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-21- 食わずと食えず

食えず・・の状況を分析すれば、病状で医学的な症状や経済上に問題がある場合となる。一方、食わず・・というのは、個人の意思によるものだから、いささか横柄おうへいで上から目線の個人的な考えだ。こういう横柄な人は、いつの間にか、食えず、この場合の食えずは経済的に食えない状況なのだが、そちらへ変化しやすい。世の中を生きる上で横柄な性格の持ち主は、高い確率で逆転して損をすることが多い。それだけならまだしも、相手がそれによって損害をこうむるようなことがあると、恨みを買って生命の危機にさらされることだってあるのだ。逆に、食えずの人の場合、病気は別として、苦労した分、人間的に完成されるし、人生が好転する因にもなるから、食える・・へと変化しやすい。

「ダメでしたね、平坂さん!」

「ははは…もう馴れてますよ、山本さん! 私の人生、ずっと食えませんでしたから…」

「今度こそ! と期待しておったんで残念です…」

「ははは…いいんです。ダメだった分、いいこともありましたから」

「ええっ! それは、どうしてです?」

 山本は身を乗り出し、耳をそばだてた。

「同情していただいた方から、以上の応援のカンパや品物が送られてきましたから。有り難いことに、なんとか食えるようにはなりました」

「それは、よかった! ところで、奥歯おくばさんが大変なことだそうですな」

「ええ、私も人から聞きました。あの実業家が食えなくなるとは…」

「そうらしいですな。あっても横柄に粗食は食わなかった人ですが、食えない状況になられるとは…」

「逆転です。いけません、いけません」

「あの方は…」

 平坂は楊枝ようじで口をシーハーシーハーと言わせながら、モノのはさまったような言い方をした。

「なんです?」

「いや、なんでもありません…」

  食わず・・が、食えず・・に逆転することはあるようだ。


                   完

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