電動草刈機と剪定用の大鋏の二つが考えられた。一も二もなく、鳥餅は電動草刈機を出した。草刈機ならすぐ終わる…と踏んだのだった。ところが、である。コトはそう簡単にはいかなかった。というのも、作業を始めたのはいいが、草刈作業がなかなか捗らないのだ。鳥餅は草刈を中断し、草刈機の刃先を見た。いつだったか、前回使ったあと刃先を研いでいなかったため、刃が切れ止んでいた。指先を刃先に当てると、丸くて全然、切れそうになかった。これではな…と、鳥餅はサンダー[電動研磨機]で研ごう…と思った。時計を見ると、すでに8時前になっていた。すでに30分ばかりが無駄になっていた。9時を回れば、夏の熱気が一気に勢いを盛り返すのは目に見に見えていた。鳥餅は慌ててサンダーを出そうとした。そのとき、ふと鳥餅の脳裏に逆転の発想が浮かんだ。選定用の大鋏の方が早く済むんじゃないか…という発想である。研磨に10~15分かかるとすれば、その間にかなり刈れるぞ…と鳥餅は逆転の発想を採用することにした。鳥餅は大鋏を手に草を刈り始めた。案に相違して作業は速く進んでいった。そして15分後、除草はすべて片づいた。急がば回れ・・という逆転の発想は、正にこのことだな…と、鳥餅は実感した。
完




