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-43- 正しい掃(は)き方

 寒くなると北風が吹いて木枯らしを起こす。そうなれば当然、広葉樹の枝葉えだはは色づき、やがては枯葉となって地上へと降り注ぐ。その数のなんと多いことか…と、人々はめ息をきながら大量の葉をき集めることになる。ここで問題となるのが、掃く方向である。風が吹いている日、吹く風に向かって掃く行為は、労力をついやすだけでなく、時間を取られ、せっかく掃いた落ち葉をまた散らされたりして腹立たしくさせるから、やめた方がいい・・という掃き方の結論が導き出される。かといって風が吹く方向に向かって掃けばいいのか? といえば、実は効果面からすると、そうでもないのだ。

『よしっ! あちらから…』

 禿川はげかわは、そう心でつぶやくと北のすみから風の向きに従って南方向へと掃き始めた。最初のうちは順調だった。というのも、風が吹いてどんどんと掃く方向へ落ち葉を運んでくれたからである。

『これは早いぞっ!』

 禿川はまた心で呟きながら、気分を高揚こうようさせて掃き続けた。ところが、である。案に相違して早く終わりそうに思えたそのときだった。状況は落ち葉の山が完成し、禿川は、そろそろ袋に入れよう…としていたときである。一陣の強風が吹き荒れ、あれよあれよ・・という間に元の掃き始めた元の状態へともどしてしまったのである。双六すごろくではないが、振り出しへ戻る・・である。禿川はガックリと意気消沈いきしょうちんし、すっかりやる気をなくしてしまった。そして、もういいっ! と自暴自棄じぼうじきになってやめようとした瞬間だった。禿川はハッ! と気づいた。そうだっ! なにも今、掃かねばならない・・という決めはないんだ…と。そう気づいた禿川はタイミングをずらすことにした。いわゆるバレーボールで使用されるところの時間差攻撃というやつである。この攻撃法でいけば、北風は自然と落ち葉を北から南へと吹き流してくれることになる。すると、掃く労力もいらず、その時間分、他の事をできる訳だ。いわゆる逆転の発想である。すぐ掃いて綺麗きれいに・・という気分にはなるが、そこはそれ、━ 慌てる乞食こじきもらいが少ない ━ と言うではないか…と馬鹿馬鹿しいことを巡りながら、禿川は家の中へと撤収てっしゅうした。

 1時間後、風はやんでいた。禿川は、ふたたび掃こう…と玄関戸を開けた。すると、禿川が予想したとおり、落ち葉の山がすでに南の隅に出来上がっているではないか。禿川は漁夫の利を得た気分になり、これが正しい掃き方だな…と、ニヤけた。 


                   完

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