-14- 駄目(ダメ)ではない
予定どおりいくだろう…と気軽に買物に出た軽頭だったが、そうは思うに任せなかった。買物から帰り、さて調理しようと思っていると、レシピに書かれた材料が違ったのである。いや、いやいやいや…当然、鯖だろう・・と気軽に考えたのがいけなかったのだ。レシピには鯵と書かれていたのである。迂闊にも軽頭はその部分を見落としていたのだ。軽頭は自分の名誉のために見落としていた・・と誰もいないのに見栄を張ったのだが、要は見損じたのだ。さて、これから・・となると、すでに時間的な余裕はなく、仕方ないな…と買い間違えた鯖で調理をし始めた。逆転の発想でいけば、同じ魚なのだから、多少の味の違いこそあれ、まあそれなりに調理できるはずだ…と軽頭は考えた。それに、逆転して今までになかった味になるかも知れない…とも思えた。
調理を始めて小1時間が経った。おたまでスープを小皿に入れて味見すると、ウワッ! という不味い味だった。やはり鯖ではダメだったかっ! と軽頭は一瞬、諦めかけた。そのときである。軽頭の脳裏に、いや、いやいやいや…まだ、手はあるはずだっ! という不屈の負けじ魂が頭を擡げた。軽頭は、いろいろと調味料を駆使して奮闘した。するとっ! ついに、逆転の旨味がでたのである。すでに調理を始めて3時間が経過しようとしていた。それでも、今までにない味が完成したのである。加えて、腹もいい塩梅に空いているではないか。軽頭は遅蒔きながら、久しぶりの美味しい夕食を味わって満足した。
完




