ネティズ・レポート! 今、この街で一番ホットな場所をご紹介! その4
ゲーム雑誌の紹介記事風味。
――みなさんこんにちわ! サークリングス・トリビューン紙のわん子ことネティ・レル・クォータルです! 三回にわたって領主様の創った新しい娯楽施設の紹介をしてきましたが、今回で最後となります。
幼女領主「……またか。しかし、いったいどういう基準でその前フリとやらををいれておるのだ? 確かにそろそろ取材終了予定の時間ではあるが」
――わん子の長年の記者としての経験に基づいた感覚なのですよ!
男性客C「ずっとメモとっとるんやし、文字数とかページ数でてきとーにいれとるんと違う?」
――わ、わん子の秘密があっさり見破られたっ!? さて、前回ボス部屋にたどり着いたわん子たちを待ち受けていたラスボスさんのご紹介を~。
幼女領主「ごまかしたな」
――えー、なぜか戦うこともなく歓待してくださっているラスボスのすらりんさんです。
すらりん「どうも、すらりんです。一応この迷宮の最奥を守るボス役となる予定です」
――ボス部屋では戦闘は発生しないんですか? これまで出会ったスタッフの方たちは問答無用で襲い掛かってきましたけれど。
幼女領主「ああ、これはこちらの都合だ。正式オープン前に、ラスボスの攻撃方法や特徴などをばらされてはつまらぬからな。最奥で美少女が待つとだけ書いておいてくれればよい。通常は、前口上を述べた後に戦闘となるだろう」
――ほへー。お茶おいしーです。
すらりん「お茶請けのにゃんころもちもどうぞ」
――おおー、なんですかこの笑っている猫の顔の形をしたオモチみたいなのは。
幼女領主「迷宮土産の定番らしいので作ってみた。一階の売店で購入できるので、気に入ったなら買ってゆくがよい」
――ふわぁ、あんまーい! おいしーですね! ふむ。ところで、笑っている犬の顔の形をした、わんころもちというお菓子などはどうでしょうか?
幼女領主「わん殺モチとな? ふむ、土産にもいくつかの種類を持たせたいと思っているので検討はしてみよう」
――なぜか領主さまが言うとなんとなく不穏な響きに聞こえますね? あ、アイディア料は売り上げの10%で結構ですよ?
幼女領主「……なかなかがめついな」
■なんでこんな迷宮を作ろうと思ったのか? いろいろ聞いてみますよ!
――さて、せっかくお茶も出ていることですし、このまま取材に入っちゃいましょう。あるいはもっと最初の方で聞いておくべきだったのかもしれませんが、なんでこんな迷宮とかつくろうとおもったんですか?
幼女領主「サークリングスの街は、かつては木材加工で栄えていたが、今ではただ闇神神殿のある街、程度にしか思われておらぬであろう? よその街からも人が呼べるような新たな産業を興したいと前々から思っていたのだが、つい先日機会があって別の世界で迷宮を探検することになってな。これは十分な産業になる、と踏んだのだ」
――確かに、これまでこういった大規模な遊戯施設なんてありませんでしたしね。かつてはあったのかもしれませんが。……ところで、別の世界で迷宮を探検したってどゆことですか? なんか特ダネの匂いがするんですがっ!?
幼女領主「なに、勇者に誘われてな」
――少し前に、神殿から勇者来訪の御触れがありましたけれど! 領主さまお知り合いなんですかっ! ぜひわん子にも紹介してくださいっ!
幼女領主「まぁ今回はこの迷宮の話だ。機会があれば紹介するとしよう。あやつはどうも、獣族の容姿に目がないようだから、貴様のことも気に入るかもしれぬ」
男性客A「週末勇者はケモナーかい」
――ぜひぜひ、おねがいしますよっ!
幼女領主「さて、この迷宮を作るにあたって協力してくれた皆を紹介しておこう。まずは異世界から来てくれた、迷宮に関する知識や経営などの相談役だ」
相談役S「どもー。Sですー。いやー、今回はあたしにとってもいろいろ勉強になりました」
――迷宮の相談役?ってゆーのはどういう職業なのでしょう?
相談役S「いや、こちらではいわゆる迷宮というものが存在しないと聞いてますけど、あたしのとこでは普通に迷宮というのがいくつも存在してましてー、でまぁ商売になってるわけですよー? その知識や経験を活かしてこちらの迷宮の立ち上げに関わったということなのですー。具体的にはどうやって収益を上げるか、採算がとれるかの検討が主ですね。いやー、こちらの迷宮はあたしらのところともまただいぶ違う形態なので、正直あまり役に立っていない気もしますがねー」
幼女領主「入場料を取る、レンタル料金を取る、などといった料金体系などでかなり知恵を貸してもらった」
――なるほど。基本的な料金とは別に、いろいろ付加的な、少しお金を追加することで見た目が良くなったり冒険が便利になるような感じになってるのは、おおむねSさんのせいと。
幼女領主「こちらもいろいろ学ばせてもらった。あとのメンバーをまとめて紹介しよう。迷宮の設計を行ってくれた建築士、迷宮の構造やトラップなどについて知恵をだしてくれた探索者、おまけの妖精だ」
建築士「犬耳少女キター!」
探索者『こんにちわ よろしくする おねがい』
妖精「わんころもちたべたーい!」
――探索者、さんは飛沫族ですか?? 空中に浮いているようですが。あと妖精さんとはまた珍しいですね。
男性客A「特級迷宮建築士のやつスルーされてらー」
女性客E「にんぎょちゃんにゃー」
男性客C「妖精さん意外にでかいんやな?」
――しかし、意外に少人数なのですね? 魔道具やら、販売する商品の製造・開発とかはまた別なのでしょうか。
幼女領主「うむ、それは相談役の方に伝手があってな」
相談役S「あー、呼びましょうか。Mさーん」
会社員M「あー、ども。わたくしこういったものでして」
――これはこれはご丁寧に。わん子は名刺とかもってなくてすみません。M&Aモンスターアンドアイテム製造販売株式会社のMさんですか。名称でなんとなく検討がつきますけど、どういった会社なのでしょう?
会社員M「いくつもの世界を渡り歩いて各地のダンジョンや魔王さんなどに、しもべとなるッモンスターですとか、冒険者どもを呼び寄せるエサとなる強力なアイテム等を卸しております」
相談役S「うちの迷宮でも、M&Aさんからアイテムやゴーレムなどの人造魔物を購入してますよー」
――ほうほう。そんな会社があるんですねー。ところでわん子の代わりにお仕事してくれるゴーレムとか売ってませんか?
会社員M「えーっと、かなりお高いですよ(笑)?」
――売ってるんですか!! すっごい!
幼女領主「立ち上げのスタッフだけでは実際の運営の手がたらんのでな、しばらくは運営の人員も派遣してもらうことになっている。アルバイト募集中なので、貴様のところにも求人広告を載せてもらおう」
――らじゃりましたよ!
幼女領主「このようなスタッフで運営しておる。他にも酒場や販売店などで働く者や、敵役として働いておるものなどを入れると総勢二百名は超えるか。将来的には千人規模の雇用が見込めると予想している」
――おおー景気のいい話ですね! ところで正式オープンはもう少し先という話ですが?
幼女領主「まずは本日訪れてもらった招待客のように、少人数で体験してもらう体験会を何度か行う予定だ。ある程度こちらでもノウハウが蓄積できたら、限定公開を行う。完全に一般公開するのはしばらく先になるな」
相談役S「いずれは他の場所にも迷宮を作ってウハウハ大儲けしたいところですねー」
――まずは、この迷宮から!ですよね。今回時間の都合であまり突っ込んだ取材ができませんでしたらから、また取材させてください!
幼女領主「……次は自腹で遊びに来いと言ったはずだが?」
――きびしー! 編集長と交渉して経費て落とします! 落として見せます! ひゃっはー! ではそろそろ最後となりますので、みなさま一言ずついただけますでしょうか?
幼女領主「サークリングスの新しい名所となる、これまでにない娯楽施設だ。ぜひ実際に訪れて体験していただきたい」
相談役S「個人的にはスキルシステムが面白いですよー!」
会社員M「今回、当社のモンスターとは戦われなかったようですが、強いのからネタまでいろいろ揃ってます。ぜひご来場の上その目でお確かめください」
すらりん「迷宮の最奥でお待ちしております」
建築士「迷宮は爆発だッ! フレキシブルに迷宮構造を変更できる設計になってるから、定期的に中身がかわるぞ! 何度でも楽しんでくれ!」
探索者『めいきゅう あそぶ おねがいする』
妖精「ひゃっはー! おなかすいたー」
男性客A「もう少し遊びたかったぜー」
男性客B「げろいむマジげろいむ」
男性客C「女神ちゃんにはあえんかったなー」
女性客D「素晴らしい体験をありがとうございました」
女性客E「くんかくんか。すーはーすーはー」
メイド「あの、ぱんつかえしてください……」
踊る仔猫「にゃーなのです!」
――本日はありがとうございました!
一同「ありがとうございました!」
……最後の方なんか変なのが居た気もしますが。
さて短い時間で、ほんのさわりしか体験できませんでしたが、なんだかとても当たりな感じですよ? これからの話題の中心になること間違いなしっ! な、ホットスポットのご紹介でした。
みなさまも、ぜひ! 迷宮をご体験ください!
(文責 わん子)
思いつくままに書いてるから全然まとまりゃしない……。
次は「終わりのはじまり」の予定なのですが、ちょっと構成とか考え直している途中なので章タイトル含めて変わるかもしれません。