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淵底  作者: 川之一
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8. 狙われる魔生


 フージンは何故か随分と強気だ。


 自分は、相手が何者であろうと戦うことを恐れない。ふと、自分が恐れる事を考えてみたが何も思い付かなかった。フージンの挑発も脅しているつもりなのだろうけど、全く怖くない。これで戦う事になるのなら、今すぐにでも戦える。


 ……自分に恐怖という感情はあるのだろうか?


 「……おい……おいって‼︎」

「何?」

どうやら、ぼーっとしていたようだ。フージンは怒った表情でこちらを見ている。自分は考え事をしてしまうと周りが見えなくなってしまうようだ。フージンが何を言っていたのか全く聞いていなかった。


 「お前、やっぱ何か変な奴だよなぁ。もしかして、グマノイス海から流されてきたなんて事ないよな⁉︎ ぶはははは‼︎」

「流されてきたとしても、わざわざ洞窟になんて行かないと思うけどなぁ」

海から流されてきた、この言葉が少し気になる。だが、流されてきたなんて有り得ないだろう。もし、この大海に流されていたのなら、よく生きていたもんだ。


 「もう、行こうぜ! 占い師も遅くまでいないだろうからなぁ! 早く早く早く」

頭で背中を押してくる。フーシィは慌てて再び駆け寄って来た。

「お兄ちゃん、お金は持って行ってね。占い師さん、占ったらお金を請求してくるから」


 大丈夫なのだろうか……占い師に嘘をつかれても困る。どのくらいの金額を請求されるのだろうか。金が無い今頼れるのはフージンだけだった。フージンをジッと見つめる。

「何だ、その目は? お金は貸さねぇぞ。自分で何とかしろよなぁ」

フーシィはフージンに向かって体当たりをした。

「お兄ちゃん、そんな意地悪な事言わないの! ほら、持って行って!」

フージンはしぶしぶ金を持ち自分を睨み付けながら風船の中へと入れた。どうやら、余程金を使いたくないようだ。


 何故か、フーシィはまだ心配そうな表情でこちらを見ている。他に何か気になる事でもあるのだろうか。

「まだ何かあるの?」

フーシィは少し黙ると喋り始めた。

「私達、魔生を殺そうとする騎士団も時々サマケスに来てるみたいなの。ちょっとお兄ちゃんが心配で……」

魔生を殺す騎士団とは何なのだろうか。何故、そんな事をするのだろう……サマケスにフージンと一緒に行くのは危険ではないだろうか。


 「フーシィ、大丈夫! キオゼンを占ってもらったら、オレはすぐに帰って来るぜ! それに、"光滅騎士団(こうめつきしだん)"の馬鹿共になんて負けやしねぇさ!」

「光滅騎士団って何?」


 自分が質問をすると、フージンはまた大きなため息をついた。

「大国アルケレカで結成された騎士達の集まりだ。……アルケレカの王は俺達、魔生を嫌い根絶やしにしようとしているんだ」

何故、王は魔生を嫌っているのだろうか。大国の名前を聞いても記憶に全く反応はない。


 自分は、アルケレカとは関係はなさそうだ。


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