キミのコエ
ー走ったー
ーすごく、走ったー
「鷹志さん!」
大声で言った……
職場はざわざわとざわつく
「ごめんなさい!!!」
金子鷹志は大声で言った……
「あの人……絶対に来るんで……許してください……」
と言った後ふりむいて
こっちに歩いてきて耳元で「よく来たな!」と言った後
無理やり手を引っ張った
「すみませんでした!!!」
鷹志さんは頭を無理やり抑え一緒に謝ってくれた
「二度目はないからな……」
と上司は呆れた声を放った。
たぶん……それは俺が泣いてたからだろう……
ー聞けないーと思った……
二度とこの声をー聞こえないーと思ったから泣いていた
……と思う
二日間分の仕事に取り掛かる前に言いたかった言葉を言った
「鷹志さん……」
体が暑い……頬が真っ赤になってる……『鷹志さん』の顔が見れない……
「ごめ、ん……なさ、い……ありがと……ござい……まし、た」
泣きそうな顔をスーツの袖で拭いて……言った
「大丈夫か?」
頭に手を置いて笑顔で言った。
そう言われた瞬間、嗚咽しそうなぐらい涙が出そうになった
ーはいー
心の底から苦しかったのに『好き』が心の中でいっぱいになり頷いた
一歩一歩、自分のデスクに戻る
そして、パソコンの電源を入れて『フゥーハァー』と大きな深呼吸をして……
ーよし!頑張るぞ!ー
と思った