私のボディガードをやってよ!
今回は作者が10話を執筆する前から考えられていた物語ですので、そういう観点からも楽しめるかなと思いますので、よろしくお願いします!
少女は追われていた。不気味な怪人に。
「はぁ…はぁ…誰か助けて……!!」
必死に逃げる少女。少女が追い詰められ、もうダメかと諦めかけた時だった。怪獣が横から現れ、怪人と戦い始めたのだ。少女は全く状況が理解できていなかったが、今のうちではと思い。再び走り出した。
場面は変わり、学校。夏休みも終わり、久々の登校。
「先生おはよ〜」
「おぉ!おはようぅ!」
「先生なんか怪我してない?」
「ん?あぁ階段から落ちちまってさぁ」
「先生どんくさっ」
夏休み明け早々、担任は怪我をしていた。そんな事は置いといて、久々のクラスではある話題で持ちきりになっていた。最近、大ブレイクしている歌姫、松浦純花のことである。透き通るような美しい声、女性たちも憧れる容姿。何より歳も俺たちと同じのようで、同世代の若者の間で盛り上がっているのであった。しかし、俺は流行に疎い方なので、まだその歌姫のことをよく知らない。そして真央もまた松浦純花のファンのようで、俺にその話を振ってきた。
「綾二くん、純花ちゃんのこと知らないの!?」
「うーん、流行りに疎いからよくわかんねぇなぁ」
「純花ちゃんを知らないなんて、もう鈍すぎだよ!!」
「そんなに良いなら、ちょっと聴かせてくれよ」
そして真央のスマホにイヤホンを接続し、歌姫の歌を聴く。確かにすごく感動する歌声と歌詞だった。
「ねぇ!?いいでしょ!!?」
「あ、あぁ」
真央の熱量がすごい。そんな会話をしている俺たちを見て木山が言う。
「あの子たちいつになったら付き合うのかしら」
放課後になっても、クラスでの話題は歌姫で溢れかえっていた。本当にすごいな歌姫。教室のいたるところから、ライブに応募したなどの声が聞こえる。なんと今回のライブはうちの街で行われるようなのであった。しかし、1つ問題点があるようで松浦純花のライブはここ最近悪質なイタズラなのか、ストーカー被害なのかで、やむを得ない中止が相次いでいるようなのだった。やっぱり歌姫なんてやってるとそういう被害に遭うものなのかと少し可哀想に思ってしまった。
真央といつものように下校し別れた後、それは突然起こった。向こうから少女が走ってくるのが見えた。よく見るとどこかで見覚えのあるような……。
「……松浦純花!!?」
「はぁ……はぁ……助けて!追われてるの!!助けて!!!」
「お、おぉうふ………」
すげぇいい匂いがする。はっ!真央様ごめんなさいごめんなさい!彼女を追って現れたのは怪人だった。
「君を追ってるのってアイツ?」
「そう!だから、助けて!」
「ソノオンナヲコッチニワタセ」
怪人が話しかけてきた。
「悪いがそういう訳にはいかなそうだ!変身!」
俺はブラスターピンクに変身した。
すると、松浦純花が驚きの声を上げた。
「魔法少女!!?」
そして怪人と交戦に入った。怪人はなかなか手強く、俺の攻撃を受けても、あまりダメージを受けているようには見えなかった。
「なかなかやるな」
手こずっていると、どこからともなく怪獣が現れ、怪人に突進していった。
「うおぉ!どうなってんの!?」
驚きの展開に思わず声が裏返ってしまった。そのまま怪人と怪獣が戦い始めた。
「一体何がどうなってんだよ……」
すっかり忘れていたが、俺の後ろに"歌姫"松浦純花がいたことを思い出した。
「そうだ!今のうちに逃げるぞ!」
変身を解除し、彼女の手を引き走った。
「でも、なんで追われているんだ?」
「それが全くわからないの……ある日突然、私がライブに向けてリハーサルをしていると、あの怪人が現れて私のライブを無茶苦茶にするの……みんな楽しみに待ってくれているのに……」
「でも、君に何かあったら大変だ。だから、中止になるのは当然だと思う」
なにやら、松浦純花は何かを閃いたような顔している。
「そうだ!あなた魔法少女なら、私のボディガードをやってよ!」
「はあぁぁぁ!!?」
「嫌ならいいよ。あなたの正体、ネットで拡散しちゃうから」
「それはやめろよ!俺の人生が終わるから!!」
「じゃあ、決まりねっ!」
こうして俺は彼女のこの街でのライブが成功するまでの間、ボディガードを務めることになった。
「はい!これ!」
「さっき助けてくれた御礼!」
そう言って松浦純花からこの街で行われるライブのチケットを渡された。
「これって……いいのか?」
「うん!御礼だから!」
歌姫は人間もできているという訳か。やるな。
しかし、あの怪獣はなんだったのか。怪人に立ち向かっていったところを見ると、松浦純花を守ったということになるのか?いや、さっきの今でそう考えるのは早すぎるか。
「じゃあ、しばらくよろしくね!」
松浦純花と別れた後、興味本位でさっきの場所に戻ることにした。なんと、さっきの怪獣が座り込んでいたのだ。
「すげぇシュールだな……」
何を思ったのか、俺は怪獣に話しかけてみることにした。
「お前、人を襲ったりしないのか??」
「ウガァウガァウガァウガァ」
唸ってはいるが怪人たちのようには話せないようだった。しかし、その姿や様子からコイツには人を襲おうという考えはないことが伝わってきた。続けて質問した。
「お前、ひょっとして松浦純花を守っているのか?」
すると、怪獣は大きく頷いた。
「ウガァウガァウガァウガァウガァ!」
怪獣も歌姫のファンという訳か。やるな、歌姫!
次回に続く。
最近は執筆が板についてきて、2話構成で作ることにも慣れてきました。なので、当然のように2話構成になってしまっていますが、また1話完結に戻したいなとは個人的に思っておりますので、しばらくお付き合いください。よろしくお願いします。さて、話は変わりますが、今回はウルトラマンとかでよくある、味方になる怪獣回というやつですので、話がどこへ向かうのか楽しみにしていてください!今回も読んでいただきありがとうございました!