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週末は異世界で~俺的伝説の作り方~  作者: 三毛猫
第二話「異世界を歩こう」
43/246

えぴろーぐ

 まおちゃんが、日曜の夜に始まったと言っていたスレッドが表示されなかった理由はひどく単純な物だった。

「俺が日曜でまおちゃんが月曜って言ってたら、普通は一日ずれてるって思うよなぁ……」

 いろいろな物を全て省略し、簡潔に語ってしまうと。

 ――八日、ずれていたのだった。




 そのことがわかるまで、色々な可能性を考えた。

 俺の認識が間違っていてまだ土曜日である可能性、これはすぐにテレビやPCの日時を確かめることで俺の認識に間違いがないことは確認できた。

 掲示板の画面は見せてもらったし、わざわざ俺を騙すためにHTMLで似たような画面作成したなんてことも考えにくいので、掲示板の該当スレがニセモノであった可能性は排除する。

 まおちゃんの認識が間違っていてもっと先、例えば火曜日だったりする可能性。これは日頃あまり曜日を意識することの無い人間ならありえそうだったが、学生であるならば授業の時間割であるとか普段から意識するものなので考えにくい。

 そこまで考えて。まおちゃんの言う月曜日がまだ先の可能があるということにすぐに気がついた。

 俺がルラとレラに出会ったのは連休前、11日の金曜日だった。

 ハッピーマンデー制度で14日の月曜日が祝日になり、12~14が三連休になっていた。

 俺が勇者候補生のスレッドに初めて書き込んだのは異世界から帰って来た後、つまり14日の夜になる。実際には零時を回っていたので15日の火曜日深夜ということになる。まおちゃんが俺の勇者候補生としての書き込みを知っていた以上、「14日以前の月曜日」であるという可能性は無い。

 そしてまおちゃんに会ったのは、俺の認識では20日の日曜日の昼だ。まおちゃんが言っていた月曜日というのが正しいのであれば、可能性があるのは21日、28日、翌月の4日……。流石に何ヶ月も先ということはないだろうし、それ以上先は考慮する必要はないだろう。


日 月 火 水 木 金 土

    01 02 03 04 05

06 07 08 09 10 11 12

13 14 15 16 17 18 19

20 21 22 23 24 25 26

27 28 29 30 31


 カレンダーを眺めながら考えて、よく考えたらすらちゃんが知ってるんじゃないかということに思い当たった。

 そうして週末、26日の土曜日にルラレラ世界を訪れてすらちゃんに話を聞いた結果、まおちゃんが相談していたスレッドが立ったのは27日の日曜日、俺と出会ったのは28日の昼であったことがあっさり判明してしまったのだった。


 そこまでしてそのスレッドを確認したかったのには理由があった。

 まおちゃんが見たという「鐘楼の下の噴水に行け」という書き込み。あの書き込みがなければまおちゃんは俺達と会うことが出来ず、現実世界に戻ってこられなかったかもしれなかった。

 神殿のメラさんが把握してたっぽいので、実際にはそっちのルートから連絡が来て合流できたのかもしれなかったが、それでも未来が変更されてしまうという可能性はつぶしておきたかった。

 ……掲示板にまおちゃんの言っていたスレッドが表示されなかったとき、一番最初に疑ったのは俺の行動のせいで未来が変わったんじゃ、という恐ろしい考えだった。

 ルラやレラは「だいじょぶなのー」と無責任に笑っていたが、実際にまおちゃんに見せてもらった、あれを書いたのが俺であったなら、俺はその書き込みをしかるべきタイミングでしなければいけないのではないだろうかと思ったのだ。




 そして今は27日の日曜日の夜。早目に異世界から戻ってきた俺は、PCの前で待機していた。

 キーワードが長いので「魔王」だけで検索する。

 そうしてそのスレッドが、表示された。


【教えて!】魔王ってどうやって生活してるの?【えろいひと!】


1 名前:魔王ちゃん[] ID:LdesMgj8

  異世界で魔王やらないかって言われたんだけど、

  魔王ってどういうお仕事だか知ってる人いる?

  ちょっと上向いてきたけどまだ就職とかきびしーし、

  ちゃん生活できそうなら魔王になっちゃおーかなーって思うんだけど。


「……ネタすれかいっ!」

 思わず空中にツッコミを入れてしまった。

 しかし、何度か更新しているうちに少しづつ書き込みが増えてゆき。

「……あれ、もしかしてこの魔王ちゃんってスレ主が、まおちゃんなのか?」

 電話で魔王に選ばれたとか言ってたあたりでは、詐欺にだまされたかわいそうな子だと思っていたが、電車で異世界に行くとか、そしてモンスターを仲間にする能力があるとか聞き覚えのある話が出てきた時点で本物だと思うようになっていた。

「……魔王変身セット、すらちゃんでコスプレしてたのと色違うけど同じだし」

 あれ、まてよ? もしかしてずっと「まおちゃん」だと思ってたけど「魔王ちゃん」って言ってたのか??


 結局その日は書き込みは行わず、スレ主の魔王ちゃんが落ちた時点で俺もスレッドを閉じた。




 翌日、28日の月曜日。俺は仕事があるのでいつものように出かけた。

 向こうとこっちの時間が完全に一致しているものなのかどうかはわからなかったが、確かまおちゃんに会ったのは昼を少し回ったくらいだったから、昼休みで間に合うだろうか。

 流石に仕事中にスマホをいじっていたら怒られてしまう。今日は午前中打ち合わせもあるしな。

 ……なんて思っていたら打ち合わせが伸びて、昼休みがつぶれかけた。

 慌ててスレッドを開くと、最新の書き込みに闇神メラさんとドラゴン少女リアちゃんの写真が貼られていた。

 ……今神殿にいるのか。確か神殿から書き込みを見て慌てて鐘楼の下の噴水のとこに来たっていってたよな。うわ、ぎりぎりじゃないか。


266 名前:既にその名前は使われています[] ID:YouMgs67

  >>257 スレ主見ているか? 今すぐに街にもどれ。

  中央の鐘楼側に噴水がある。そこへ急げ。


 慌てて書き込んだ。文章が前に見せてもらったものと同じかどうかは覚えていなかった。

 すぐに行こうとしなかったので、早く行けと続けて書き込む。

 ……これで一安心、かな。

 落ち着いたところで、昨夜読んだまで戻り、スレッドを順に追って行くことにする。


 まおちゃんって、掲示板とかだと普通に会話できるんだな。面と会って話すのが苦手な、対人恐怖症とかなんだろうか。俺と話すときだけ妙に小声だったから、男性恐怖症の可能性とかもあるが。


 ……寧子さんまで出てきてるし。てかねこみみツクールってなんだそれ。


 まおちゃん、俺達と出会うまでに、ずいぶん冒険らしい冒険してたみたいだな……。

 スライムに襲われて、仲間にして、リアちゃんと空を飛んできたりとか。ゲロイムと戦っただけの俺なんかよりはるかに冒険してるっぽい。ちょっとうらやましい……。


 スレッドの流れを追っているうちに20日、日曜日の俺達と出会ったようだ。

 しかし、気が付くともう仕事に戻らなくてはならない時間になっていた。

 くそ、昼飯食い損ねたな……。午後も打ち合わせの続きだから抜けるわけにいかない。


 午後からの打ち合わせの最中、不意にメールを着信した。

 これはあれか、まおちゃんとの最初のアドレス交換のときのやつか。

「……続きはまた、後日ということで」

 周囲に断りを入れて休憩室に逃げ込む。いや煮詰まってたというのもあるけれど。

 ……別に今すぐ見る必要も無いんだけどな。



 件名:よろしくです

 まおちゃん


 結真桜理です。ゆいまおうりと読みます。

 でも、まおちゃんって呼んでくれると嬉しいです。

 改めて、よろしくお願いします。



 チカチカする絵文字がいっぱい入ってはいるが、内容自体はいたって普通のものだった。返信しようとして、確かあの時メールの返信ってなかったよな?と思い出して止める。

 スレッドを追っていくと、不穏な書き込みが。



371 名前:勇者まおちゃん[] ID:zgTas64a[51/51]

  うふふ。これでどらごんのりあちゃんや

  すらいむのすらちゃんと別れなくてもよくなったんだもん。

  ……ついでに週末勇者さんを油断させてこっそり。

  正体を隠して勇者と一緒に旅する魔王とかもいいよね……?!

  なんかとってもワクワクしてきた。



 ……おい、まおちゃん以外に黒いな。魔王のコスプレして「我のものになれ!」って、あれまさか本気だったんじゃないだろうな?

 掲示板にいくつか書き込みをする。

 仕事があるのでずっとは掲示板を追えない事、メールがちゃんと届いたこと、無事に帰りついたら連絡が欲しいこと、などを書きこんでスレッドを閉じる。

 時間的にリアちゃんと手合わせする前くらいだろうか。

 あのあと神殿で食べたごちそう、うまかったなぁ……。


 昼飯抜きのすきっ腹を抱えながら、俺は仕事に戻った。




 20時半ごろ、無事に帰りついたとまおちゃんからメールが届いた。

 あの日俺が帰りついたのは21時過ぎだったから、まおちゃんの家からは俺の部屋より異世界に近いのだろう。アドレス交換のときにも返信はしていなかったので、俺は『これからよろしくな』と短く返信をした。


 しかし魔王と一緒に冒険とか、ちょっと面白くなってきたかもしれない。

 次にまおちゃんと冒険できる日を楽しみにしながら、俺はそっとスマホをテーブルの上に置いた。

 第二話終了です。ここまでお付き合いありがとうございました。

 思いつきと悪ノリだけで書いてるものですから、最後ぐでぐでになっちゃってもうしわけありません。

 最初は掲示板もなく8くらいで終わる程度の短いものの予定だったのですが、現時点で閑話含めた第一話の文章量超えてます……。人魚さんに泳ぎ教えるだけ、最終的には浮き輪でおーるおっけーな話の予定だったのですがいったいどこでこうなったものやら。

 今のところ三つか四つか短いのをはさんで第三話の予定です。

 13とえぴろーぐの間のお話の予定です。

 「世界はXXで出来ている」 セカイツクールをいじってみるお話。

 「さいしょのいっぽ」 人魚のリーアに歩き方を教えるお話。

 「まずは酒場でいっぱい」 リアちゃんとすらちゃんに街を案内してもらうお話。

 もしかしたら「ゆうしゃかんさつにっき2」や大分キャラ増えたので「登場人物紹介」とかやっちゃうかもしれません。

 タイトルは仮なので複数まとめて書いちゃうかもしれません。



 あと第三話はまだほとんど白紙状態だったり。

 あと妖精さんと自動人形と樹人さんを出したいのですが、すでにキャラ多すぎ状態なのでどうしようかと。

 ・みぃちゃん、リーアの秘密に迫るルート

 ・妖精さんと自動人形が仲間になるルート

 ・勇者候補生の異世界に遊びに行くルート

 今の所3番目のルートになる可能性高いです。

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