俺は君のボディガード失格だな
前回に引き続き歌姫回です。前回からどことなくホラー要素が強めな気がするのですが、多分気のせいです。
それでは楽しんでいってください!
よろしくお願いします!
「何これ?あなた、背中に彫り物を入れているの?」
「え?入れてないですよ」
「え?でも、背中に……」
木山は松浦の背中をスマホで撮影し、本人に見せてあげた。
「なん…ですか……これ……。いや…いやぁあああああ!!」
松浦の恐怖の悲鳴が響き渡った。
「松浦は今、俺が過去に作った怪人から呪われているぅ」
「なんだと!?」
「松浦を追いかけ回している怪人は全てその呪いをかけた1体の怪人が送り込んでいるものだぁ。この一件については俺は全く関係ないぃ。それだけ伝えに来たぁ。じゃあ頑張ってくれぇ」
「あ、おい!待て!」
そう言って玉置は黒い霧の中に消えていった。
次の日。松浦と木山は学校を休んでいた。ムルシエラゴの言っていた呪いのことも気がかりであったため、放課後に木山の家へと向かった。そして木山から松浦の背中のことを聞いた。
「そうか……そんなことがあったのか」
「えぇ、松浦さん相当ショックを受けているわ。可哀想に……」
俺は木山に頼み、松浦のいる部屋の前へと案内してもらった。
「松浦さん、藤崎が来たわよ」
「ダーリン……私……」
扉の向こうからはなんとか絞り出したいるような、今にも消えそうな、そんな声が聞こえてきた。
「松浦、入ってもいいか?」
「ダメです!!ダーリンにこんな私見られたくない……」
「そっか。俺は君のボディガード失格だな」
「そんなことは……」
「ごめんな……」
俺は部屋の前から離れ、木山にムルシエラゴが言っていたことを話した。
「じゃあ、その呪いをかけてる怪人を倒せば、松浦は解放されるってこと!?」
「わからない。確証はないけど、今の彼女を助けるにはもうこの方法しかない」
「そうと決まればやるしかないわね!松浦さんのために」
「だな」
しかし、問題はその怪人が一体どこに潜んでいるのかということだった。いつも本体ではなく自分が作り出した怪人を向かわせているような奴では見つけようがない。どうしたものか。
「何かいい策はないの?」
「うーん、一つだけ思い浮かんでいる方法がある」
「それは?」
「本体が送り込んでくる怪人に案内させるんだ」
「それってつまり……」
「そうだ。松浦をおとりにしなければならない」
「今のあの子にそれは頼めないわね……」
「私やります!」
そう言ったのは松浦だった。部屋から出た松浦は震えていた。怖いのだろう。
「無理はしなくていいのよ?」
「わかってます…本当はとても怖いです…。でも、このまま隠れてても何も変わらない!私またダーリンや木山さんと学校に行きたい!楽しく笑いたい!」
「約束するよ。今度こそ君を守り抜いてみせる」
俺は松浦に誓った。
次の日、作戦は決行された。まず俺たちは敵に気付かれないように身を隠しながら、松浦を見守ることした。そして松浦にはあえて人気の少ないところを歩いてもらうように頼んだ。すると、作戦通り怪人が松浦の背後に現れた。そこを俺と木山で挟み撃ちにした。
「おっと!そこまでだぜ!」
「キサマラ!」
「お前に聞きたいことがある。お前を作った親玉はどこにいる!」
「セルペンテサマガアイタガッテイルノハソノオンナダケダ!」
どうやら親玉の名前はセルペンテということが判明した。なんて口の軽い怪人だ。そして怪人は襲いかかってきたが、俺と木山で返り討ちにした。消滅する前にもう一度セルペンテの場所を聞くことにした。
「セルペンテっていうのはどこにいる?」
「セルペンテサマハ……」
何かを言おうとした時、怪人の様子が途端におかしくなった。すると、怪人はそれまでとは違うはっきりとした言葉で話し始めた。
「我に会いたくば、学校の屋上に来るが良い。そこで待っている」
どうやら、セルペンテが直接こちらにコンタクトを取ってきたようだった。俺は松浦の身を案じたが、松浦は意を決したようだった。
「ダーリン、木山さん、私行きます!」
「本当にいいんだな?君に呪いをかけるような怪人だ。どんなことが起こるかわからない。それでも大丈夫か?」
俺はもう一度と松浦に確認した。意を決したとはいえ、やはり彼女は怪人たちに怯えており、本当は行きたくないのだろう。そんな想いがヒシヒシと伝わってくる。そんな彼女を見ていると、彼女を守って消滅した怪獣のことを思い出した。
そういえば、お前とも約束してたっけか。お前のお姫様を守るって。
「ちゃんと守らないとお前に怒られちまうな……」
「ん?なんか言った?」
「いや、なんでもない。じゃあ、行くか!キッチリ片をつけて、来週からはちゃんとみんなで学校に行こう!」
「はい!ダーリン!」
そして学校へと辿り着いた。学校には普段とは違う異様な空気が漂っている気がした。俺たちは階段をゆっくりと登っていく。そして屋上に繋がる扉が開けっ放しになっているのを見つけた。恐る恐る屋上へ繋がる階段を上り、屋上に到着した。
そこには無数の蛇をその身に宿した、セルペンテが待ち構えていた。
「よく来たな」
「お前を倒しに来てやったぜ!」
続く
綾二と玲奈という特別編以来の珍しい組み合わせで歌姫を守るという構図私は結構気に入っています。玲奈を溱につけたのは失敗したかもしれないと思うほど、綾二と玲奈の息が合ってきてるんですよね。悔しい!!!
今回も読んでいただきありがとうございました!次回をお楽しみに!!