お前は!!
意外と早く3話目が投稿できてよかったです。今回も楽しんでいただければ幸いです。よろしくお願いします。
高校生活もだいぶ慣れてきた今日この頃。以前とは違う高校生活を満喫中である。俺の高校生活を激変させた要因。それは何を隠そう魔法少女になった事以外、考えられないだろう。そして委員長の川端ともあの出来事以来、仲良く接することができるようになっていた。かなりの進歩だと言えるであろう。
「おはよう、藤崎くん!」
「おはよ」
少しは魔法少女に感謝しなければならないのかもしれないな。授業中、考え事をしていた。魔法少女とはなんなのか。あの声の主は誰なのか。そして怪獣はどこから現れているのか。考えても答えなど出るはずもないのだが、考えずにはいられなかった。俺はこれから一体何と戦うのか。
放課後―――
「藤崎くん、一緒に帰ろっ!」
川端が声をかけてくれた。もちろん断る理由はないので―――
「仕方ないな」
と答える。少し無愛想な感じになってしまった。
下校途中、何やら街が騒がしいことに気づいた。街の方をよく見ると何か飛んでいるのがわかった。
「なんだあれ?空を飛ぶ怪獣……!?」
空を飛ぶ鳥のような怪獣の姿を確認することができた。怪獣は翼からまるで針のように鋭く尖った羽を飛ばしては街を破壊し、人々を襲い、苦しめていた。
「藤崎くん、あれって……」
川端は以前、怪獣に襲われた際の恐怖心がフラッシュバックしたのか、とても怯えていた。俺は彼女の手を取り、怪獣から遠ざけるように走った。
「こっちだ!」
「あっちょっと!」
しばらく走り、怪獣が見えなくなったところで手を離し、俺たちは息を切らしていた。
「ここまで来れば、もう大丈夫だろ」
「ありがと」
川端も心配だが、このまま怪獣を放置しておくわけにもいかない。俺が戦わなければ街のみんなを守れなくなってしまう。だから、行かなくてはいけない。息を整え―――
「川端、ここで待っててくれ!すぐ戻るから!」
「ちょっと待ってよ!」
川端の声に耳を傾けず、俺は彼女を置き去りにして、再び怪獣の元へと戻ることにした。
「俺の平和な高校生活は誰にも邪魔させねぇ!変身!!」
掛け声と共にボタンを押し、俺はブラスターピンクへと変身した。
「よっしゃ!いくぞ!」
変身が完了するやいなや、怪獣は羽を飛ばして攻撃してきた。次々と放たれる翼に近づく隙が全くない。それにこの羽、痛すぎる。
「痛い痛い痛い!くそ!どうすればいいんだよ!」
逆に隙をつかれてしまった俺は鋭いくちばしによる突進を躱すことができず、突き倒されてしまった。
「うわぁぁぁ」
さらにダメージで倒れ、動けなくなった俺の足を掴み、怪獣は空高く飛び上がった。
「おい、ちょっと待て!離せ!」
抵抗するにも攻撃が全く当たらない。
そして空高く飛び上がったところで、怪獣は俺の足を離し
地面に向けて落下させた。
「マジかよぉぉぉぁぉ!!」
終わった。俺の人生終わった。そう思ったのも束の間、俺は地面に叩きつけられた。辺りにはもの凄い衝撃と落下音が響き渡った。
「ぐぅぅぅ」
なんとか、生きてはいるが、死ぬほど痛え。てか、普通の人間なら確実に死ぬダメージを受けて助かっただけラッキーなのかもしれないが、とにかく立ち上がれないほどには痛い。
怪獣は俺が生きているのを確認し、もう一度同じ攻撃をしようと接近してきた。もう一度喰らったら間違いなく死ぬんではないだろうかと、そう思った時、黄色い光の弾のようなものが怪獣に炸裂した。
「な、なんだ!?助かったのか?」
どこからともなく、黄色い姿をした魔法少女が俺の目の前に現れた。黄色い魔法少女は俺を見てこう言った。
「大丈夫〜?いや、大丈夫じゃなさそうだね〜」
黄色い魔法少女はフレンドリーに話しかけてはきたが、少し馬鹿にしたような態度に苛立ちを覚えた。
「うるせぇ!大丈夫に決まってんだろ!」
「オォ怖い怖い〜。でも、感謝してよ〜。僕が来なかったら君やられてたでしょ〜?」
「ちっ!」
確かにこの魔法少女の言う通りであった。駆けつけてくれていなかったらきっと今頃、地面に叩きつけられて今度こそ体はバラバラになっていたかもしれない。そう考えるだけでゾッとした。
「接近戦が得意そうな君には不利な相手だったから苦戦しても仕方ないかもね〜。ここは僕に任せてよ〜!」
体勢を立て直した怪獣が再び襲いかかってきた。
それを迎え撃つ黄色い魔法少女は指をピストルのように構えた。驚くべきことに指の先端から黄色い弾丸を放ったのだ。そしてそれはピストルのように何発も放たれた。放たれた弾丸は怪獣にことごとく命中し、怪獣は地面に落下した。
「じゃあ、トドメだね〜!」
黄色い魔法少女はピストルの指を1本から2本に変えた。すると、指に光がドンドン溜まっていく。大きな玉になったところでそれをぶっ放した。
「くらえ、フルバースト!!!」
名前は案外普通だな。いや、そんなことを言っている場合ではないな。そのエネルギー弾は見事怪獣に直撃し怪獣は消滅した。
「やったね〜!じゃっ!」
黄色い魔法少女が怪獣を撃破しすぐさま立ち去ろうとしたので、俺はそれを引き止めた。
「おい、ちょっと待て!お前何者なんだ!」
黄色い魔法少女はため息をつきながら、変身を解除した。なんとそこから現れたのは同じ賀晴高校の制服を着た、同級生の相田侑亮だった。なんで男なんだよ。魔法少女の少女は少女が変身するから少女なんじゃないのかよ。
「お前!マジかよ……」
驚いた俺も変身を解除した。すると相田も驚いたようだった。
「えっ、藤崎!?」
魔法少女が2人とも男で、しかも同級生。もうどう反応していいのかわからない。辺りから微妙な空気が漂い始めた。
「そっか、相田、お前も魔法少女だったのか…」
「そういう君こそ魔法少女だったなんて〜……」
俺たちは同じ境遇からか、さっきまでは共闘なんてあり得ないと思っていたが、それを通り越し、一緒に戦っていくことを決したのだった。
「じゃあ、俺行くとこあるから、また学校でな」
「あ、うん、また明日〜」
俺は相田に別れを告げ、急いで川端の元へ戻った。
「川端!」
「もう!すぐって言ったのに遅いよ!」
「ごめんって、でも、ちゃんと戻ってきただろ?」
「アイス奢って……」
「へ?」
「私を1人ぼっちにしたんだから、アイスぐらい奢りなさい!」
まさか彼女からそんな今時っ子な発言が飛び出すなんて思いもしなかった。そんな彼女が愛おしく思えてきた。
「わ、わかったよ!」
彼女の機嫌をなおすために答えるためにそう答えると、彼女の顔に笑顔が戻った。
「絶対だからね!」
「わかってるよ。よし!じゃあ、帰るか」
「うん!」
新しい魔法少女に出会えるとは思っても見なかった。ましてやそれが同級生の男だなんて。謎の声の主は男に恨みでもあるのだろうか。一体何がどうなってるんだ。益々謎が深まっていた。
3話目を書いている時になんとなくではありますが、先々の展開の構図ができてきました。魔法少女とはなんなのか、なぜ男が変身するのか、怪獣は一体どこから現れているのか、という伏線をちゃんと回収できればと思います。今回も読んでいただきありがとうございました。