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「……失敗したな。」
引きこもりが登り切るには少し酷であろう階段の前で、俺はそう思わずにはいられなかった。
久しぶりに学校に来てみたはいいものの、どうやら俺にはまだ荷が重かったようだな。
教室は、もうすぐそこだというのに、足が動こうとしてくれない。
吐き気がする……。
目眩がひどい……。
頭痛が痛い……。
学校をサボる理由の三大代名詞がここに集結した。
そもそも、最初からこうなる事は予想がついていたんだ。
ではなぜ俺は、あんなにも嫌っていた学校になんて来てしまったのだろうか。
先生や両親が怖くなったから?
将来に不安を感じたから?
人肌恋しくなったから?
様々な憶測を立てると思うが、残念ながらどれも違うんだよな。
確かに怒られるのは恐えし、不安だって一つや二つじゃ収まりきらねぇ。人肌恋しくなった時だって……いや、それはそもそもなかった気がする。
とにかく何が言いたいかというと、そんなちゃちな理由で引きこもりやめちゃうほど、俺も廃れてねぇってことなんだよな。
まぁ、廃れきったからこそ引きこもりになったという説もなくはない。
ふと思った。
今考えたことをまとめると、俺もう帰っていいんじゃね?
そもそも、俺が学校に来たところで誰もなにも思わないだろうし、このまま引きこもりを続けたとしても、今更だ。
無理して変えようとする必要なんてない。というか、学校にくるメリットって何だ。
ネガティブな思考が脳裏をよぎる度に、意味もなく学校に来てしまった事に対する後悔も大きくなっていった。
「……うん」
しばし考え、俺はついに決意した。
「おっしゃ、今日のことはなかったことにして、帰ろう!」
挫折、という言葉を君たちは知っているだろうか。一般的には良い印象を受けない言葉ではあるが、俺は悪いことだとは思っていない。
いやむしろ、プラスに考えるべきではないだろうか。
人間、誰しも出来ないことの一つや二つ、あるものだ。それを早々に諦め、新しいことに挑戦できるほどの切り替えの早さを持つ人間は有能だ。
しかしその逆。
例えば、一人の男を想うあまり、浮気をされようが何されようが離れられない女の子。皆の周りにもいるんじゃないですか?
そういう子はこの挫折が出来ていないから、周りにメンヘラなんて呼ばれてしまうのだ。
長くなってしまったが、要するに俺は今から帰るってこと。
ここでくだらないことを考えているよりも、家でゲームや漫画に時間を割く方が有意義に決まっている。
そう思い、家に歩を進めようとしたのだが、何もないところで無様にも足を踏み外してしまった。
そういえば、今日はすごく暑かった気がする。
引きこもりの体力、舐めないでもらいたい。いや、舐めていたのは俺だったか。
だめだ。体制を立て直せない。直に俺は倒れ込み、意識を失うだろう。
結局俺は、内でも外でも迷惑をかけるだけの存在だということだ。もういっその事、このまま死んでしまってもいいとすら感じてしまう。
「あっぶないッ!!」
「…………は?」
結果からいうと、俺の体は地面に不時着しなかった。
若干の浮遊感はあったが、何かに支えられていることぐらいは分かる。覚悟を決めていただけに、少し拍子抜けである。
「君、だいじょうぶ?」
「……わーお」
聞こえてきた声、俺を心配そうにのぞき込んできた顔から察するに、こりゃあ女の子だ。しかも、アニメに出てきそうなとびきりの美少女。
アニメオタクな俺には、こういう表現しかできんのだ。
そして俺は思う。
やっぱリアルって、きめーなぁ…。
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