私の愛した国
私はこの国が好きだ。決して裕福ではないが、自然が豊富で国民一人一人が毎日その日を楽しみながら生きていた。争いごとも嫌いな国民性も相まってとても穏やかな日々を送っていた。あの日までは、、、
それは突然の出来事だった。王であったアルファンが崩御した。国民全員から愛され、国を支える臣下たち皆が悲しみに明け暮れた。その後王座についたのは、三男であるクラエスであった。クラエスは幼少期から残虐性がみられた。そのためクラエスは第三位王位継承権剥奪の審議にかけられるところであった。しかし王位継承権剥奪の審議を行う3日前、長男のヒューイ、次男のサーテュが流行り病に罹り命を落としてしまった。その結果審議は延期されさらに現王が崩御してしまった。そして反対するものが多くいる中で、クラエスは王となった。
クラエスは王になってからさらに残虐性を増し、自分の即位に反対していた家臣を皆処罰した。それからというもの自分の意見に反対するものを片っ端から殺していった。そうして周りは恐怖心で何も言えないお飾りだけの、家臣ばかりになってしまった。また近隣諸国との関係も悪化していった。無茶な交易を要求し、それができなければ相手国との関係を切る。そんな無茶なことを続けていたら国の経済は崩壊し国民の生活も貧しくなっていった。
そこでクラエス王は隣国を植民地化することで、自国の経済を立て直すことをもくろみ、侵略戦争を仕掛けたのだ。軍備も資源も何もかもが劣る状態で勝てるわけがないのは全国民が理解していた。しかし誰一人クラエス王に逆らうことができず、結局戦争が始まってしまった。
勿論結果は敗戦に終わった。
そして私の愛した国は消えた