お前こそ邪魔をするな!
今回は前回の続きです。初の2話構成という試みに少しワクワクしております。楽しんでいただけると幸いです。それではよろしくお願いします!
木山玲奈は変身を解除して続けた。
「あなたたちもっと出来ると思ってたのに、全然使えないじゃない!どうなってるのよ!もういいわ。とにかく私の邪魔だけはしないで!わかった!?」
そう言って木山は去っていった。鬼気迫る木山に俺たちはただ立ち尽くし、去る後ろ姿を見つめていることしかできなかった。
しかし、あの怪獣は今までとは違って明らかに様子がおかしかった。あのまま倒してしまっておいた方が良かったのか?逃げてしまった今では確認する術がない。
「ちょっとちょっと!藤崎のせいで僕まで怒られちゃったじゃないか〜!」
「そういえば、お前会員だったな……」
「どうしてくれるんだよ〜!」
「それは……すまん……」
次の日の登校中―――俺はやはりあの怪獣のことが気がかりで仕様が無かった。逃げたってことは今もどこかにいるってことなのだろう。昨日の奴もそうだが、怪獣たちは一体どこから現れているのだろうか。どこかに隠れ家のようなものがあるのだろうか。考え込んでいると学校に到着していた。
下駄箱で上履きに履き替えていると後ろから、
「邪魔なんだけど」
という声がしたので振り返ると木山だった。すごい形相でこちらを睨んでいる。とても怖い。昨日のことを相当根に持っているようだ。昨日はごめーん!なんて気軽に謝れる雰囲気では無さそうなので、大人しく道を開けることにした。
「す、すまん」
「ふんっ!」
ズカズカと木山は校内へと入っていった。案外めんどくさい奴だな。ファンクラブ会員たちはこんな奴のどこがよくて群がっているのだろうか。
「あ、藤崎くんおはよう!」
こ、この声は、川端!!やはり天使か?この世知辛い世の中に降り立った天使なのか!?俺にとっては木山なんかよりもよっぽど川端の方が魅力的だと思っている。俺はこれからも川端派でいくことを固く誓った。
それから休み時間、授業の移動教室と木山は事あるごとに俺に突っかかってきた。なんだこいつ。暇なのか。暇じゃないなら暇なのか。とにかく暇なやつなんだなと思うしかなかった。
そして昼休み―――いつものように学食で食べていると、木山が俺の前にやってきた。さっきまでと違うのはそこに築村もやってきたことだ。また邪魔だとでも言いたげな木山に対して、
「お前が邪魔だ」
と築村が木山に向けて言った。カッケェ。さすが不良風の人。格が違いますなぁ。ありがたやありがたや。俺は大満足していた。そのまま去っていく築村を呼び止めた。
「築村!ありがとな!」
「あぁ。」
と言って去っていった。去り際もカッケェ。男が惚れる男とは築村のような男なのかもしれないなと思った。
放課後―――また木山に絡まれると厄介なので、颯爽と帰ることにした。すると遠くで煙が上がっているのが見えた。
「昨日の奴か!?」
出現場所に到着すると、昨日の虫型の怪獣が暴れていた。
「よし、いくぜ!変……」
「あんたは手を出さないで!」
木山が俺の変身を遮った。
「こいつは私が倒すんだから!変身!」
木山はライトニングホワイトに変身した。そしてロッドを召喚し、怪獣に攻撃を仕掛けた。相変わらずの連続攻撃には度肝を抜かれる。凄まじい連続攻撃に怪獣もなす術がないようだ。ロッドで怪獣を突き飛ばし、昨日と同様、トドメを刺そうとしていた時だった。再び怪獣の様子がおかしくなった。怪獣がもがき苦しみ始めたのだ。
「一体何が起こってるんだ」
すると、怪獣はなんと2匹に分裂したのだ。
「分裂した!?」
2匹に分裂した怪獣が同時にライトニングホワイトへ襲い掛かる。ライトニングホワイトも必死に応戦するが2匹の息のあった攻撃に翻弄されていた。
「まずい!」
俺がアイテムに手をかけた時、
「だから、あんたは手を出すなって言ったでしょ!」
ライトニングホワイトがまたしても俺の変身を遮ってしまう。しかし、どんどん追い詰められていくライトニングホワイトを見兼ねて変身しようとした時、築村が現れた。
「邪魔をするなと大口叩くわりにはその程度か。笑わせるな」
何この人カッコいい。こんな奴だったかな。
「あんたも邪魔なのよ!魔法少女は私1人で十分なんだから!」
「それはお前1人でこいつらを片付けてから言え。それに俺も強くならなければならない。倒さなければならない奴がいるからな。こいつらはその犠牲になってもらう!変身!!」
築村はドラゴニックブルーへと変身した。
2匹の怪獣の同時攻撃をドラゴニックブルーは見事に受け止めて、そのまま怪力で投げ飛ばした。
「だから、邪魔しないでってば!」
なおもライトニングホワイトは言う。それに対して、ドラゴニックブルーは―――
「お前こそ邪魔をするな!俺の復讐は誰にも邪魔させない!!誰にもだ!!!」
ドラゴニックブルーの気迫にライトニングホワイトは押し負けてしまったようで、その場で固まってしまった。そしてドラゴニックブルーはそのまま2匹の怪獣を圧倒していった。
「俺の力となれ!ドラゴニックハンマー!!」
蒼き龍が1匹に炸裂したが、もう1匹は辛うじて避けたようだった。
「チッ外したか」
もう1匹は昨日のように逃げ去ろうとしているところをライトニングホワイトがロッドで叩き落とす。
「こいつは私が貰う!終わりよ!ボルテックスピア!!」
凄まじい突きが怪獣の体を貫き、怪獣を消滅させた。
2人とも変身を解除し、何も話さずその場を後にした。その後の学校ではどうやら木山は築村にゾッコンらしいという噂が広まり、築村は不良っぽい見た目にプラスしてさらなる厄介を背負うことになったのだった。
「溱!おはよう!溱!ちょっと待ってよ溱〜!」
今回は新キャラ、木山玲奈回かと思いきや、実は築村溱回でした。なんたって私のお気に入りのキャラですからね(笑)話を戻すとして、彼が一体誰に復讐しようとしているのか、それは今後明かされていくと思います。
今回も読んでいただきありがとうございました!今後の展開をお楽しみに!!