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-47- 接客指導

 明谷あけたにに言わせれば、今一、分からないのだという。何が分からないのか? といえば、それはレジへの接客指導である。レジとは誰しもご存知のように、スーパーで買物代金を支払うときに対応するレジ係のことだ。では、そのレジ係が接客する何が明谷に分からないのか? ということになるが、それはこれから追々(おいおい)と語ることにしよう。語ってもらわなくてもいい! と思われる方は、適当にくつろいで戴いても一向に構わない。

 その日、明谷はいつものようにスーパーへ買物に出た。買うものが出来たからだが、別に変わったこともなく消耗した品を買うと手持ちの籠へ入れ、レジへと向かった。生憎あいにく、レジのカウンターは買物客でごった返していた。ちょうどその日が連休だったこともあったのだろう。明谷は、まあ、仕方ないか…と思うでもなく、無意識で客列の短そうなところへと並んだ。そして、しばらくは並んでいた。明谷が並ぶレジの後方のレジは係員がいなかった。そのとき、急に店内アナウンスが流れた。

『食品レジが、ただいま大変、混雑しております。お客様には大変ご迷惑をおかけいたします』

 女性アナウンスが流暢りゅうちょうにペチャクチャとくし立てた。明谷は、また思うでなく、『そらそのとおりだ。確かに混雑してる…』と思った。店内アナウンスは、なおも続いた。

『係員は食品レジへお入り下さい』

 そのアナウンスが終わるか終わらないかのうちに、女性レジ係とおぼしき女性店員が走ってきて、明谷の後方のレジへと入った。明谷は、前に並ぶ客が支払いを終えそうな状態で、『やれやれ、やっと俺の番か…』と思うでもなく並んでいた。そのとき、明谷の思いをくつがえす逆転の声がした。今、走りこんだ後方の女性レジ係の声だった。

「あの…こちらへ、どうぞっ!」

 明谷は、うそだろっ! と、はっきり思った。というのも、明谷はすでに次の番で、ほぼレジ前にいるからである。後ろのレジへ移動する間にレジが済むだろうが…と思えたのは、なにも明谷一人ではなかったはずである。

「いいです…」

 明谷は逆転を固辞こじした。少し妙な接客だな…と思えたのは店を出たあとだった。長蛇ちょうだの列に並ぶ一番後方の客の待つろうさっして声をかけるのなら理解できるのだ。逆転した店の接客指導を、明谷はいまだに分からないそうだ。



                   完

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