決戦!鋼の精神のうっかりドラゴン!!
高々とそびえ立つ魔王城の最上階の広大なホール。窓から覗く異様に大きな月の照らす白々とした明かりの先、蔦の這う歪な玉座にその男は座っていた。
狂気に染まった笑みを浮かべ、身の毛もよだつ禍々しい気配を漂わせる長身痩躯の男。
こいつが…この男こそが、我が宿敵、魔王だ!!
「フハーッハッハッハッ…げフゴホッ(力んでむせた)…よくぞここまで辿り着いた!!冷凍大根の勇者よっ!!」
「魔王…美少女ちゃんの命を奪ったその罪、贖ってもらうぞ!!」
「その通り……魔王、貴様だけは断じて許せないのである。」
フロちゃんも横からおやつを奪われた犬の様に(犬だけど。)激しい怒りを露わに唸り声を上げる。
「貴様が美少女の命を奪ったおかげで『和解した』とか『改心した』的に茶を濁す予定が大きく狂ったではないかっ!!ストーリーと心情に筋を通すならば美少女罪は裁かねばなるまいっ!! だがこんな薄っぺら大根勇者でどうやって魔王を倒せと言うのだ?! 本当にマジでどうしよう??!」
あんまりだぁぁぁっ!! 俺の扱い酷すぎるぅぅぅっ!!!
「俺ってそんなに弱いのか?! そういやレベル上げ仲間集めもしてないよな……。ってそんなに言うなら話増やして大逆転の伏線張っときゃいいだろうがーっ」
「とりあえず完結を急いでいるのだ!急ピッチでの『ネタ神降ろしの儀式』の負担はキツうてマジヤバイのであるっ!!」
『ネタ神降ろしの儀式』……
ネタ電波を受信する神憑り放心状態、つまりアドレナリン大量ぶっ放の深夜テンションで『ウェイウェイ♪』なノリをキープすること。
後遺症として脳内麻薬が抜け切れず顔面ヒャッハー☆な生命体が一体 リアル世界を闊歩する事案が発生する。
……通報しないでください……。
「だが貴様の命運もこれまでだ。この私が直々に、貴様の肉体を切り刻んでやろうっ!!」
本能的な恐怖を揺り動かす咆哮。そして魔王の体は見る見るうちに変化を始める。
黒光りする鱗に覆われた翼持つ爬虫類。ブラックドラゴンだ。その体躯は容易に大型獣を超え ――否、更に大きく膨れ上がる様子に、俺たちは慌てて魔王から距離を取った。
床の軋みが聴こえそうな程の圧倒的質量、首を傾けようやく窺える全貌は、ホールの頂にまで達し、遂には……
ゴイィィィィィンッ!!!
……あ、天井に頭ぶつけてる。
「(ヒソヒソ)今のは痛そうなんだが。振動がこっちまで伝わってきたぞ。」
「パラメータを確認したところ、HPがごっそり持ってかれてたのである。」
魔王はしばし硬直すると、今度は体のサイズを一気に縮めた。(とは言え、未だ脅威の巨体である。)
そして何事も無かったかの様にしれっと話を続ける。
「さあ勇者よ、我が力、思い知るがいいっ!!」
スルースキルカンストだとっ!? 恐るべき精神力、さすがは魔王だ……っ!!
だが、使命の為、美少女ちゃんの為、そして何より作品完結の為、俺は魔王を必ずや打ち滅ぼす!!
俺は怯まず、冷凍大根を振りかぶりブラックドラゴンに戦いを挑む!!
バキッ!グシャッ!ザクッ!! ……俺、死んだ!!
「リセット&ロードである。(ポチッ)」
ドカッ!ゴスッ!ボコッ!! ……俺、死んだ!!
「リセット&ロードである。(ポチッ)」
ふにゅっ!ぷにっ!むにっ!! ……俺、しん…
「リセット&ロー…」
・
・
・
「「だ、ダメだ……全然勝てねぇぇぇっ!!」」
脳内ではラストまで組み上がってます
でも文章起こすのしんどいわー 文章書く人すごいですわ
ああ、空が回ってる…がくり。




