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週末は異世界で~俺的伝説の作り方~  作者: 三毛猫
第一話「女神と書いてようじょと読む」
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えぴろーぐ

 ――連休が終わって火曜日。


 ちみっこどもだけを部屋に残して仕事に行くのは非常に不安だったのだが、「だいじょぶ」「あんしんしていってらっしゃい」とにやにや笑うちみっこどもに追い払われるようにして仕事に出かけた。

 特に急ぎの仕事もなく定時で帰宅すると。

「おかえりなさい、おにいちゃん」

「おふろにする?」

「しょくじにする?」

「それとも~」

「「わ・た・し・た・ち?」」

 ちみっこどもが目を閉じてタコみたいにくちを突き出してきたので、でこぴんを食らわせて黙らせた。

「あいた」

「いたいのー」

「……お前らふざけ過ぎだ」

 しかし、最後のは冗談にしても食事やお風呂の用意は本当にされていた。俺が居ない間に部屋の掃除までしてくれたようであちこち片付いている。それどころか、目に付かないように隠してあったエロ本までテーブルの上に重ねられていた。

「……エロ本重ねて積み上げんな! お前ら俺のかーちゃんかっ?!」

 にやにや笑うレラにちょっぷして、がしがしと頭をなでまわしてやる。

「ひとの性癖を詮索するのはやめなさい。おにいちゃんはもう大人だから、こういう本を持っててもいいのです」

 開き直ってごまかす。しかし、今後隠し場所はもう少し考えた方がよさそうだ。

「おにいちゃんのおきにいりきーわーどは、めがね・ひんにゅう・ぽにてなの」

「ろりぞくせいがないのが残念なの」

「ひんにゅうろせんで攻めればいけそう?」

「ママがぽにてにしたら、すとらいくっぽいの」

「……くぉら、おまえらいいかげんにしろ」

 げんこつを一発づつ落としてやる。

「いたい」

「ひどいわ」

 涙目で見上げてくるちみっこどもの頭をがしがしなでまわす。

「まぁ、部屋の片付けと飯の支度はありがとな。着替えたらまずご飯にしよう」

「ごはんなの」

「たべるのー」

 俺の部屋もずいぶんにぎやかになったものだ、と苦笑した。





 ちみっこどもとの生活にも慣れてきたある日、仕事から帰ってきたらベッドの上でロアがごろごろしていた。

「……えへ、来ちゃった」

「来ちゃったって、どうやって……?」

 いや、何がなんだか分からない。

 鎧は着ておらず、こちらの様式に合わせたのか普通にブラウスとスカートだ。

「……ってことはまさか」

 見回すと、みぃちゃんもベッドに背を預け床に胡坐をかいていた。こちらは向こうで着ていたのと同じ袖なしシャツとショートパンツのようだったが、お耳を隠すためなのか明るい色のフード付きパーカーを羽織っていた。

「勝ったー!」

「リオレイアの逆鱗げっとなの!」

 ルラとレラが携帯ゲームを抱えて叫んだ。

 良く見ると、ルラ、レラ、ロア、みぃちゃんそれぞれが携帯ゲーム機を手にしている。四人で狩りゲームをやっていたらしかった。

「いつの間にゲーム機増えたんだ? うちには2台しか本体なかったはずだし、ソフトは俺の1本しかなかったはずなんだが」

「あ、あたしがお土産がわりに持ってきたのよ」

 ロアがはいはーいと手を挙げてベッドの上で胡坐をかいた。

 スカートでそういうことをするなっ! 見えるぞ?

「……説明してもらえますか? ロアさん」

「ちょっとまって、今セーブするから」

 携帯ゲーム機の画面を見つめたまま、ロアがこちらを見もせずに言う。

 しばらく待つことにして、まずは着替えることにした。ちみっこどもの前ならともかく、さすがにロアやみぃちゃんの前では恥ずかしいので風呂場に着替えを持ち込む。

 着替えて部屋に戻ってくると、ロアが小さく微笑んだ。

「ん、じゃ、説明するわね」

「あ、はい」

 なんとなく苦手意識があるので思わず床に正座してしまう。

「……向こうで待ってるのも退屈なので、こっちの世界にも足を伸ばしてみました。以上」

「いやそれ説明になってないんですけど?」

「ロラさんはえぬぴーしーじゃないの」

「おにいちゃんとおなじなの」

 ちみっこどもが補足するがよくわからん。

「いや、素振りちゃんとしてるよね、っていうのとか、単純にタローの住む世界に興味があったりとか、あとみぃちゃんが、ね?」

「みぃちゃんがどうかしたんですか?」

 床に座るみぃちゃんを見ると、ばさりとフードを被ってそっぽを向いてしまった。

 相変わらず嫌われてるっぽい。

「……タローの世界にはいい薬があるみたいだから手に入れるのです、だってさ」

 ロアがにやにや笑っている。

「……ああ、正露丸そんなに気に入ったんだ」

 なるほど。あとでよく効く風邪薬なんかも持たせたほうがいいかな。

「あ、そうそう。ここに来る時にこの世界の神さまにも挨拶してきたんだけどさ、気をつけなよ~タロー」

「え、何をです?」

 いやそれ以前にこの世界にも神さま居るんか。

「みぃちゃんのねこみみ見てえらく気に入っちゃったみたいでさ~、”ちくしょうどうしてあたしは人間だけの世界なんて創っちゃったんだろう、よし核戦争起そう! 突然変異でねこみみちゃんが生まれるかもっ?! ああ、このもふもふがたまらない”とかなんか不穏なこと言ってたから。あ、いちおう止めといたけどね?」

 いや神様あんたダメダメだろう……。

「あ、その服とかゲーム機とかもしかして」

「うん、みぃちゃんもふもふのお礼って神さまからもらった」

「ずいぶんこっちの世界にも慣れてるようですね……」

「んー、女神ルラと女神レラの世界はまだよく知らないけどね、あたしとみぃちゃんが元居た世界って、科学とか魔法とか一緒くたに発展してたからこういうの、割と懐かしかったりするのよね」

 ゲームを愛おしそうになでながらロアが笑う。

「まあ、そんなわけ。ずっとお邪魔するのも迷惑だと思うから、たま~にだけど。こっちにも来るからよろしくね?」

「え、はい。こちらこそよろしくお願いします」

 とりあえずぺこりと頭を下げる。ルラやレラのように一緒に暮らすと言い出したら流石にこの部屋で五人は狭すぎる。

「じゃ、ごあいさつもすんだところでみんなでごはんにするのー」

「ごあんたべるのー」

 下ごしらえはしてあったのか、前もって準備しておいたらしい料理の皿をルラとレラがテーブルに運んでくる。

「流石に五人もいるとテーブル狭いな……」

「ん、こうすればいいの」

「ここでいいの」

 胡坐をかいた俺の左右の膝にちみっこどもがちょこんと腰掛ける。

「いや、これじゃ俺がメシ喰えんだろ?」

 ちみっこを抱えたままでは口まで手が届かない。

「……」

 すると、無言でみぃちゃんが立ち上がり、ちみっこどもを押しのけるように俺の足の間にぽすんと腰を下ろした。そのままとすんと寄り掛かって俺に体重を預けてくる。

「……え、どうしたのみぃちゃん?」

 思わず混乱して声をかけると。

「……ここが特等席なのです」

 ぴこぴこと揺れ動くねこみみが、フードを押しのけて俺のあごをぴたぴたと打った。



 不意にスマホがメールの着信を告げたので見ると、登録した覚えのない「ねいこちゃん」からのメールだった。

 まさか、と思いつつ恐る恐るメールを開くと。

『ねこみみ、げっとだぜーって感じかなっ、たろー君? ちくしょうあたしもねこみみもふりたいよっ! おみみぴたぴたされたいっ! みぃちゃんわけてっ! ねぇっ!?』

 ……寧子さん、あんたどっかで俺のこと監視でもしてるんですかっ?! ってゆーか俺のスマホのメルアドいつ知ったんですかっ?!



 ――とまぁ、そんな感じでどたばたと。

 幼女と少女に囲まれた俺の異世界生活が始まったのだった。

 ……みぃちゃんデレるの早すぎだったかも?


 第一話終了です。ここまでお付き合いありがとうございました。

 このお話はオーバーラップ文庫 WEB小説大賞の「異世界×ハーレム」とかいうお題を見て、ついうっかり書き始めてしまったものです。商業レベルにあるとはかけらも思ってないし、そもそもいろいろ規定に沿わないので今の所参加する意思はないのですが。


 二時間くらいでびゃーっと思い浮かんだのを書き散らすのに二週間ちょっとかかりました。毎日書いて出しです。ストックなにそれおいしいの?状態です。日頃平気で半年とか更新滞る人間が、一日しくじったもののよくもまあここまでほぼ日次更新出来たものかと自分でびっくりです。鉄は熱いうちに打てといいますが、下手に寝かせて暖めるより勢いのまま書き散らした方が良いという事もあるのかもしれないですね。

 ……おかげで他のは順調に放置中ですが。


 このお話をハーレムと呼んでいいものやら割と疑問ですが、今後もちょっとづつ女の子増えていきますのでよろしくお願いします。現時点で名前出てるだけで主人公の周りの女の子6人かな? 二話目はタグに入ってる人魚のお話の予定ですが、予定は未定デス。

 いまのところ二つほど短いのをはさんで二話目開始の予定です。次はたぶん、「勇者たちのオフ会」。掲示板の方のエピローグになる予定です。

 予め宣言しておきますが今後更新頻度はかなり遅くなると思います……。

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