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ヤンデレの幼馴染に需要はあるか?

作者: 気まぐれ

ー1ーーーーーーーーーーーーーーーーー

「なぁ、なぁ、ツンデレとヤンデレとクーデレ、どれが需要あると思う?」


それが俺の親友にして腐れ縁の羽芝和樹が聞いてきた、登校時の朝一番の質問だった。


「て言うか、ツンデレもクーデレも余り分からないと思うんだが」

そう、ツンデレもクーデレも、俺らの学校に居ないから需要もクソも無いと思うのだ。

すると和樹の野郎が熱弁し始めたので完璧にスルーする。こいつは一度始まると止まらない。そして例え聞いていなくとも続けるので、俺は完璧にスルーするのだ。


「て言うかお前、ヤンデレについては何も言わないんだな」

チッ、気付かなくても良いとこまで気付きやがって。これだからカンの良いやつは…


「まぁ、ヤンデレについては色々知っているからな」

色々と理由があるんだよ。色々と。

すると和樹がヤンデレについて聞いてきたのでそれに答えてやるとする。


「ヤンデレはキャラクターの形容語の一つでな、「病み」と「デレ」を混ぜた言葉だ。広義には、精神的に病んだ状態の事で、他のキャラクターに愛情を表現する様子を指すんだ。その一方、狭義では好意を持ったキャラクター(「デレ」)が、誰かを好き過ぎて、次第に精神的に病んだ状態になることを指すんだ。厳密には精神医学的に実証されているわけじゃ無く、ゲームのヒロイン達を分析したプレイヤーから名付けられた事なんだけど「分かったもう喋らなくて良い」」

チッ、お前が聞いてきたくせに。

他にも色々とあるんだぞ?

ヤンデレという言葉が産まれたのは2005年に出たとあるアダルトゲーム「S◯hool Da◯s」からだとか、何人からかは「病み化」「闇化」「黒化」と呼ばれたり…

とまぁこれくらいにして。


「で、なんでお前そんなヤンデレにだけ詳しいんだ?」

「そりゃぁまぁ………」


とととととととと、と音を立てて何かが近づいてくる。誰かの足音なのだが、俺は知っている。このままでは、俺も和樹もヤバいと。


「じゃぁ、俺ちょっと急いでいるから先に行く」

「おいちょっと待て蓮。なんで俺を、お前の親友であるこの和樹を置いて先に行く」

「ちょっと冗談では済まない理由があるんだよ。じゃあ先に行くからな、和樹」

本当にヤバいんだよ。これは先程の「ヤンデレに詳しい理由」でもあるんだから。


と言うわけで俺は離れる事にする。

向かうのは人気の無い狭い路地。

学校の門限はまだ30分程ある。

あぁ、それとサラッと俺の名前が出たな。

俺は肩愛蓮。何処にでもいる普通の高校生……のつもりなんだが、一つだけ俺の人生に"非"日常を仕込む存在……それが


「ねぇレン。

誰と話してたの?」

「別に。ただ和樹と話していただけだが?

だから後ろから離れてくれないか?」


そう、只今俺の背後を取っているこの女こそが俺の幼馴染の1人にして俺に非日常を突きつけてくる元凶、病付恋華(やんつきれんか)だ。

腰まで伸びた綺麗な黒髪が特徴の美人なのだが、一つだけヤバくたらしめる特徴がある。


「なら良かった。もし女の子だったら痛めつけながら問い詰めて、あなたの事を監禁してしまいそうだったから」

………もうお察しだろう。

そう、俺の幼馴染こと恋華はヤンデレなのだ。

そしてなぜ俺が此処まで冷静になれるかと言うと、俺が中学生だった頃まで話を戻す必要があるので割愛する。

例えば、


ー例1ーーー

恋「誰と話していたの?」ゴゴゴ…

蓮「コンビニのレジに女性店員がいただけだぞ⁈」

恋「一瞬でも、蓮の視線や意識を独占した」

蓮「そういうレベル⁈ どうしよう、レベルが高すぎて追いつけない…⁈」


ー例2ーーー

恋「毎日蓮の寝顔を独占する…ズルい」ゴゴゴ…

蓮「お母さんにまで⁈別にお前、数年前は良く俺の事起こしにきたろ」

恋「恥ずかしい…」カァァ

蓮「病んでる奴に見えないっ⁈」


ー例3ーーー

恋「毎日蓮に頭を撫でられる嫉妬する…」ゴゴゴ…

蓮「ペットに嫉妬してどうする⁈っていうか撫でられたいなら言えばいいだろ…」

恋「え…良いの?」

蓮「今回だけだからな」ナデナデ

恋「えへへへへ…」



…最後に変なの入ったが、例を挙げればキリがない。

この間、和樹の家に男女数人で勉強会しに行ったその帰りがヤバかった…


簡単に言うと、家の前で待っていた。

右手に包丁を持って。


「どうしたんだ?その包丁」

「蓮、あなた今日女の子と和樹の家にいたでしょう?」 ニッコリ

「何を誤解しているか察しが付いたから、とりあえずその包丁を直そうか」

「あら?ヤンデレはいつも包丁を片手に持つものでしょう?」

「包丁をヤンデレの標準装備にすんのやめてくれない⁈謝れ‼︎この世の全てのヤンデレに謝れ‼︎」


この時は流石に身の危険を感じたね。

あ、その時はジリジリと追い詰めてくる恋華を避けながら全てを話したから大丈夫です。

お陰で何回トイレに行ったやら、何回質問に答えたかまで、ありとあらゆる行動を分単位で話すハメになった。


え?まだ監禁された時の話が出てこない?

安心せい。まだそういう事はない。まだ。

一応俺は別に何人かに好かれている訳でも無ければ、恋愛小説に良くあるようなサブヒロインも居たりしないので、そうやって恋華が嫉妬するような事態になっては居ない。今の所は。


「わかったか、と言うか和樹は男だぞ?男相手に嫉妬するのかお前は?」

「ええ。私は和樹君と同じ幼馴染だけれども、誰が一番あなたの心の中に居るのかと言われれば私は和樹君、と答えるわ。

あなたの中で私と和樹君の優先度は和樹君の方が上だもの。

だから嫉妬するんじゃない」


これだから恋華は放っておけない。

例えヤンデレだろうと、必ずその理由やらなんやらを冷静に分析する所は相変わらずだな。あとはそのヤンデレが治ってくれれば……


「ほら行くぞ、学校に遅れちまう」

「あら、逃げるの?」

「逃げねぇよ。ありのままを話しているだけだ」

「あら本当。わかったわ」

ふぅ、なんとか誤魔化せた(?)っぽいな。

しかし、此処一年は毎日似たような朝が続いている。

どうしようか?



ー2ーーーーーーーーーーーーーーーーー

いきなりなんだが、此処どこ?

おかしい。今日は朝からいつも通り愛華を退いて学校行って、毎日おなじみの愛華の視線を後ろから喰らって、お昼に愛華が作った弁当一緒に食べて。

昼から満足気味の愛華がいたから快適な授業を受けて。

終わってから家に向かって歩き始めて……そこからの記憶が無い。

いやいやいやいや。

なんでやねん。

今日の愛華は昼にあいつが作った弁当を2人きりの屋上でコッソリ食べたから満足していたのを覚えている。

そうで無ければ昼、愛華の視線に殺されない快適な授業を受けれた筈がない。


ん?愛妻弁当かって?

いやなんでそういう事になる。俺はあいつがヤンデレだって知っているからあいつの誘いに乗っただけであって……

ん?美味かったかって?

そりゃーもう。超俺好みの味。

特にあの卵焼きは絶品だね。いつの間に習ったのか、母さんの味にアレンジを加えて更に美味しく作っていやがる。


………ってなんで拳を振り上げてんだ?

人生満喫しているって?可愛い彼女の弁当貰って嬉しそうだねって?


……OK、お前らが言いたい事は分かったから壁を殴ろうとしないでくれ。むしろ俺を助けてくれ。プリーズ。


…とまぁ、おふざけ(?)はこれくらいにして。犯人は愛華と断定して、動機はなんだ?此処最近はあいつをヤキモキさせるような事はしてないし…何故だ?


そして此処はどこだ?

みた所倉庫のようだが…

しかもご丁寧に腕は縄に繋がれている。これじゃまるで繋がれた犬の気分だ。いや別に首に繋がれている訳じゃ無いけど。しかしこれじゃあ行動範囲が狭まるな…


「蓮、おきてたんだ」

愛華がドアを開けて入ってくる。

少なくとも人気が無い場所を選んだのだろうか、余裕が見える。助けは期待できなさそうだ。

目から光が若干失われかけている所が心配だが…今は聞くことがある。


「なぁ恋華。どうして俺を監禁した?」

そう、俺は監禁される覚えがない。

此処最近はほぼと言っても良いくらい嫉妬させていないし、今日も2人きりで弁当食べて満足した表情だったのを覚えている。

だから俺は、こいつがトチ狂ってこんな事をする理由が分からないのだ。



「そうね…此処最近は前みたいに嫉妬していないし、嫉妬するような事も無いものね…」

「だったら…」

「でもっ‼︎」

急に恋華の声が上がる。

それは、今まで俺が聞いた事が無い声だった。まるで捨てられる前の子犬と言うか…捨てられた時に元飼い主を追いかける犬と言うか……そんな声。



「私ね。嬉しいの。

蓮と一緒に学校行ったり、

2人っきりで弁当食べたり、

色々話し合ったり。

毎日する事が全部楽しいの」

それはここ最近の恋華の心境だった。

今まで俺とやった事全部が、あいつからすればかけがえの無い事なのだろう。


「だからね、これがいつか終わると思ったら怖くなった。

もし蓮が私以外の誰かを好きになったら?

もし私に構ってくれなくなったと思ったら、怖くなったの。

もしそうなるとしたら私は…私は…」

そしてブツブツと俺の名前を連呼し始める。


普通に考えれば、目の前の恋華は怖く見えるだろう。

だが俺は自己嫌悪していた。

何にって?そりゃあ勿論。


「バカだなぁお前。恋華の事が好きに決まってんだろ」

さっさと想いを伝えない俺自身にだよバカヤロウ。






「……本当?この場しのぎじゃ無くて?」

「アホか。本当にお前の事が嫌いだったら、今頃毎朝お前と一緒に登校してないし、毎日お前の手製弁当食ってねぇよ」

そうだ。別にお前はおかしい訳じゃ無いし、どちらかと言うと可愛いぞ。そのヤンデレが無ければこうやって話している事も無かったかもしれんが。


「本当?本当に本当?」

「本当の本当の本当の本当だ」

「多いよバカ」

「それだけマジだって事だよ」


そうでもしなければ分からんだろお前は。


そして恋華が腕の縄を解いていく。

実際に目の前で解いてもらって分かったが、コレ俺の手首に負担が掛からないように結ばれている。

俺の事考えて監禁したのか…ヤンデレながら可愛い奴め。

だから、行動に移してやろう。

俺がどれだけお前の事が好きか。


「恋〜華っ」

「わぁぁ⁈どうしたの蓮⁈」


と言うわけで後ろから抱きついてやる。

可愛い声出した恋華は俺に抱きつかれるがままで、抵抗の"て"の文字も見えない。

こいつ、ヤンデレの癖に自分からじゃないと大胆な事が出来ないのだ。


「ん〜恋華〜」

「んっ、蓮〜」

そして少し抱きしめてやれば子犬のように甘え始める。

コレはアレだ。しばらくは収まらないな。


かくして、俺は恋華と結ばれた。そして近い内に付き合う事になるのだが、それは別の機会に。

始めて読む方は初めまして、連載の方を読んでいただいている方はどうも、気まぐれです。

今回は余り書かない恋愛物を書いてみました。

ハッキリ言うと素人の短編なので、脱字や間違っている部分を指摘していただければ幸いです。


今回これを書いた理由は、連載している「VRのその先へ」でまったく恋愛をしていないからです。ぶっちゃけると。

一応出来るキャラはいるので書いてはみますが、ヤンデレというアブノーマル(?)なキャラを使って執筆してみました。


少し前に行ったように、連載小説を書いているので読んでいただければ嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] とても甘いお話で良かったです。 [一言] もう少しだけでも続き見たいかも・・・ (甘々な二人を見た周囲(友人など)視点とか(笑))
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