誰にも負けない心が!
普段サラリーマンをやっているので、平日は投稿が止まるかなと思っていたのですが、今回まではなんとなく見通しが立っていたので、平日でも書き上げることができました。今回も楽しんでいってください。
新たに築村が仲間となったが、俺はドンドン敵が強くなっていることに少し不安を感じていた。確かに強い敵が現れればその都度、魔法少女同士が力を合わせればいいのだが、どうしてなのだろうか。モヤモヤがなくならないのだ。
「藤崎くん、おはよう!」
「あ、お、おう」
「なんだか今日は元気ないね?大丈夫?」
川端が心配そうにそう言う。
「そ、そんなことないさ!」
「なら、いいけど…」
悩んでいることが普通の恋の悩みとかなら気楽に相談できるのだろう。しかし、実は俺、魔法少女で今敵がドンドン強くなってて困ってるんだ!なんて相談できるはずがない。てか、話がぶっ飛びすぎて信じてもらえない可能性もある。
今日は授業にも全然集中できなかった。
「おいぃ、藤崎ぃ!聞いてるかぁ?藤崎ぃ!」
「藤崎くん、先生に当てられてるよ?」
川端が肩を叩く。
「あ、え、俺?」
「藤崎ぃ、お前らしくないぞぉ、大丈夫かぁ?」
先生にまで心配されている始末だった。
どうしたものか。敵が強くなることに俺はどうしてこんなに不安になってるんだ。結論は出ているではないか。協力して戦えばいい。なのに何故こんなにも不安なのだろうか。そうこうしている内に気がつけばもう放課後になってしまっていた。
川端から―――
「藤崎くん、一緒に帰ろ?」
―――と誘われたが、今日は1人で帰ることにした。きっと川端なりに心配してくれていたんだと思う。でも、川端に迷惑はかけたくないんだ。ましてや川端をこんな危険なことに巻き込むことはできない。
そんなことを考えながら歩いていると、街が騒がしくなった。どうやら、怪獣が暴れているようだった。急いで向かう。現場にたどり着くと、今回の怪獣はいつも違っていた。そこにいたのは怪獣ではなく、怪人だったのだ。
「人型!?こんな奴、初めてだ!変身!!」
ブラスターピンクへと変身し、すぐさま怪人に攻撃を仕掛ける。怪人は俺の攻撃を次々と受け流していく。
「なんだこいつ……俺の攻撃が読まれている!?」
すると怪人の手が剣に変化した。そして猛スピードでこちらに斬りかかってきた。
「ぐあぁぁぁぁぁぁ!!」
今までとは明らかに違う怪人の攻撃に為す術がなく、絶体絶命のピンチに陥っていた。
「あいつらはまだ来ないのか。相田と築村がいればこんな奴……」
その頃、相田と築村は中間テストの再テストを受けていた。
「なんだか、外騒がしいね」
「だなぁ、もしかして怪獣が暴れてんのかもな」
「コラッ!君たちテスト中に私語はやめなさい!何を訳のわからんことを言っているんだね。これは君たちのためにやっているんだよ!!」
「「すいません」」
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
敵の攻撃は緩まることなく続いていた。
こんな奴に俺1人で勝てるのか?―――勝てるのかだと、勝たなきゃダメなんだ。俺が負けたら、街のみんなは学校のみんなはどうなる?川端はどうなるんだ。いつだったかきめたじゃないか。覚悟を。俺が街のみんなを守るんだと。だから、負けられない。例え勝ち目がこれっぽっちもなくても。
「俺は負けられないんだぁぁぁ!」
ガムシャラに敵に攻撃を繰り出していく。わかった気がする。俺が何故、強くなる敵に不安を感じていたのか。確かに敵が強くなること自体にも不安はある。だけど、本当に心配していたのはきっとそこじゃない。俺は仲間たちとの差に焦りを感じていたんだ。遠距離攻撃を得意とする相田のシューティングイエロー、高い攻撃力と、破壊力を持つ築村のドラゴニックブルー。それに対して俺は何か特別なスキルを持っている訳じゃなかった。だから、焦っていた。俺はこの先もドンドン強くなる敵に立ち向かっていけるのか。強い敵が現れた時、仲間と力を合わせることはもちろん大事だ。だけど、本当にそれでいいのか?頼ってばかりで、2人は俺のことを仲間だと思ってくれるのか?そんなのダメに決まってんだろ!
「おりゃああ!!」
ガムシャラに繰り出したパンチが相手の顔にヒットし、怪人を吹き飛ばした。
「確かに俺には特別なスキルはない。だから、こんな戦いし俺にはできない。だけど、俺には心がある!誰にも負けない心が!この心で俺はお前を倒す!いくぞ!!」
怪人は再び剣で斬りかかろうとしていた。俺は足に全力を込めた。そのまま怪人が剣を振り下ろしたところに狙いを定めた。
「これでもくらえ!」
回し蹴りで相手の剣をへし折ってやった。怪人は剣が折れたことに動揺し動かなくなっていた。
「受けてみろ!これが俺のハッピーストライクだぁぁぁ!!」
回し蹴りの勢いをそのまま回転し、遠心力を加えた2度目の回し蹴りを怪人の顔面に叩き込んだ。怪人は消滅した。
「か、勝てたぁぁぁぁ……よかったぁぁぁぁぁ……」
ホッとして全身の力が抜けるのがわかった。そこに補習組がようやく登場した。
「お待たせ〜」
そう言ってきたのは相田だった。俺は変身を解除した。
「おせぇよ。お前らの出番はもうねぇよっ」
「あぁなんか嬉しそうなんだけど〜、なんかあったの〜?」
「何にもねぇよっ!」
今の俺ならこいつらとも胸を張って戦っていける、そんな気がするんだ。
「なんか戦ったら腹減った。なんか食いに行こうぜ」
「お、いいねぇ〜」
「遅れたんだから、お前らの奢りな!」
「なんでだよ〜!」
「当たり前だろ!」
その頃、何者かが藤崎たちの戦いを見ていた。
「おいおい、あの怪人結構いい出来だと思ったんだけど、倒されちまったかぁ。魔法少女もドンドン強くなってるって訳かぁ。まぁいいやぁ。それぐらい張り合いがねぇと面白くねぇよなぁ?」
今回は主人公、藤崎綾二くんの活躍回でした。普段のサラリーマン生活の中で同世代の人たちがどんどんスキルを身につけて焦っていた私の気持ちを藤崎くんに当ててみました。でも、そんなこと関係ないのかなって俺は俺なりに強くなっていけばいい!という藤崎綾二くんの声が聞こえてきた気がしました。
さて、話は変わりますが、また最後に新キャラ登場のニオイを漂わせておきましたが、ここから仕事して忘れないようにしないと(笑)
今回も読んでいただきありがとうございました。これからもよろしくお願いします。