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 国は悲しみに包まれた。


 国葬が行われ、三十日ほど国は喪に服した。


 そして第一王子が国王へと即位した。


 だれも反対するものはいなかった。


 国民の支持、外国への認知度、誠実な第一王子は国内外から絶大な支持を受けていた。


 しかし、エミは納得いかなかった。


 第二王子こそが王になるべき!!といった主張を続けた。


 特にこれといった実績もなく、有力な後ろ盾もない第二王子をエミはおし続けた。王妃になるという自分の夢の実現のために。


 夢の実現のために声を上げ続け、元王妃にも助けを求めたが最大の後ろ盾であった国王が亡くなった今彼女の後ろ盾は実家の商家だけである。しかもその実家の商家も独占的な商売をしていたので敵が多かったので対応に苦労しており元王妃にもエミにも構っている暇はなかった。


 第二王子は現状自分が王になることはないとわかっていた。わかってはいたが、もしかしたら第一王子が不慮の事故で、病気で急死したら自分に王位が巡ってくるかもしれないと頭の片隅で考えていた。エミが言っていることをやんわり口だけで否定していた。


 周囲は第二王子がエミと結婚する時の『エミと結婚できなければ王籍を抜ける』発言を覚えていたので第二王子が王になるなんてことはこれっぽっちも考えていなかった。


 エミが何か言っても特に周りは気にしていなかった。


 重要な会議に出るわけでもない、外交をするわけでもない、公務をするわけでもない。


 何もせずに声だけ張り上げるエミを本当に周囲はなんとも思っていなかったのである。


 ただ、国賓がきたときにもそんな話をされて相手を不快にさせてもいけないのでエミたち第二王子一行は離宮へと住まいを移した。ちなみに元王妃も一緒である。


 離宮はの生活は王宮での生活とほぼ変わらなかった。


 それもそうである。


 これといった仕事をしていなかったのでどこに行こうと一緒なのであった。そして、一応王族なので護衛もついていたし、ていを保つ程度の生活水準はあった。


 ただ、大きく変わったのは尋ねてくる人々が今の国王側の人間というだけだった。


 その国王側の人間は優しく彼らに伝えるのだ。


 『大変でしたね』『あなたたちは何も心配しなくていい』『それだけであなたたちの望みは叶えられる』


 茶会も夜会も行われる。ただしそれは全て国王が整えたもの。

 商人もやってくる。国王が指示したものを持ってくる商人が。

 王子の教育係もやってくる。帝王学も政治のことも教えない教育係が。


 全てが作られた世界でも、彼らは幸せだった。


 なぜなら自分が望んだものに進んでいると決して疑っていなかったから。


 元王妃は国民からの羨望を受けていると、元第二王子はいつか王になる日を、エミは王妃になる日を。決して疑ってはいなかったから。

 


ここまで読んでいただきありがとうございます。

面白かったら評価、ブックマークお願いします。


最近、自分で考えることは大事だなと思うことがありました。

それは自分で考えられるのは今までの学習と経験によるものだよなと実感することでもありました。義務教育の偉大さを改めて感じるこの頃です。

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