なんか声変だし
現在のペースでは土日で二話投稿なので、なかなかいいペースかなと思っていますが、他の作家さんはもっと更新ペース早いのだろうか。今回も楽しんで頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。
あれから何日か経ったが、正直まだ心の整理がついていない。まさか自分の他にも魔法少女がいたなんて。ましてやそれが同級生の相田侑亮だったなんて。
相田侑亮、同じ高校に通う高校一年生、こいつも俺と同じで特に学校で目立っているわけではない。頭はそれほど良くないし、運動神経も下の中って感じだと思っていた。そんな奴が魔法少女をやっていたなんて、驚きが隠せない。
本人からいつ魔法少女になったのかを聞くと、俺よりも後であることがわかった。なった理由は俺と似ていて、その場の勢いで変身することになったらしい。変身する際に声に導かれたとも言っていたな。そういえば、あの声もいつからか聞こえなくなっていた。一体何者なのか。
そんなことを考えていると、どこからか声が聞こえた。
「やー!おはよう〜!」
声の主は相田だった。
「なんだ、相田か。」
「なんだとは、なんだよ〜。魔法少女同士仲良くしようよ〜」
前までここの声かけポジションは川端だったじゃないか。川端はどこへ行ったんだよ。今度から相田で行くということなのか。そんなの耐えられないよ。俺は心の声が爆発していた。
幸い相田は別のクラスなので、すぐに分かれらことができた。シンプルに助かったと思っている。
「あ、おはよう。藤崎くん」
これこれ。この声ですよ。今更なに勿体ぶってんだよ。最初から川端を出しなさいよ。それにしても川端の挨拶は癒されるな。
「おはよ」
「藤崎くん、なんだか今日は機嫌がいい?」
「んあ、そうでもないぜ?」
「そうかなぁ?」
相田の後の川端なら誰だって機嫌も良くなるというものだ。ありがとう川端。
放課後―――川端に学級委員の仕事で少し遅くなるから先に帰っていてと言われたので、たまにはのんびり1人で帰るのも悪くないなとそう思っていたら、門で相田が待ち構えていた。
「遅いじゃないか〜!」
「うわぁ……」
相田からの川端は癒されるのに、川端からの相田はここまで元気を奪われてしまうものなのか。見て見ぬふりをして通り過ぎようとしたところ、肩を掴まれた。
「ねぇ、待ってよ〜。どうして逃げるのさ〜」
「なんでお前と帰らなきゃならないんだよ!」
「いいじゃないか〜。友達だろ〜?」
「友達じゃないだろ!」
そんなやり取りをしていると少し離れたところで何やら騒ぎが起こっていた。
すぐに状況を理解した俺と相田は顔を見合わせ、騒ぎのある場所へ向かった。そこでは以前倒したことのある怪獣2体が暴れまわっていた。
「怪獣が2体だと」
「確かに2体は珍しいかもね〜。でも、今日は魔法少女も2人だよ〜?」
「そうだったな、行くぞ!」
「「変身!」」
俺と相田は声を揃えて変身した。
「シューティングイエロー参上〜!キラッ」
相田はそう言ってポーズをとった。本人はいけてるとでも思っているのだろうか。中身が男だと思うと余計に見てはならないものを見せられている気分になってきた。
「お前……いつもそんなこと言ってんのか……?」
「ヒーローなんだから、名乗りは大事だよ〜?」
「俺は名乗らねぇよ!終わったならいくぞ!」
怪獣は俺が初めて倒した尻尾の長い怪獣と前回の空飛ぶ怪獣の色違いだった。色違いって某モンスターゲームみたいだな。いやいや、そんなこと考えてる場合じゃないよな。俺たちはそれぞれの利点を活かし、別々の怪獣と戦うことにした。
戦いの時は息が案外合っているのかもしれない。
俺は尻尾の怪獣に連続パンチを繰り出した。
シューティングイエローもエネルギー弾で空飛ぶ怪獣を狙い撃ちしていた。
「これでもくらえ!」
俺は怪獣の尻尾を掴みジャイアントスイングで空飛ぶ怪獣に投げつけた。怪獣同士がぶつかり合い、空飛ぶ怪獣と共に地面へと落下した。
「一気に決めるぞ!」
怪獣が身動きとれなくなっている隙をついて、俺の掛け声で必殺技に入る。
「フルバースト!!」
怪獣目掛けて必殺のエネルギー弾が炸裂する。そこに俺も必殺キックを叩き込む。
「ハッピーストライク!!」
こうして2体の怪獣は消滅していった。
「ふぅお疲れ」
「あぁ、お疲れ」
2人の魔法少女っていうのも案外悪くないのかもしれないな。シンプルにそう思った。
「さっ、撤収だ」
俺は変身を解除し、帰ることにした。相田も後を追ってくる。
「待ってよ〜!」
時を同じくして少し離れた街で、別の怪獣が現れていた。青年は怪獣への恐怖で体を震わせながらも必死に立ち向かおうとしていた。
「お前を倒して俺は強くなるんだ!!」
しかし、生身の人間であるが故に怪獣相手ではまるで歯が立たない。怪獣が鋭い角で青年にトドメを刺そうとしたその時、1人の少女が青年を庇った。少女はかなりの重傷をおってしまった。
「だい……じょうぶ……だよ?私が……守る…から……」
「なんで俺を庇って……そんな…しっかりしろよ!俺はまた守れないのか……」
しかし、そんな状態でも怪獣は容赦なく襲いかかろうとしていた。
その時、青年には声が聞こえた。
「助かりたいか?救いたいか?」
「誰だ!!」
「君たちが助かる方法は一つだけ」
「それはなんだ!早く言え!!」
「まぁまぁそう焦るな」
「早くしないとこの人が!」
「そうだったね。その子が持っている青いアイテムを使うんだ」
「青いアイテム……これか?」
「そう、それだ。見つけたらスイッチを押すんだ。そうすれば彼女は魔法少女から解放され助かる」
「本当なんだな?」
「あぁ、本当だとも」
「だったら、やってやる!」
「いい覚悟だ。さぁ!戦え!新たな魔法少女ドラゴニックブルー!」
「変身!!」
青年は青い光に包まれ、ドラゴニックブルーへと変身を遂げた。
「なんだこれ……俺、女になっちまったのか!?なんか声も変だし、まぁいい、こいつぶっ倒して、この人を助けるんだ!!」
怪獣の攻撃を次々と跳ね返しいく。そして放たれた拳は怪獣を何十メートルも先へと吹き飛ばした。
「これで終わりだ。ドラゴニックハンマー!!!」
振り下ろされた拳と連動して青い光の龍が怪獣目掛けて炸裂し、怪獣は跡形もなく消滅した。
「うおぉぉぉぉぁぉぉぁぉ!!!!」
青年は雄叫びを上げた。変身を解除し、庇ってくれた少女の元へ駆け寄った。少女の傷は完全に治っており、気絶しているだけのようだった。
「よかった。助けられたのか」
青年の名は築村溱。
唐突な3人目の登場回でした。2人同時変身回でもありましたが、多分同時変身霞む気がするなぁ。
今作を書くにあたって迷ったのが、3人目の築村くんの初変身シーンを主人公に当てるか迷っていましたが、築村くんにあげることしました。魔法少女は継承できるという。この設定が果たして今後何かの伏線になるのか、それともただの一変身方法としてだったのかはお楽しみですね。
個人的に築村くんはかなり気に入っています。人気が出れば、仮◯ライダーみたいに外伝を作ってあげたいぐらい。
今回も読んでいただきありがとうございました。
今後ともよろしくお願いします。