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週末は異世界で~俺的伝説の作り方~  作者: 三毛猫
閑話「それぞれのエンディング」
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月夜の秘め事

ちょいエロシモネタ注意。保健の授業的な?

 ――リーアのご両親にご挨拶をした後。

 リーアはご両親といろいろ積もる話があるとのことで、しばらくルラレラ世界に残ることになり、ティアも付き添いで残ることになった。

 さらにはりあちゃんまでも、何か用事が長引いて残るのことで、行きは華やかだったのに帰りは俺一人という寂しい帰宅となった。



「……ただいまー」

「おかえりなのです?」

 部屋に帰り着くと、まだ目の下にくまのあるみぃちゃんがちょっと首を斜めにして出迎えてくれた。

「……たろーひとりだけなのです?」

「ああ、ティアとリーアとりあちゃんは、今日は向こうに残るってさ。俺は明日仕事だから帰ってきたけど」

「……ちょうどよかったです」

 不意にみぃちゃんが、俺に身を寄せてきゅ、と抱きついてきた。

「え、どしたのみぃちゃん?」

 みぃちゃんは普段、手を握ってくることはあっても、急に抱きついてくるようなことはあまりしてこない印象があったのでちょっと戸惑っていると。

「お願いがあるのです。今晩は、窓を開けっ放しにしておいてほしいのです」

 みぃちゃんが奇妙なお願いをしてきた。

 もうすっかり冬といってもいい季節なので、窓を開けっぱなしにするのはちょっと寒い。それに防犯上も問題があると思う。……思うのだが。

「いやじゃなければ、理由を教えてくれる?」

 ぽん、とみぃちゃんの頭に手を置いて、軽くなでる。

「別に、たろーに話すのは嫌じゃないです。でも、他の住人には知られたくないのです」

 住人といっても、二手に分かれて住んでるからりあちゃんと、ルラレラくらいだろうけど。

 ルラレラには隠し事とか無理だし……とするとりあちゃんが居なくて、都合がよかったってことなのか。

「ん、他の人には内緒にするよ」

 頷くと、みぃちゃんが俺に抱きついたまま話してくれた。

 要約すると、飛頭族の種族的な特性により、満月の夜には首を切り離して空を飛びたいという欲求に駆られるらしい。さらには獣族の種族的な特性により、満月の夜には少し気が高ぶってしまうのだという。

 まとめると。

「……首を切り離してお散歩している間、身体の方をしっかり守っててほしいってことかな?」

「お願いしてもいいです?」

「ああ、かまわないよ」

 っていっても、みぃちゃん以外には俺しかいないわけで。守るも何もない気はするんだが。

「……別にたろーなら、私の身体に悪戯してもいいですよ?」

「そんなことしないからっ!?」

 ちらっと浮かんだよからぬ妄想をみぃちゃんに察知されたらしい。

 でも大丈夫だっ! 俺はねこみみには弱いがロリコンじゃないからなっ!




 俺は闇神神殿で夕飯は済ませてきたし、みぃちゃんも既に晩御飯は食べたらしく、風呂に入って身を清めるとさっそくみぃちゃんはお散歩に出かけることになった。

「じゃあ、お願いするです」

 そう言って、いつもより早い時間にみぃちゃんがベッドに入った。

 しばらくすると、首だけがふわふわと身体から離れて浮かび上がってきた。ぴこぴこと羽ばたきするように動く三角のお耳がかわいすぎる。

「いってらっしゃい。こっちは夜でもあちこち明るいから、人に見られたりしないように気をつけてね」

 俺がそう言うと、みぃちゃんヘッドがふわふわとこっちへ来て、俺の耳たぶをかぷりと噛んだ。

『大丈夫なのです。ルラとレラに認識阻害をかけてもらったのです』

 頭に声が響く。

「そっか。じゃ、お散歩楽しんでおいで」

 首だけのみぃちゃんのお耳をなでてから、そっと抱きあげて窓から放つ。

 行って来ますのかわりに、ウィンクを数回してからみぃちゃんがぴこぴことお耳を動かしながら飛んでいった。

 冷静に考えると、ひどくシュールな絵面だな。

「……さて、俺も寝るか」

 ティアがいないから、ルラレラもこっちで寝るのかなと思ったが、寝る前に声をかけてみたらどうやらまだリーアの動画の編集中らしかった。前の動画はぱぱっと作った印象があったけれど、今回の動画はかなり調整が難航しているらしい。

「れいてんさんびょうずれてるの……」

「く、よくみたらこのコマ、デッサン狂ってるのっ!」

 徹底的にこだわって動画を作っているらしく、歌とアニメの動きのタイミング合わせなど、何度も何度もリテイクしまくっているらしい。

 ……まあ、がんばれ。

 セカイは光るウィンドウを操作するだけで作っちゃうのに。動画一本でこんなに手間かけるものなんだな、とちょっと不思議に思った。



 いつもは床に布団を敷いて寝ているみぃちゃんだが、今日は俺のベッドで寝ている。

 なぜかというと、「ちゃんと守っててほしいです」ってミィちゃんに言われたからで、つまり、抱きしめててくれって言われたからなんだけど。

 ……俺の自制心を試されるときが来たっ!?

 首が離れているときは胴体の方は完全に意識がないらしいし、感覚もつながってないのだとか。だから、ちょっとくらい触っても絶対にばれることはないんだろうけれど。

 ……大丈夫、俺はみぃちゃんのことは好きだけど、変な気を起こしたりはしない。だいたい、もしもその気になったとしたら、ちゃんと意識のあるみぃちゃんといちゃいちゃしたいしな!

 ふぅ。

 一度大きく深呼吸をして。

「……お邪魔します」

 自分のベッドなんだけどな、と苦笑しながら布団の端を持ち上げると。

「……って、みぃちゃん、服着てねえっ!?」

 あわててみぃちゃんの身体に布団をかぶせた。

 ベッドに入った後で脱いだのか。ちらりと見えた白い肢体は何も身につけていないようだった。いや、正確に言うと。以前俺がみぃちゃんの首の断面がグロいと思ったせいだろうか。

 首の断面にかぶせるように、お団子にした髪にかぶせるような、ドアノブカバーみたいな感じのものが装着されていた。リボンとかついてて、ちょっとオシャレだ。首の断面にかぶせられていることを無視すればだけど。

 しかし、それがまるでプレゼントを包むリボンのようで。

「……まさか、これ、みぃちゃんワザとじゃないだろうな?」

 俺がつい手を出してしまって、既成事実を作ってしまうのを期待して?

 いや、それこそ自意識過剰ってもんだろう。

 最初にみぃちゃんに、秘密を告白されたときこそ、感極まったというか抱きつかれて顔中舐めまわされたけれど。あれ以来、前と同じように俺の脚の間にちょこんと潜り込んでくることはあっても、それ以上を求めてくるようなことはなかった。

 ……むしろりあちゃんのほうが時折、無防備に天然でアタックかけてくるからやばかったりするんだが。風呂上りに素っ裸で出てくるのは心臓に悪いからやめてほしい。

 いや、今はみぃちゃんだ。

 裸に動揺してしまったが、みぃちゃんだからこそ変な意味はないと思いたい。

 だから、うん。俺も変な気を起こさずに、ちゃんと守ればいいだけの話だよな。

「……」

 意を決して、布団をめくり上げずにそろそろと足からもぐりこむ。

 流石に、裸のみぃちゃんを抱きしめるわけには行かないし。

 そっと、探るように手を伸ばしてみぃちゃんの手を握る。大丈夫、変なとこには触れてないはずだ。

 暖かいそのぬくもりを感じながら、俺は目を閉じた。

「……おやすみ、みぃちゃん」

 ちゃんと眠れるか、自信はなかった。




 いろいろあって疲れていたせいだろうか。あるいは、単純にいつもより早めにベッドに入ったせいだろうか。いつもより大分早い時間に目が覚めた俺は、冷たい朝の空気にを肺に入れてぶるりと身体が震えるのを感じた。昨晩は窓開けっ放し……だったしな。

 窓の方に目を向けると、帰ってきたみぃちゃんがちゃんと戸締りしたらしく、カーテンが閉まっていた。

 ……ああ、朝飯作らなきゃな。

 最近は、りあちゃんが家事をしてくれていて、朝食なんかも用意してくれていたが。今日は自分でやらないといけない。

「Lel be mi Ell moaza,emm.....Potestsf.」

 どこかから聞こえてくる、不思議な言葉。みぃちゃん、だろうか。

 ぼんやりとした頭で。その響きに耳を傾ける。

 るる、るるる、と小鳥のさえずりのようで小さく心地よい。

 聞いたこのよのない、知らない言葉だ。セラ世界も日本語が通じる世界だったはずだけれど、どこの言葉なんだろう。リーアが歌っていた不思議な歌の歌詞の言葉に似ている気がする。

 後で聞いてみようか。

 起き上がろうとして、胸に感じたやわらかい感触にちょっとどきりとした。

「……ん、おはよーなのです。たろー」

 どうやらみぃちゃんは既に元に戻っていたらしく、ちゃんと首がついた状態で。


 ――裸のまま、俺に抱きついていた……。


 って、なぜか俺も服着てねえっ!?

 いや、下はちゃんと穿いているが、作務衣の前を解かれて、みぃちゃんの小ぶりなお胸がダイレクトに俺の貧相な胸板に押しつけられていた。

 ふにょん、というやわらかさがやばすぎる。

「ちょ、みぃちゃん。離れてくれる!?」

 お、男の朝の生理現象ってものがありまして。だから、これは、決してみぃちゃんに劣情を抱いたせいではないのです。ほんとだよっ!?

「んゆ、せっかくの機会なので、有効活用するのです」

 んー、と伸びをするようにして口を突き出してきたみぃちゃんが、そのまま俺にキスをした。

 この状態で、拒むのもなんか違う気がしてそのまま受け入れると、ざらざらした舌が俺の舌とからむようにチロチロと口内を嘗め回してくる。

 ドキドキとお互いの心臓の鼓動までも感じられるほどにくっついたまま。もしかしたら、命までもがひとつにつながったような錯覚を感じながら。


 ――俺は、ただその心地よさに身をゆだねた。


「ん」

 しばらく無心に俺の口をむさぼったあと、ようやく満足したようにみぃちゃんが顔を上げた。

「……子供は、なんて名前にするです?」

「ぶはっ」

 ちょ、記憶にないけど、俺、みぃちゃんとやっちまったのかっ!?

 無責任なことはしたくないけど、マジデ?

「ん、たろーとはこれで三回目なのです。一回では出来なくても、そろそろ当たってもいい頃なのです」

「しかも、三回もっ!?」

 ってゆーかそんな記憶まったくないんですがっ!?

「にぅ? 子種なら、今もらったですよ?」

 不思議そうに、お口をもにゅもにゅしながらみぃちゃんがごくりと唾を嚥下した。

「……?」

 えーっと、もしかして。

 みぃちゃん、よく子作りとか、子種欲しいとか言ってるけど。

 ……性的な知識って全然なかったりするんだろうか。

「む、失礼なのです。私は子供じゃないのです。男と女が裸で抱き合うのが子作りなのです」

「いや、それはそれで間違ってないけど」

 微妙に正しくもないよね? 抱き合うだけじゃないし。

「男が興奮して子種を出すのです。女がそれを体内に入れると、子供が出来るのです」

 むふー、と息を吐いてみぃちゃんが指で俺の胸をつついた。

 まさか、みぃちゃん、よだれイコール子種と思ってる? そりゃ確かに興奮すると唾でてくるけどさっ!?

「……それ、もしかしてロアさんあたりに吹き込まれた?」

 間違っちゃいないけど、正確でもないってゆーか。ロアさん自身がなんかそっち方面では箱入りっぽい感じだったし。まさかあの人も、その程度の認識しかないんだろうか。それとも、みぃちゃんにはまだ早いとでも思っていたのかな?

「……違うのです?」

「えーっと……」

 どうしたものだろう。希少種族を繋ぐのが目的なみぃちゃんが、その手段を知らないのは問題な気もするけれど。純真なままでいて欲しい気もするし。

「……教えて欲しいのです」

 ぎゅう、とみぃちゃんが身を寄せて、俺を見つめてきた。

 あ、やば。

 どうしようか、と悩む間もなく。一瞬、想像してしてしまったソレを、みぃちゃんが読み取ってしまったらしい。

「……ひぅ」

 顔を真っ赤にして。ちょっとおびえるように、俺から離れた。

 少しショックだ……。いや、みぃちゃんを前に、みぃちゃんをモデルにしたあんな想像を一瞬でもしてしまった俺が悪いんだけど。

「そそそ、そんな、ことをする、の、ですっ!? 無理、無理なのです! ぶっすり、突き刺さるのですっ!?」

「しないしない! みぃちゃんの嫌がることなんてしないよっ!?」

 暖かなみぃちゃんの身体が離れてしまったことに少しの寂しさを感じながらも、これ幸いとばかりに俺はベッドから飛び出した。

「お膝に座ったとき時々お尻に感じたあれは、そういうことだったのですかっ!? 殿方のあれが変形するとは聞いていたですが、まさかそんな用途に使うものだったとは知らなかったですっ!?」

「俺、みぃちゃんお膝に乗っけておっきくしたこととかないからねっ!?」




 みぃちゃんは小さい頃からずっと一人で生きてきて、誰にも頼らずに生きてきたから普通は他人とのつながりで得られるそういった知識がほとんどなかったらしい。保護者にあたるロアさん自体、みぃちゃんに吹き込んだ程度の知識しかなかったようで。

 心を読む力があっても、そもそもほとんど他人と接してこなかった。そういうことなのだろうか。

「……」

 いつもは、特等席です!って俺の膝の間にちょこんと潜り込んでくるみぃちゃんが、今朝はひどくよそよそしく俺から距離をとっていた。かなり寂しい。

「えーっと。お散歩は楽しかった?」

「……はい、なのです」

 会話が続かない……。

 初めて会ったときとは、また違う警戒をされている感じ。

「みぃちゃん、嫌だったら言ってね?」

 俺は、意を決してみぃちゃんに手を伸ばした。

 びくん、と肩を震わせたものの。みぃちゃんは何も言わずに俺の手を受け入れてくれた。

 そっと、ねこみみをなでながら、心の中で考える。

「男って、本当はこんなことをいっぱい考えてるんだ」

 あえてモデルにはみぃちゃんを選んだ。

「だから、嫌だったらティアのところに行くといいよ」

 ……いやティアも元が俺だしな。みぃちゃん相手に不埒なことを考えないって保障はないけれど。

「……嫌じゃないです。さっきは、ちょっと、びっくりしただけなのです」

 そろそろ、とみぃちゃんが俺に近づいてきて、ぽすんと脚の間に収まった。

「でも、体格的に子作りはちょっと、厳しそうなのです……」

「見かけ中学生くらいだもんなぁ……」

 俺もみぃちゃんのことは大好きだけど、それがこれまでどうしても手を出さなかった最大の理由でもある。実年齢はともかく絵的にも問題があるし、何より子供が出来たらみぃちゃんの体格だとかなり危険な気がする。

「種族的な特性で、おそらく私はこれ以上成長することはないのです……」

 みぃちゃんがため息を吐いた。

 しかし、すぐにぴこん、とお耳を立てた。

「子種だけ、もらえばいいです!」

「え?」

 くるん、と向き直って、俺の下半身(の一部)を見つめるみぃちゃん。

「子種だけ出してくれれば、私の中に入れるだけでいいのです。ぶっすり、刺されなくてもだいじょうぶなのです!」

 ……人工受精的な?

「えーっと、俺、仕事行かなきゃ」

 太郎は逃げ出したっ!ってな。

 ヘタレというなかれ。

 いやヘタレだけどさ……。

 みぃちゃんEND。いろいろ理由つけてるけど結局責任取りたくないだけだよね、手を出さないのって。

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