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週末は異世界で~俺的伝説の作り方~  作者: 三毛猫
閑話「終わりのはじまり」
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ネティズ・レポート! 今、この街で一番ホットな場所をご紹介! その2

ゲーム雑誌の紹介風。

――みなさんこんにちわ! サークリングス・トリビューン紙のわん子ことネティ・レル・クォータルです! 前回に引き続き、領主様の創った新しい娯楽施設をご紹介しちゃいます! 今回は、いよいよ! 迷宮にはいっちゃいますよっ!


幼女領主「……突然どうしたのだ? 先ほどからずっと案内してるであろうに、今さら何を言っておる。突発性健忘症か?」


――連載2回目なので前フリってやつですよ! 突っ込まないでください!


幼女領主「そんなものは自社で記事を起こすときに追加すればよいだろうに」


――ううう、わん子は文章構成力がないので会話そのままを記事にするのですよう。


幼女領主「むぅ。ずっと手を動かしていると思っていたが、まさか会話を全部書き留めていたとは……。ある意味すごいな貴様、少し見直した」


――はい、というわけで改めまして、ご紹介します。このサークリングスの街のご領主様、幼女領主ことシルヴィスティア・サークリングス様です。前回に引き続き、わん子とご領主様、それに招待客五人の七名でご紹介してまいりますよ!




■じゃじゃーん! わん子、冒険者(笑)になりまっす!


――じゃあ、さっそくですが迷宮にごーごーです!


幼女領主「いやまて、迷宮に入る前にまだやることがある。これを作って冒険者登録を行う必要がある」


――はぁ、なんですかその薄い金属の板のようなものは。


幼女領主「便宜上、冒険者カードと呼んでいる。冒険者としての証明のようなものだな」

男性客A「冒険者カードキター!」

男性客C「定番やな」


――どこの世界の定番なんですか。こちらで冒険者(笑)っていったら、ゴロツキと同義ですよ? 街中で武器もってうろつくってそれだけでもう、キ印の一種ですね! しかもあいつら自分たちのことかっけーとか思ってるんですよ(笑)。


幼女領主「……いや少しは言葉を選べ、わんころ。異世界では冒険者といった方が通りがいいらしいのでな、今のところは冒険者カードと呼んでいる。だが、まぁ、迷宮を探索する者なのでこちらでは探索者としたほうがよいのかもしれんな」


――ええ、はい。言葉はともかく、こちらの迷宮で遊ぶ際に必要になる、会員カード的なものと認識しますよっと!


幼女領主「うむ、ではまず職業を決めよ」


――わん子は記者ですよ!


幼女領主「いや、冒険者カードに記載する職業だ。戦士、格闘家、盗賊、魔法使い、僧侶の五つの中から選ぶがよい」


――わん子は記者です! ペンは剣よりつよいのですよ! このペンで、モンスターどもをばったばったと……。


幼女領主「……真面目にそのペンで戦う気はあるか?」


――ってゆーか、自称の職業に何か意味はあるんですか? 盗賊とか、好き好んで犯罪者を名乗ってどーするんですかとか、すぐそばに神殿があるのに勝手に僧侶とか名乗っちゃって問題にならないんですか?


幼女領主「話が進まんから早くせよ……。説明は後でする」

男性客A「じゃ、俺、戦士ね」

女性客E「あたしは盗賊やるにゃー」

男性客C「盾ジョブっぽいのないんかな……。じゃワイは戦士でええか」

男性客B「俺、魔法使いやりてー!」

女性客E「ぷぷ。リアル魔法使いにゃー?」

男性客B「ってめ!」

女性客D「では、私は僧侶を。一人くらいは回復役がいないとまずいでしょうし」


――おやおや、招待客の皆さんは素直なものですね。むー、そうすると余ってるのは格闘家ですか。編集長とよく肉体言語で会話しているわん子としては、まぁ格闘家と名乗るのもそう吝かではありませんが。


幼女領主「よし、皆、決まったな。戦戦格盗魔僧か、それなりにバランスは取れておるな。前衛を一人減らしてもう一人僧侶を入れた方が安定するかもしれぬが」


――今決めた職業とやらにどういう意味があるのでしょう?


幼女領主「職業にはレベルが存在する。迷宮内で戦闘を行ったり、酒場での依頼をこなすとEXPという値が手に入り、この値が一定の値になりかつ、いくつかの条件を満たすことによりレベルが上昇する。レベルが上昇した際に、その職業に見合ったスキルや魔法といったものが使えるようになる。例えば戦士は武器を使ったスキルを使えるようになり、魔法使いは新しい魔法を使えるようになる、といった具合だな。盗賊は宝箱や罠に関するスキル、僧侶は回復魔法を覚えてゆく。格闘家は少し特殊で、素手での格闘術および自己強化や自己回復の手段を覚えてゆく」


――ちょっと複雑ですね? 要するに今決めた職業で、できることが変わってくる、ということですか? 現実の能力と関係なく。


幼女領主「そういうことだ。たとえばわたしのように魔法に特化した技術を持っている人間でも、職業を戦士として迷宮で探検を繰り返しレベルをあげれば、この迷宮の中に限っては武器の扱いに長けた動きができるようになる」


――へぇ、ちょっとおもしろそうですね。あー! それなら魔法とか全然ダメなわん子でも、魔法使いとして登録したら、この中ならひゃっはー! 燃え尽きろ雑魚どもー! とかできるってことですかっ!?


幼女領主「そういうことだ。しかし貴様は既に格闘家として登録してしまったので、魔法使いを楽しみたければ正式オープン後に自腹で遊びに来るがよい」


――がーん。自腹はキライですーぅ。




■装備を選んで、いよいよ迷宮に突入ですよっ!


幼女領主「次は装備だな。迷宮の入場料に最低限の装備のレンタル費用は含まれておる。少し上級なものや、追加や予備の装備を持っておきたい場合は有料でレンタルを行っている」


――ほうほう。で、これが、その、装備ですか?


幼女領主「戦士はブレストプレート・ソード・シールドの三点セット。盗賊はレザーアーマー・ダガー・バックラー。格闘家は道着、小手、具足。魔法使いはローブと杖、僧侶はローブとメイスと聖印だ」


――いや、御大層な名前つけてますけど、全部これ新聞紙ですよね? こんなのがブレストプレートとか鼻でわらっちゃいますよ? ダサすぎ! ……ってゆーか、よく見たらこれ、ウチじゃなくてライバルのサークリングス・タイムス社の新聞でしょっ! レイアウトとか広告の位置とか! ウチを使ってくださいよ! サークリングス・トリビューンを!


幼女領主「よく見よ、これはただの新聞紙でなく、すべて神代文字で記述してある魔道具だ」


――ほへ?


幼女領主「お互いにこの何重もの安全装置がかかっている装備を使うことで、安全性を確保しておる。また、先ほど話したえいちぴーという概念も、この装備によって増減される仕組みだ」


――ええと、つまりこの丸めた新聞紙で殴ることによってえいちぴーが減る仕組みと?


幼女領主「そういうことだ。格闘家は拳まで覆う小手あるいは足を覆う具足で攻撃することで敵のえいちぴーを減らせるわけだな。戦士の場合は剣で攻撃する必要がある。戦士の場合、直接殴ったりけったりしてもそのままではえいちぴーを減らせないので、格闘も行う場合は追加で装備をレンタルしておくがよい。また、敵の攻撃を防ぐのも同じく武器または防具でしか行えない。僧侶などは追加でラウンドシールドなどをレンタルしておくとよいだろう」


――つまり、入場料に含まれるのはほんっとーに最低限な装備なわけですね! 追加料金取る気まんまんですね!


幼女領主「営利目的だから当然だろう。なお、迷宮で得られたコインでしかレンタルできないこのような装備も存在する」


――ちょ、かっこいー! いかにも勇者の剣ってかんじじゃないですかー! こんなの作れるんならなんで丸めた新聞紙なんか。あーなるほど、こういうのが先にあると、何度でも通ってコイン集めたくなると、そういう寸法ですね? この商売上手!


幼女領主「いろいろ知恵を貸してくれる者がいたのでな。さて今回は取材なので、特別にこちらの特製装備を使ってもらう。レベルは5からスタートだな」


――おおー! ふとっぱらですね! わん子はこの、腰のあたりまでスリットのはいった、なんだかちょっとえっちぃ服に、トゲの付いた腕輪、ですか。ちょっとハズカシー。



男性客A「色が青かったらちゅん・りーやな」

男性客B「あの強烈なふとももにはさまれてぇ……。わん子ちゃんは細身だけど」

男性客C「ってか、誰やこんなコスプレじみた装備提案したんは」

女性客E「ねこみみはないのかにゃー?」

女性客D「なんかまだ十一月なのに、もう年末のお祭りみたいですね」


幼女領主「更衣室は向こうだ。着替えて迷宮入口に集合せよ」



■迷宮、迷宮、迷宮! あれ、なんか変なのでてきましたよ?


――というわけで、いよいよ迷宮の中に入ってしまいました! くらーい階段をどこまでも下ってゆくと、不意に開けた暗い穴! 雰囲気でてますねぇ。ってゆーか、真っ暗なんですがっ! こんなのどーやって歩くんですか。


幼女領主「ああ、省略してしまったが、一階では装備の他に様々な道具もレンタルしている。今回はわたしが用意しておいたのでこれを使うがよい」


――ランタンと、道具袋ですね! うわー、すこしだけわくわくしてきましたよ。暗い中で小さな揺れる炎みつめると、なんかドキドキしてきますよね。


幼女領主「道具袋には回復アイテムなどがいくつか入っている。後衛に持たせるとよいだろう」


――あれ、みなさんの頭の上に、なんか緑色の枠? 線? みたいなのが浮かんでいますが。


幼女領主「うむ、これがえいちぴーの残量を示すものだ。自分の頭上は見にくいが、その場合先ほど作った冒険者カードで確認するとよい」


――ほえ~。いろいろ手が込んでいますね! たしか、リグレットの街の光神神殿にこういった遊戯施設があると聞いたことがありますよ。


幼女領主「神殿からは全面的に協力を得ているのでな。では案内する。今回わたしは別枠で参加しているが、本来一度に迷宮に入れるのは六人までだ。敵役を倒した時のEXPという値は人数で頭割りされるので少ない人数の方が稼ぎやすい。しかし、少人数では奥の強い敵を倒すことは困難だろう。そのあたり、バランスには気を使っている」


――なるほど。しかし今回のように初めから六人そろって入る場合はともかく、それ以下の人数で訪れるお客様にはどう対応されるんですか?


幼女領主「紹介を飛ばしたが、酒場にパーティを斡旋する仕組みがある」


――いろいろ考えているんですねー。っと、おや。なんか出てきましたよ?


????「にゃーなのです!」


――猫種ミーアの子供ですか? なんでこんなところに? 迷子ですか? おかーさんはどこですかー?


男性客A「迷子の迷子の子猫ちゃん~♪」

女性客E「あなたのおうちはどこですにゃー? ってあれ、ティアちゃんにゃ?」

幼女領主「仲間の頭上には緑色のバーが表示されるが、敵役の頭上には黄色のバーが表示される」


――って、あの子、黄色いバーってことは敵役なんですか?


幼女領主「初っ端からかなりのレアキャラ出現だな。あれはこの迷宮のネームドモンスター、通称NMと呼ばれる類の敵役だ。あれは”踊る仔猫”ティア・ローという」


踊る仔猫「にゃーなのです! う、う、うにゃうにゃー! なのです!」


女性客D「かわいいです!」


――いや、ほんとかわいいですね! でも、ただ踊ってるだけですか?


男性客B「ねこみみ幼女たんマジねこみみ幼女」

男性客A「両手上にあげて腰ふって踊るって、モンガーダンスか?」

男性客C「ウマウマと違う?」


踊る仔猫「にゃーなのです!」


男性客A「アウチッ!」

男性客C「おまいはどこの外国人だ」


――あー、踊りながらなんか攻撃してきましよっ!? 男性客Aさんの緑のバーが半分くらいに減ってます! ちょっと早すぎて目にも留まらない感じです! って、あんなちっちゃい子が。


踊る仔猫「踊りたくなったら、そこがすてーじっ! なのです!」


――決めポーズがかわいいです。アレ、持って帰っちゃだめですか?


幼女領主「ダメだ。ちなみにアレは盗賊技能と格闘技能を持っている。道具を盗まれないように気を付けたほうがよいぞ?」


踊る仔猫「ふー。いい汗かいたのです。じゃー、にゃー、なのでーす」


――あー! 逃げちゃいましたよ。


女性客D「あ! ごめんなさい。いつの間にか道具袋の中身が!」

幼女領主「盗まれたようだな」

男性客B「つか、初っ端から複数ジョブ持ちが相手とかひどくね?」


――なるほど、こうやって冒険者からいろいろ搾り取るのですね、わかります。



※次回は早くもボス戦? こうご期待です!

 次できちんとまとまるか不安。

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