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おったまげ掌編2

作者: 坐念敷

『保険』


A「うちの保険は健康推進保険と言いまして、病歴、健康診断での異常が少ない方ほど、保険料が安くなるんです」


B「なるほどー、じゃあ私は風邪もひいたことがないぐらい健康なんで、お得ですね」


A「そうですよ~、ただね、万が一病気になられたり、事故にあって健康を著しく損害された場合、ペナルティとして100万円ほど請求させていただきます」


B「ペナルティですか。っておいおい、それじゃ保険に加入する意味ないだろ!」


A「そうだよ、意味ないよ。だってお前はこれから死ぬんだから」ザクリザクリ


B「ギャアアアアアアア!!!」



『お学校』


井上「おら!勉強しろ勉強しろ!」


陰険な顔をした全裸の男が、鞭を片手に生徒たちを机に向かわせている。

40台の机全てに数学の問題集が広げられており、生徒たちは皆必死になって勉強に駆り立てられていた。


井上「お前らちょっとでも偏差値下げてみろ!大焼きいれてやるからな!」


全裸の男が唾を飛ばして喚き立てている中、一人の生徒が恐る恐る手を挙げた。


生徒「先生、あの、この問題を解説して欲しいんですけど...」


井上「ぬぁんやと?」


全裸の男は、不貞腐れたように生徒たちをジロリと睥睨したあと、手を挙げた生徒に凄んだ。


井上「くぉんな簡単な問題もわからんのか。まあええわ、理系失格のボンクラどものために教えたろ」


男は呆れたような、しかし満更でもないような表情で、問題集を手に取り黒板へ向かった


井上「ぬーん!ぬーん!」


男は苦しむような、笑っているかのような、極めて変てこな表情を浮かべて、チョークを指に挟んだまま唸りだした。

男が黒板に向かってから10分たったが、男はずっと変顔をしながら思量に没頭している。


生徒「なあ、ヤツずっとなやんでないか?」

生徒「今なら逃げてもバレないんじゃね?」


少し躊躇ったが、この無意味な勉強に辟易していた生徒は皆、顔を見合わせて同意し、逃亡を実行した。

音を立てないように少しずつ椅子をずらし、背を丸めてそそくさと教室から退避した。教室のドアが開いていたのが幸いだった。


そしてそれから30分後、授業終了のチャイムがなり、全裸の男は我に返った。


井上「ぬーん!この問題は難しい!また明日にするとして...」


男は苦しげにつぶやきながら、徐に振り返り、驚愕した。40人全員が、知らぬうちに消えていた。


井上「ぬぁんゆぁとぅおおおおおおおおおおおお!!!」


男は射精しながら、極めて静かな教室で怒り狂った。


後で井上が知ったことだが、他のクラスでも同様のことが起きていたらしい。

そして生徒たち全員に逃げられたこの学校はあえなく廃校になり、用済みとなった井上は死刑になった。



『偏差値爆発』


マゾ本「うおおおおおおおおお!!」


マゾ本は必死に勉強していた。朝日が昇れば机に向かい、日が沈んでも机に向かい、夜が更けても机に向かった。

ただ、右手にペンを握らせ、一心不乱に問題を解き続けた。手が疲れれば参考書を貪るように読み耽った。マゾ本の偏差値は日を追うごとに、順調に高くなっていった。


マゾ本「うおおおおおおお!!」


そうしてマゾ本は寸刻の遑を惜しんで勉強に没頭し続け、受験に余念なく朝夕を送った。春が過ぎ、夏が過ぎ、秋も半ばに迫った頃、松本の偏差値は極限まで伸び上がった。


マゾ本「うおおおおおおおおお!!」


しかしそれでもマゾ本は勉強の手を休めることをしなかった。今の松本は、己身は勉強に捧げるより他に目的を与えることを知らなかった。松本の脳は、容積の限界まで空気を詰めた風船のように、偏差値に圧迫されている。


マゾ本「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」


そしてとうとう、偏差値の限界を越えたマゾ本の脳は、悲鳴をあげる前に断末魔を迎えた。

机に向かったまま、ペンを握ったまま、マゾ本の脳は爆裂四散し、問題集に脳の破片をぶち撒けた。


マゾ本の努力は全て無意味になった。



『井上の転職チャレンジ』


井上「学校で食堂のおばちゃんにセクハラしたら教師クビになりました。何かいい転職先はないですか?」


斡旋係「そうですね。ざっとこんな感じです」


就職斡旋係の男は一枚の紙を取り出し、井上先生の前でそれを広げた。以下は紙に記載された内容である。


~井上さんの就職可能案件~


・公衆トイレ清掃員 (補欠)

・空き缶拾い

・汁男優 (補欠)

・エロ画像ブログ管理人 (代理)

・犬のフン拾い

・鼻クソ

・クソ

(生活保護の受給は一切認めない。扶養控除などによる免税は一切認めない)


斡旋係「申し訳ありませんが、あなたは派遣社員にすらなれません」


井上「そうですか」


井上先生は悄然と帰路に就いた。そして泣きながらオナニーして寝た



〜〜〜〜〜〜



病院にて


A「Bさん大丈夫ですか?ナイフで刺されたようですが、誰にやられたんですか?」


B「...えっと、誰に刺されたんだっけ。思い出せない...」


A「まあ、それはいいとして、では健康を著しく損害されたので、ペナルティとして100万円頂きます」


B「いや、ちょっとまって。まだあんたの保険に加入してないから!」


A「じゃあ死ね」ザクリザクリ


B「ギャアアアアアアア!!!」


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