-24- 動かぬが花
なにをやっても上手くいかないときがある。八方塞がり、手止まり、打つ手なし・・などと言われる状態だ。こういうときは、しよう! と杭を出しても、目に見えない何ものかの力で打たれる ━ 出る杭は打たれる ━ 状態に陥るだけだから無駄である。ここは逆転の発想で、ジィ~~っと動かずに冷静に考え、慌てず騒がず、間違いがない実現可能な[先を見定める]という方策がいい。
夕方の閉店間近い、とある店先である。一人の客がゆったりと店に入ろうとしたとき、バタバタと息を切らせ、後ろから近づく男が声をかけた。
「やあ、物安さん! あなたは、いいですねっ!」
「ああ! これは高値さんじゃないですかっ! お久しぶりです。で、いいとは?」
「いやぁ~、あなたはいつも落ち着いておられ、慌てられたところを見たことがない・・ってことですよ」
「ははは…そんな訳がない。早く動いていいことがあった試しがないからです。いわば、諦めの境地で、動かぬが花・・を決め込んでるだけです」
「なんだ、そういうことでしたか。ははは…私はてっきり、そういう方だと思ってたもので…」
「ははは…何が起ころうと動じない、そんな性格ならいいんでしょうが…」
二人が、[動かぬが花]問答を続けている内に店は閉店のシャッターを下ろし始めた。そこは急いで動かないと、[動かぬが花]では買物ができない。
完




