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-34- 理論と現実
精密に考え出された理論も、現実にやってみると上手くいかない・・ということがよくある。要は、理論と現実は違うということに他ならない。
今から50年以上前の公園である。二人の子供が竹籤に張られた木製紙ヒコーキのプロペラに輪ゴムをセットし、回転させて巻いている。
「その輪ゴム、結構、持ちがいいな…」
「でも、もうそろそろ切れると思うよ」
「いや、まだまだいけるんじゃないか」
「そうかな? 僕の巻き数理論だと、もうそろそろ切れる頃さ」
「なんだ? その巻き数理論ってのは?」
「父ちゃんが言ってた理論だよ」
「紙ヒコーキが理論か?」
「そうじゃないのが理論だけどね」
「どういうのが理論だ?」
「1+1=2だろ。そうなるというのが理論だよ」
「なるほど! で、お前の巻き数理論ってのは?」
「何回、巻いたら切れるかをノートにつけといたんだ」
「それで?」
「数だと、そろそろ切れるんだ」
「いやぁ~、それはどうだろ。まだまだ、いけそうに思うよ」
逆転したその予想は当たっていた。現実には、全然切れなかったのである。切れたのは数ヶ月先だった。
「やっと、切れたよ」
「だろ?」
理論は現実にならないと、逆転してただの考えに過ぎなくなる訳だ。
完




