-23- ズンべラボン
ズンべラボンとは、のっぺらぽうと訳せる関西方言[播磨弁]で、なにもない・・ことを意味する。
戸坂と口橋が、コケコッコ~! と、ニワトリ問答をしている。
「最近、どないでおます?」
「これは口橋はん! さっぱりで、あきまへん。ズンペラボンだす」
「そないなことは、あらしまへんやろ? あんたとこは、ぎょうさん儲けたとゆう話でしたで」
「ははは…そんなこと、ありまっかいな。誰が言いましたんや? ズンペラボンはズンペラボンですがな」
「さよか…。まあ、あんさんが、そこまで言わはるんなら、そうなんでっしゃろがな…」
「信じとくれまっか?」
「ほら、まあな…。ほやけど、ズンペラボンちゅうのも、ええもんだっせ。悪いことおません! 逆転して、よ~う考えて、おみやす。そない大したことない儲け掴んでも、中途半端だけどす。返ってズンペラボンの方が、出直しやすい・・というもんでっせ」
「ほんなぁ~! 人ごとや思うて、よう言わはりますわ、ははは…。そやけど、話してたら、なんか元気出てきましたわ、おおきに」
「ほら、よかった! 頑張っとくれやっしゃ。ほな、このへんで…」
慰めた口橋ではあったが、口橋の店は三日後に不渡りを出し、ズンペラボンになった。一方の戸坂は口橋に慰められ、店はその勢いを取り戻した。ズンペラボンは逆転させる言い方なのかも知れない。
完




