エピローグ・あとは任せたぜ
本編最終回!記念すべき最終回の前書きなのですが、何を書いたらいいのか全く浮かびませんね(笑)
この最終回はいらないだろうと思う人もいるかもしれませんが、私は結構気に入っているので、よろしくお願いします!!
魔法少女と呼ばれる人たちの活躍によって世界が守られてから4年が経っていた。復興もかなり進み、当初、壊滅状態であった街はほぼ元通りになりつつあった。
僕の名前は結城直哉。賀原高校に通う高校2年生。幼馴染みの女の子、武内茜音と学校に向かっている。僕にも魔法少女みたいな力があれば、今みたいに弱々しい自分を変えられるのだろうか。
「ナオ君、元気なくない?大丈夫?」
「大丈夫だよ」
「何かあったらすぐ私に言うのよ?私が全力で解決してあげるんだからっ!」
茜音はとても活発で、同い年なのにとても頼りになる女の子である。容姿も綺麗なそんな彼女はまわりからも大人気だ。僕はそんな彼女の幼馴染みであることが嬉しい。特別な気がしているから。でも、本当はとっくに気付いている僕は特別でもなんでもないのだと。茜音はきっと僕みたいな弱々しい奴と一緒にいたくないはずだ。幼馴染みで家族絡みの付き合いがあるから仕方なく僕と一緒にいるだけなんだと。
休み時間や昼休み、放課後になると茜音はよく同級生や先輩たちから告白されているのよく見かける。以前、本当は良くないのだが、彼女が―――
「ごめんね。気持ちはとても嬉しい。でも、私好きな人がいるの」
そう言って告白を断っているのを聞いたことがある。彼女の好きな人とは一体誰なんだろうか。とても気になる。でも、それはきっと僕みたいな奴ではない。茜音と同じように活発でまわりからも人気があるようなそんな人に違いない。
「ナオ君っ!一緒に帰ろっ!」
「うん………」
「どうしたの??最近本当に元気ないよ?」
いっそのこと茜音を遠ざけてしまった方が彼女のためなのかもしれない。
「もうほっといてくれよ!茜音と僕は住む世界が違うんだ!僕は茜音のようには生きられない!いつも付き纏われて鬱陶しいんだよ!!」
「そっか………。私のせいだったんだ…………。ごめんね」
彼女は涙声でそう言った。どうしてそんな反応をするだ。僕といるのが嫌なんじゃないのか。茜音は涙を堪えてその場から走り去ってしまった。
「おい、少年!今のは良くないんじゃないか?」
公園から見ていた大学生ぐらいのお兄さんが僕に話しかけてきた。
「お兄さんには関係ないでしょ!僕のことなんて何も知らないくせに!」
「確かに君のことは知らないけどさ。君だってさっきの彼女のこと、ちゃんと知らないんじゃないのか?」
「それってどういう………」
「人なんて見てるだけで、一緒にいるだけで分かり合えるわけねぇだろ。分かり合えたらエスパーかよっての。追いかけた方がいいぞ。ほら早く!ダッシュダッシュ!」
僕はお兄さんに言われた通り、茜音を追いかけることにした。お兄さんの方を振り返ると、とても綺麗なお姉さんと待ち合わせていたようだった。
とにかく走って追いかけていると、隕石が街に飛来した。物凄い衝撃で僕は壁に頭をぶつけて気絶してしまった。
次に目を覚ますと町は大混乱に見舞われていた。何が起きているのかと辺りの様子を確認してみると、化け物が人々を襲い始めていたのだ。
「そんな………!化け物は魔法少女が残らずやっつけたはずなのに!どうして!」
どうやら飛来した隕石に化け物が入っていたようで、それが町に放たれてしまったようであった。
「きゃあああ!!」
茜音の声が聞こえた。まさか茜音も化け物に襲われているのか。早く助けなくては。急ぐ僕の前にも化け物が現れた。
「こんな時に………」
僕は以前にも化け物に襲われたことがあった。その時の恐怖で足が動かない。茜音を助けなくてはいけないのに、体が全く動かない。化け物が僕に襲い掛かろうとした時、ピンク色の光が化け物を吹き飛ばした。
「大丈夫か?」
「ま、魔法少女………」
ピンク色の魔法少女は必殺技のようなキックで化け物たちを次々と倒していく。
「すごい……。僕にもこんな力があれば………。そうだ!茜音!魔法少女さん!茜音を助けて!」
すると、ピンク色の魔法少女は変身を解除した。中からさっき公園で会ったお兄さんが現れた。
「よう!また会ったな少年」
「さっきのお兄さん!!?お兄さんが魔法少女?」
「まぁそういうことだよな。で、茜音ちゃんってさっき君が泣かせてた子だろ?だったらここは君が助けろ。君があんなこと言わなきゃ今頃一緒にいて守れていたはずだ。こうなってしまったのは確かに隕石のせいでもあるが、君のせいでもある。だから、君がなんとかしろ」
「なんとかってどうしたら……。そうだ!じゃあ、その力を僕に貸してよ!」
「ほう、そうきたか。本当にいいのか?きっとこの力を手に入れたら辛いことや苦しいことがいっぱいあるはずだ。それでも君はこの力を使うかい?」
僕は迷わなかった。今まで茜音が色んなことから僕を守ってくれた。だから、今度は僕が茜音を守る番だから。
「茜音を助けられなかったら、それが一番辛いことだから!」
「いい答えだ」
そう言ってお兄さんは僕にピンク色の変身アイテムを投げ渡した。
僕はアイテムのボタンを起動した。すると、ピンク色の光が体を包み、僕をインパルスピンクへと変身させた。
「お兄さん、ありがとうってあれ?お兄さんは?」
辺りにはさっきまで話していたお兄さんの姿が見当たらなくなっていた。僕は茜音を助けるために化け物に立ち向かっていく。必ず守り抜いてみせる。お兄さんから貰ったこの力で。
「綾二くん、もういいの?」
「ああ、俺の戦いはもう終わったんだ。あとは任せたぜ」
2人は手を繋いでその場を去っていった。
Fin.
この物語が開始から貫いてきたこと、それは力はいつも誰かからもらっているということ。そのもらい方はキャラクターによって異なり、基本的には不思議な声の主であるセインからしかもらってないのですが(笑)唯一違うのが築村という青年。彼はとある魔法少女サンライトオレンジから力を引き継いで魔法少女になりました。私が彼を気に入っていたのは彼がこの物語の趣旨を最も捉えたキャラだったからです。じゃあ、主人公にしろよと思うのはやめてください。
何かを成し遂げるための力はいつも自分だけでは生み出せないーーーと私は思っています。それは両親であったり、友達、職場の同僚、先輩、恋人、伴侶などなど、力を分けてくれる人はそれぞれだと思います。そしてその分け方も人それぞれで、プレゼントという形に残るものや大切な思い出、出来事。物であったり記憶であったりと姿形もバラバラ。人はそうやって誰かから明日を生きるための力を知らず知らずのうちにもらっているのではないかと思っています。そしてもらった力は自分の知らないうちに自分から誰かへと発信しているものです。もらうばかりが人ではなく、上げるつもりはなくても上げているのが人というものではないでしょうか。こうやって力は人から人へと受け継がれている。セインから綾二へと受け継がれた力は巡り巡って、最終回で直哉に受け継がれているように。
ここまで読んでくださった読者の皆様心より御礼を申し上げます。ありがとうございました。
この作品を読んだそこのあなた!今時代は大変な時を迎えているのかもしれません。しかし、そこで悲観しているのではなく、素晴らしい未来がくることを信じて立ち向かってください!今からでも遅くはありません!それではご一緒にーーーー
「変身」