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新作を投稿しましたので、よければそちらもご覧頂けると幸いです!
「私が名前呼びしたのに、何の反応もないんだね。」
「え?」
隣の席の女の子、鈴木優奈が突然そんなことを言ってきた。
何のことやら。
あれこれ考えていると、鈴木が追記した。
「ほら、さっきから海人君って呼んでたでしょ?」
しばし過去を振り返って見る。
…確かに呼ばれていたような呼ばれていないような。
「すまん、今ちょっと呼んでみてくれないか?」
「え!いや~それはちょっと……」
「え?なんで」
「そうやって言われると意識しちゃって、なんか……恥ずかしい」
「?」
こいつ、時々よく分からないことを言うんだよなー。
「優奈ー」
「えwなに?またその転校生君と話してたのー?」
俺がそんなことを考えていると、クラスの男女数名が鈴木の元へとやって来た。
……転校生じゃ、ないんですけどね。
今は三時間目の休み時間。
ということは、コイツら本当に毎時間ここに集まるらしい。
というのも、休み時間になる度に、同じメンツが鈴木の所に集まっては駄弁っているのだ。
自分でクラスの人気者だとかほざいていたが、あれはどうやら本当だったらしい。
現に、今も話題の中心にいることから、鈴木にそれなりの人気があることが伺える。
「毎回話してるんだろ?物好きだよな~笑」
「え~?そんなことないよ~?海人君、とってもいい人だし!」
「てか、なんで名前呼び?笑」
……コイツらが俺のことを良く思っていないことくらいは分かっている。そりゃあそうだろう。
いきなり学校に顔を出したかと思えば、図々しくもクラスの人気者の隣の席にちゃっかり座ってるし、なんなら毎時間喋ってるのだ。(一方的に)
そりゃあ良い印象を持つわけがない。
別に好かれたいと思っている訳じゃない。誰になんと言われようが一向に構わない。
ただし、危害だけは加えないでほしい。平和主義な俺にとって、激しいのは好まない。
しかしそのためには、やはり鈴木をなんとかしなければならないわけで。
「ねぇ海人君、今日は午前中で学校終わっちゃうけど、明日のお昼は一緒に食べようね?」
この通り、野放しにしてれば爆弾を投下し続けるのだ。
なんて恐ろしい。
「おいおい優奈、そりゃあないだろ。」
「そうだよ。いくら何でも今日知ったばかりの人をウチらのグループに入れるわけにはいかないでしょ。」
そうだそうだー。もっといってやれ。
人には皆それぞれ、違う価値観というものがある。
俺には俺の生き方があるし、お前らにはお前らの生き方があるのだということをよく理解してほしい。
「え?そうじゃなくって、私と海人君、二人きりで食べようって言ってるの。」
「「「はぁ~~!?」」」
これには俺もコイツらも、声を揃えて叫んでしまった。
「え、ちょっと待って。優奈、コイツのこと好きなん?」
「好き…かどうかは分からないけど、とにかく興味があるの!」
「いや、意味分かんねえから。第一コイツ誰だよ。」
……ごもっともな意見をどうもありがとう。
その後も彼、彼女らは、俺の意見など聞こうともせず、勝手に口論を続けていた。
(……もう勝手にしてくれ)
これ以上は付き合ってられないと判断した俺は、机に突っ伏して寝るふりをした。
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