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訳あり転生  作者: シエルノクス
誤解と脱出
6/12

精霊の力

6話 精霊の力


王都まであと少しの所。王都の前には、モンスターの多い小さな村があるらしい。

受付嬢の人に渡された地図と、目の前の村を見比べてみた。

どうやらここが村のようだ。

華奈「ここは少し警戒しといた方がいい」

…来た。

花梨「みんな!アラ豚の群れがあそこにいるよ!気をつけて!」

アリナ「お、多すぎますっ…!」

華奈「軽く2000匹はいる…こいつら意外と攻撃力が高いから…この差だとヤバい!」

みつき「豚なのにぃーっ!」

???「汝らに特別な加護を授ける…」

!?! 声が聞こえる?!

アリナ「だ、大精霊様!!?」

大精霊…?

みつき「いや…さっきのキツネが喋ってる…!」

大精霊「我の名は、スズラン。汝らに特別な力を授けよう。これは、さっき助けてくれたお礼じゃ。」

すると、キツネ…いや、大精霊は人間の姿になった。

スズラン「わしも久々に動くとするか…」

スズランは素早く動き始めた。

(いっ)(しん)(さき)(みだれ)!」

(しゅう)(けつ)()(ごく)!」

すると、スズランの頭上にたくさんの精霊が集まり始めて、スズランがそれを解き放った。すると、今までいたアラ豚が、嘘の様に居なくなっていた。

スズラン「どうじゃ?これが精霊の力じゃ。」

スズランが自慢げに話してきた。

最初に反応したのはアリナだった。

アリナ「ス、スズラン様!とても現実とは思えない精霊魔法でした!かっこよかったです!」

次にみつきが口を開いた。

みつき「さて!王都は目の前!行きましょうか!」

───王都に着いた!ここが王都か。

花梨「とりあえず、大賢者様の場所を聞いて回ろうか!」

花梨「すみません───」

私たちは結構な間、聞き回ってた。

花梨「すみません!」

「は、はい!」

花梨「今、大賢者様に会いたくて、大賢者様がどこにいるか分かりますか?」

「大賢者様なら、あそこの古い家に居ますよ。」

花梨「ありがとうございました!」

早く行かないと!


───大賢者の家。

コンコンコン!

花梨「ごめんくださ───い!!!!!

私、異界の扉の話を聞きに来たんですけど──!!」

ガチャリと音を立て、ドアが開く。

大賢者「なんだい?君たち。」

茶髪で、青い瞳。背は180cmくらいで、目にクマができている。

見た目からして、30歳くらいかな。


花梨「あの、私たち、冒険者なんですけど、このふたりと私は実は違う世界から来たんです!」

大賢者「何?!違う世界だと?!」

大賢者「あぁ…すまない…取り乱してしまったね。中に入ってくれ。」

大賢者は椅子に座ると、3人に順番に視線を移した。


大賢者「まず、君たちが異世界から来た経緯をもう少し詳しく教えてくれないか?」


花梨は少し恥ずかしそうに、けれど真剣に話し始めた。


花梨「実は…魔法の呪文を見つけて、呪文を……唱えてしまったんです。」

華奈「花梨が呪文を唱えた時、私がちょうどそこに来て…突然眩しい光に包まれて、気が付いたらこの世界だった」

みつき「二人がいなくなって私も唱えて見たら、今度は私も妙な夢に引きずり込まれて、目を覚ましたら街にいたんです。正直、現実味がなかったよ……」


大賢者は目を細め、うなずく。


大賢者「なるほど、“意図された者”と“巻き込まれた者”、”呼ばれた者”か…

その関係性も、“扉”が完全に開いた理由かもしれないな」


アリナ「じゃあ、この世界とあっちの世界のどちらにもつながる力が3人にはあるってこと…?」


スズラン「ふむ、花梨には扉を開く才、華奈は引き寄せられ、みつきは残された力に呼ばれたのじゃな。運命のいたずらか、必然か…」


花梨は小さく頷き、

「もし自分のせいでみんなを巻き込んだなら、絶対元の世界に帰る方法を見つけます!」

と固い決意を語る。


華奈「私も花梨を責めたりはしないよ。だって、ここまで来たんだから」


みつき「…もうここまで来たからには、いっそ楽しんで帰ってやるぞーって感じかな!」


大賢者は優しく微笑みながら、重たそうな書物を広げた。


大賢者「“記憶の水晶”が地下迷宮のどこかに眠っている。三人の力、アリナの弓、スズランの加護、それぞれの因果が混ざり合えば、必ず道は開けるはずだよ」


仲間たちが頷き合う中、アリナとスズランも、自分たちの居場所と役割を確かめるように顔を見合わせる。


そして5人は、それぞれの思いを胸に王都地下迷宮への冒険に向かうのだった───。


王都の地下迷宮──それは、かつて王家の守護者が秘密の儀式を行ったと言われる、謎に満ちた場所だった。ギルドの地図にも載っていない隠し扉の先に、その入口があるという。

大賢者からの書き込みが滲んだ古地図を手に、花梨たちは迷宮の入口前に立った。ひんやりとした空気の中、アリナが矢を構え、スズランが杖を握りしめる。

華奈「…本当にここに“記憶の水晶”が…?」

アリナ「そう信じて進もう。私たちはもう、戻らないって決めたんだもの」

スズランは小声で何かを詠唱し、淡い光の加護がパーティを包む。みつきは照れくさそうに「守られてる感じだね」と微笑んだ。

花梨が扉に手を触れると、重々しい石扉が“ゴウン”と音を立てて開く。闇の奥からは、うっすらと青い光が漏れていた。

大賢者の言葉が脳裏をよぎる。「記憶の水晶は、人の心を映す。動揺や迷いが強ければ、迷宮は道を閉ざすだろう」と。

花梨は手を握りしめ、決意を新たにする。 「みんな、絶対一緒に帰ろうね。どんなことが起きても、私……絶対諦めない」

迷宮の奥は、ただの迷路ではなかった。通路ごとに見知らぬ記憶の幻が現れ、五人の心を揺さぶる。アリナには家族への想い、スズランには幼き日の誓い、そして花梨たちには“元の世界”の断片が、次々と現れる。

華奈「これ、みんなの記憶…?」

みつき「見せられてるんだ、この水晶に…」

やがて幾つもの選択肢の通路が現れた。その中央、青白く輝く大きな結晶が滲んで見えていた。

アリナが仲間に声をかける。 「核心に近づいてる……でも、もう一歩進むには、みんなの思いがひとつにならなきゃ無理かもしれないわ」

スズラン「一人ひとりの因果が、ここで交わる。疑念を捨てるのじゃ」

強い想いが重なった瞬間、青い光が炸裂し、記憶の水晶が光を放つ。

───その光の中に、新たな“扉”が現れた。

大賢者の声が遠くから聞こえる。

「この扉をどう使うかは、君たち次第だ。進め、君たちの物語は、ここからだ!」

光の扉の先には、

まだ見ぬ未来が待っている───。

光の扉がまばゆく輝き、五人は一歩踏み出した。

──しかし、踏み込んだその先は「何もない空間」だった。淡い青白い光が漂うだけで、どこまでも地平が続いているように見える。

花梨「え…?ここ、どこ…?」

花梨が戸惑いの声を上げる。

みつき「元の世界……じゃない、よね?感じたことのない空気だ。」

スズランがゆるく首を振った。

「これは、“扉”の間。つまりどこにも属さぬ狭間の空じゃ。選び直すことすらできぬ場所なのじゃろう」

沈黙が落ちる。誰もが、元の世界の景色や、大切な人たちのことを思い出し、胸を締め付けられる感覚に襲われていた。

アリナが歯を食いしばって言う。

アリナ「きっと、大賢者が言ってた“因果”が足りなかったんだね。まだ、みんなの心が、迷っていたのかも」

華奈がゆっくり口を開く。

華奈「帰りたい気持ちは本物だった。でも……今ここにいる自分たちの“思い”も、それと同じくらい強かったんだと思う。」

やがて光が揺らめき、目の前に巨大な扉が現れる。 だが――それは閉ざされたまま、びくともしない。「記憶の水晶」がまた淡く光り、音もなく砕け散った。

みつきがそっとその肩に手を置き、優しく笑った。

「花梨、きっとこれは“終わり”じゃない。今は帰れないだけで、私たちが一緒にいる限り、また道は見つかるはずだよ」

スズランが静かに言う。

「一度閉じた扉も、歩みを止めなければ、いずれまた別の道が拓ける。過去に囚われるばかりでは、未来も見えぬ」

アリナがうなずく。

花梨「この世界の人たちだって、同じように“居場所”を見つけて強く生きてる。私たちも、ここでもう一度始めよう」

───もう一度帰れるその日まで。

私たちはこの世界で、帰れる時がくるまで頑張る。

そしてまた、華奈とも和解できる様に───

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