エルフ
8話 エルフ
アリナをさらった誘拐犯の母親。
虐待などの証拠を父が国に突きつけ、ラミィは逮捕された。今はアリナのお父さんの家で休ませて貰っている。
けれどアリナはとても深刻そうな顔を顔をしていた。
「アリナ、どうしたのじゃ?」スズランがそう聞くと、アリナは「本当の…お父さんやお母さんはどこなのでしょうか」
確かにそれはそうだ…するとみつきが声を荒らげて「私最近…推理スキルをアップしちゃいましたァー!」と言った。
…推理スキルって…何?????
「鑑定スキルの事?」と続けて華奈が言った。みつきは嬉しそうに「そうそう!」と華奈に顔を近づけた。
華奈は気にしてないかのように「希少すぎて固有スキルに入ってないらしい」と言う。私は思わず「おー」と言ってしまった。華奈はいつものようにこちらを睨みつけてくる。異世界に来ても華奈が私を虐めてる事実は変わらないもんね。とても冷たい表情でこっちまで寒くなっちゃう。
…でも最近、華奈の態度が柔らかくなった気がする。気のせいかなぁ…まぁいっか!
ここの季節はすっかり真夏。早いもんだなぁと今更実感した。そういえばここに来たのって5月下旬くらい?現世とは時間が違うから分からないなぁ…今頃みんな何やってるんだろ。
6月には運動会…7月には社会科見学…夏休みは宿泊行事…みんな大変そうだなぁ〜
「あのっ!…私…やりたいことがあるんです!ちょっと皆さん着いてきてください!」アリナが不安そうな顔で言った。そして、家の裏小屋に連れていかれた。
「私の…私の本当の両親を見つけたいですっ!みなさんの援護は私がしますので!頑張りますので!だ、だから!」
「いいよ!」一番に言ったのはみつきだった。「3人もいいよね?」「いいよ」「いい提案じゃな」「おっけー!いいよ!」そう声を上げた。アリナは今にも泣きそうな顔で「あ…ありがとうございます!」と言った。
「実は私の記憶で1つ残っている事があって…家の場所はセリオス帝国のエルドランにある…そう覚えています!」
「そうとなったら出発だね!」「いくぞー!」「はい!」家の門を出ると、肌を刺すような真夏の陽射しと、遠くから聞こえる鳥のさえずり。みんなはそれぞれ思い思いの荷物を背負い、アリナの決意に満ちたその背中を見つめていた。
「セリオス帝国のエルドラン……」華奈が地図を広げながら呟く。「ここから…北東にある小さな国だよ。途中で山を越えなくちゃいけないかも」「登山か~、ちょっと楽しみ!」みつきが元気よく笑う。その声は空まで突き抜けるようだった。
アリナは不安そうにみんなの顔を見回した。「本当に……ありがとう。でも私、いっぱい迷惑かけちゃって……」「気にすんなって!」みつきが真っ先にアリナの肩を叩く。「困ってる仲間を助けるのが、仲間ってもんじゃん!」「みつきの言う通りじゃな。」
私は「うんうん」と軽く頷いてみせた。華奈も「気にしてないよ」と言いながらも、足取りが少し軽い気がする。
こうして五人での新しい旅が始まった。
───1日目。家を出る時だ。アリナが朝イチで起きて起こしてくれた。「みなさ──ん!」
かなりの声量だったので、みんなびっくりして飛び起きた。
すぐに準備をして、出発しようとした頃、みつきが「エルドランって海沿いだよね?海着いたらみんなで遊ぼうよ」と耳元で言ってきた。私は「いいね!」と返した。海かぁ…海の魔物とか魔魚を倒すことでアクアパッツァとかたこ焼きとか作れそう…楽しみ!そして出発の時が来た。「行ってきます!」そう声を張り上げて、アリナの父に手を振った。
地図を確認すると、エルドランに行くまでたくさんの街や村がある。そこで料理の調達とか武器を買うとかしてもいいね。まず今日着くのは…ベルマリエ。服や裁縫の技術がとても優れている街だ。そこで改めて服を買おうかな。こんな服珍しいし。なんか恥ずい。
「ギャァ─────────!!!!!!!!!!!!」
人の叫び声が聞こえてきた。みつきが「みんな!いこ!」と先に走っていってしまう。
そこには魔物に襲われているとても綺麗な服をまとった人が女の人いた。「旅人さん!助けて!魔物がっ!」「氷獄挺進!」アリナが矢を射ると魔物は一撃で倒れてしまった。
すると女の人が「あぁ…あなたは命の恩人です…あっ申し遅れました。私はモニカです。どこへ向かわれるのですか?良ければ馬車で送って行きますよ。」「ベルマリエです。いまエルドランを目指していて…」するとモニカさんは嬉しそうに、「ちょうどいいですね!私の小さなショップがあるんです。お礼に無料でプレゼントしますので!」「えっ!いいんですか!ありがとうございます!」ショップか…ちょうど服買いたかったからラッキー。「早く馬車に乗っちゃってくださいね!」