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今日の19時か22時に新作を投稿するので、良ければご覧ください!
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ホームルームが終わり、周りを見渡すと、友達の所に行って駄弁っている者や、本を読んでいる者など…過ごし方は様々なようだ。
その中には、一時間目に備えて教材の準備をしている者もいた。
……忘れていた。
そう言えば学校というところは、勉強をするところだった。ならば必然的に俺も、次の時間に備えた準備をしなければならない訳だが…。
教材を一切持っていない俺は、どないすればいいねん……。
「海人君、もしかして~、教材なくて困ってるぅ?」
「……」
この、まるで人を小馬鹿にしているような喋り方で話しかけてきた人物は、俺の隣の席の鈴木優奈だ。
人が苦しんでいるのを見るのが、そんなにも楽しいのだろうか。
俺はそういう考え、否定はしないが嫌いだな。
「引き出しの中、見てみてっ?」
「え」
鈴木に言われるがまま、引き出しの中をのぞき込んでみると、そこには大量の教材が敷き詰められていた。
…そっか。まだ進級したばかりなんだし、放置されていたとしても仕方がない。
学校に来るタイミングは丁度良かったのかもしれない。
いや、そもそも来る気なかったんだった。
とにかく、これで今日一日ぐらいならなんとかやり過ごせそうだ。
そう思っていたのだが、どうやら俺は1番肝心な事を忘れていたみたいだ。
……次の授業、何なんですかね。
時間割なんて知るわけないよな。不登校なんだから。
「海人君、次の授業が分からなくて困ってるんでしょ~」
「……」
鈴木がまたもや茶々を入れてきた。こいつ、あと何回このネタで俺にマウントを取ってくるつもりだろうか。
「ちゃんとお願い出来る子だったら、すぐにでも教えてあげるんだけどなぁ~」
「鈴木様お願いします次の授業を教えて下さい」
もはや俺にプライドなんてものはない。
あるのは如何にして早く家に帰れるかという、追求心だけだ。
「ふふふっ、素直で宜しい!。次の時間は、数学だよっ!」
「あざーす!」
いい気になるなよ鈴木優奈。
調子に乗ってられるのも、今の内だからな!
「あれ、海人君。筆記用具ないみたいだけど、どうするつもりなの?」
「……あの、鈴木様」
「分かってるっ、はい!」
そう言って鈴木は、俺にシャープペンシルと消しゴムを渡してきた。
……はい!受け取りました。
ということは、お前ははもう用済みってことなんだよな。
「あれ、海人君。ノートないみたいだけど、どうするつもりなの?」
「まとめて言えよな!」
何回同じ下りをやれば気が済むねん!
一回でいい。一回でいいわそのノリ……。いや一回もいらんけど。
「よいしょっと」
「……はい?」
何を思ったのやら、あろう事か鈴木は自分の机を俺の方へと寄せてきた。
というか完全にくっつけた。
「こうすれば、いつでも助けてあげられるでしょっ?」
「……」
僕に拒否権は……そう言おうと思ったが、やめた。
言ったところで、どうせ聞き入れてはくれないだろう。
彼女をどうにかしない限り、どうやら俺に平穏は来なさそうだ。
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