病室
「つかれた…」
エルドランから旅に出て早数時間、いままでのことを要約すると、
実はわたし5ヶ月後には現世に戻ってしまう病気的なやつだったんだけど、そこで今までお世話になった人に挨拶をしようっていうことになったんだよね。
ベルマリエまでは5日…そのあとは1日かけて王都に行く。
「じゃあ今日は我とマリンが料理を作るのじゃ。花梨とロニとアリナと華奈とみつきは休んでていいぞ」
スズランが何故か急に宣言しだす。
「えっ!勝手に決めないでよぉ私が料理出来ないの知ってるでしょぉ」
あぁそういう事ね。そう思い料理は任せることにした。
「じゃあ料理を作って待っているぞ」
拠点を張ってバリアも張ろうとすると、頭にズキっと衝撃が走った。
またこれ?そう思い目を開けると、今日は…ベットの上?色的に病院?もうほんと意味わかんない!
ベッドのシーツは白くて、どこか消毒液の匂いがした。壁には味気ないカーテン。やっぱりここ、病院だ…。
わたしは身体を起こそうとしたけど、力が入らない。
「……目が覚めた?」
かすかに扉が開く音、どこか懐かしい声。そちらを見ると、白衣の女性がこちらに歩いてくる。目の奥に優しさがあるけど、どこか距離のある雰囲気。
誰なんだろう…聞こうとしたらその前に話し出した。
「貴方、また世界が重なっちゃったみたいね」
世界が───重なる…?
「頭、痛む?」
こくりとうなずく。女性はそっとおでこに手を当ててくれた。それだけで、少しだけ心が落ち着く気がした。
「あと五ヶ月か。会えるときに会った人には、ちゃんとお別れしているの?」
わたしは、首を横に振った。そう、まだ何も伝えられていない。
「現世を直視するたびあなたの体は弱くなっていくわ。でも、それでも旅を諦めたくないんでしょう?」
わたしはきゅっと手を握った。痛いほど、その手は細くなった気がする。それでも、胸の中の思いは強かった。
「わたし、絶対……今までの人達に会って、お礼を言いたいんです」
女性は微笑み、優しく髪を撫でた。
「それなら、今日もちゃんと気をつけてね。次、目が覚めたときは────どちらの世界か、ちゃんと確かめて」
ぼやけていく視界、まぶたは重くなり、また夢と現のどちらかへ引き込まれていく。
気がつくと、焚き火の匂い。仲間たちの声。ああ、また、あの世界に帰ってきたんだ。
「花梨!」
みつきの声がまっすぐに突き刺さる。目が合ったみんなの顔に、なんだか涙がこぼれそうなほど、ほっとした。
「さぁ、マリンとスズラン特性大盛り定食がもうできてるぞ!はやく席に着くのじゃ!」
マリンが後ろで恥ずかしそうに立っている。
「…コロッケと…サラダと…米と…アクアパッツァ…」
アリナとロニが食べ物の数えていると、マリンが俯く。
「めっちゃ美味しそう!」
みんなでそう言うと、「そんなことないっ!」と言いマリンはテントにこもってしまった。
マリンもスズランもそうだけど大精霊ってみんなツンデレなの?
「いただきます────おいしい!」
魚介類と野菜の旨味が凝縮されてシンプルながらも深みがある!
「マリン!美味しいよ!ありがと!」わたしはテントに向かって喋りかけると、向こうから「ありがとう」と言う声が聞こえてきた。
その後、寝る準備をしていると、華奈がみつきと話しているのが聞こえた。
「...あのさ...花梨が過ごした学校生活って、どこからどこまでがホントなんだろう…私に虐められたのも全部無かったことになるのかな...」
わたしはその話に耳を傾けた───
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