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Room Vocals High

作者: 椎贔

思いつきでさらっと書きました

とっても久しぶりの投稿故、書ききれてないところだらけですが

よろしければ息抜き程度に読んで頂ければ幸いです(m。_。)m



つくづく紙で出来てるんじゃないかと訝しむほど


薄っぺらい某レオ○パレスの壁。


その向こうから、いつになくハイテンションで


歌いやがる隣人の歌声ほど


癇に障るものも世界広しと言えど多くない気がする。


奴の発するノイズ(雑音)が平日の23時に否が応でも


耳に入ってくると有らば、発狂してもおかしくはない


ではどうする。普通ならば耐えられない騒音に嫌気が刺し


壁をパンチングするか、苦情を浴びせる為に奴の部屋のベルを鳴らすだろう



だが今までに何度、苦情が奴の部屋に叩きこまれたかは言うまでもない


それでも追い出されないのは、奴が此処の大家さんの親戚だからだ


奴を黙らせるには、身の程をわからせるしか無い


つまり、目には目を、歌には歌を!!


俺は用意していたメロディを再生した。


少し間を置いて純和風な三味線の音が流れ始めた


フラストレーションを爆発させるためにデスメタルを選曲


しようなんてのはおこちゃまの発想だ


決して音量で勝負するわけじゃない。


アーティストとしての全ての技量で奴を上回り


完全に屈服させなければ意味がないのだ


三味線に続いて悲しげなヴァイオリンの音が入る


「皆様、今宵もお集まりいただき誠にありがとうございます

 この儚き夜のために…歌わせていただいます故……

 聴いてください、石川さゆりで、天城越え……」


メロディ中に前振りまで完璧にこなした



隣の部屋の奴はすでにおとなしくなってこちらの音に反応している


だがこれからだぜ、特と聞け!本物の歌という物を!


「隠しっぃきれないぃぃうつぅりががぁぁ……」


1番を歌い終わる頃には奴のすすり泣きが聞こえてきた


おれの歌は奴の魂に響いたらしい


おれはこの一曲に全てを込めて歌った


魂のビブラート!熱すぎる!


そしてその全身全霊を込めた一曲は終わりを迎えた


もう奴のノイズ(歌声)は聞こえない


ただ一言…「おれが間違っていたよ……」


たしかにそう聞こえた


おれは勝った!もう奴のノイズに夜な夜なうなされる事もあるまい


その時だった…


ピンポーン、と俺の部屋のチャイムが鳴った


「はい、どなたですか??」


ドアを開けると下の階の住人が猛然と仁王立ちしていた


「どなたじゃないよ!うるさいんだよ何時だと思ってんの!?」


「あ、はい、すみません気をつけます」


住人はそれだけ告げるとぷりぷりしながら帰っていった


微かに隣の部屋から


「ププーッ、クスクスッ」


という声が聞こえた


おれはにこやかに、そっと別に用意してあったデスメタルのCDを


プレイヤーの中に入れ、音量のつまみを最大にしたのだった……


アパート・マンションに住む方なら誰でも一度は

経験あるのでは?ないかw

本当は、バッド・エンドではなく、主人公が歌った後に隣人たちが

あまりの歌唱力に感動し、彼の部屋はライブ会場と化し……

みたいな流れもいいかな、と思いましたw

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