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プロローグ

今、我々が暮らしている世界とは異なる世界。

幻想の生き物が、海、陸、空を闊歩し、魔法と呼ばれる不可思議な現象が存在する、所謂ファンタジーとも言う世界。

そんな世界を、彼らなりに精一杯に生きる人々がいた。


ノータグ暦876年 7月7日


この世界における国家の一つ―愛と平等の女神クレーを崇拝するクレー教を国教とする、聖キアス王国。

そこに聳え立つ、堂々たる国王の居城―王城へと向かう若者達がいた。

ある三人組は、お互いに競い合うようにして走っていた。

ある者は、帽子を目深に被り、一目を避けるように、足取り重く歩いていた。

ある者は、クレー教の教本を片手に、人々に慈愛の微笑みを振りまきながら歩いていた。

ある者は、屈強な騎士達に周囲を固められた、華美な馬車に乗っていた。

ある者は、身なりもそこそこに、慌てて家から駆け出していた。

彼らが向かう王城―女神クレーの夫である太陽神リーンを祀る、15日間にも及ぶ太陽祭を前日に終えたそこでは、聖キアス王国軍学校の入学の儀が行われようとしていた。

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