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やったれ魔法少女  作者: 千園参
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夏休みだからってハメをはずしすぎるなよぉ!

特別編を公開しましたので、その特別編の後に読むとより楽しめる10話が完成しました。楽しんでいってください。それではよろしくお願いします!

 あの時は戦いに夢中で、コウモリ男の言葉を深く考えている余裕がなかったが、アイツは確かに怪獣のことを俺の最高傑作とそう言っていた。あのコウモリ男と怪獣は何か関係があるに違いない。アイツを倒せばこの戦いも終わる。確証はないが、今はそれだけで十分だ。


 次の日―――期末テストを終え、いよいよ終業式を迎えた。


「いいかぁ、お前たちぃ。夏休みだからってハメをはずしすぎるなよぉ!わかったかぁ?」


 担任がテンプレートのような台詞を言いながら、1学期が幕を閉じた。そして夏休みに突入した。

 夏休みが始まって数日、皆それぞれ夏休みを堪能しているようであるが、ここ数日のうちに街では人々が行方不明になる事件が発生していた。行方不明者の中には俺たちのクラスメイトも含まれているようだ。街の人たちは一体どこへ消えているのか。これは魔法少女案件なのか、それとも普通の事件なのか。街には行方不明者の貼り紙がいたるところにあり、街の人々を不安と恐怖で押し潰していた。


 今日は俺と相田、築村の3人で隣の街に遊びに行くことになった。電車を待っている間、掲示板に貼られた行方不明者のビラを眺めていた。


「最近、行方不明者増えてるよね〜。これなんか、うちの学校の子じゃないの〜?」


 相田はビラの中からうちの制服を着た、行方不明者を見つけて切り出した。電車に乗った後も俺たちはその話をしていた。隣町の駅に到着。辺りを見渡すと、どこかで見覚えのある人を発見したのは相田だった。


「あれって〜!」


「ん、どうした?」


 驚く相田に対して俺は冷静に聞き返した。


「あの子!行方不明者のビラに載ってたうちの生徒だよ〜!」


「ま、マジか!」


 よく見ると確かにビラの子にそっくりな容姿をしているように見える。俺は―――


「とりあえず追いかけてみよう!」


―――と提案し、ビラの少女を本人にバレないようにひっそりと、跡をつけることにした。少女を追って辿り着いたのは人気のない廃工場だった。相田は―――


「なんか雰囲気あるね〜」


 心霊スポットにでも来たかのような反応をしている。少女が歩みを止める。少女の目の前にはピエロのような怪人が立っていた。


「魔法少女案件だったわけか」


 そう言って、俺たちはポケットからアイテムを取り出した。


「相田、築村、いくぜ!」


「「あぁ!」」


「「「変身!」」」


 俺たちはブラスターピンク、シューティングイエロー、ドラゴニックブルーへとそれぞれ変身した。そして一斉に攻撃を開始した。驚いたことがある。それは隣町にも怪獣がいるという事実にである。それなら気になる点が一つあり、この街の怪獣は一体誰が退治しているのかということだ。その答えは案外早くわかり、そして向こう側から現れてくれた。


「おいおいおいおい!俺様に内緒でなに勝手にどんぱちやってんだ!」


 1人の男が叫びながら廃工場に入ってきた。


「だ、誰?」


 俺は怪獣への攻撃をやめ、入ってきた男を見ながら言う。謎の男は続けて言う。


「冥土の土産に教えといてやる!俺様の名前は仲本剛志!そして……」


 そう言いながら、ポケットから緑色のアイテムを取り出した。


「変身」


 仲本剛志は変身した。唐突に、変身した。マジですか。本当に変身したの?変身しちゃうの?変身しちゃうのかよ。そして緑の魔法少女が現れた。


「そして魔法少女スラッシュグリーンだ!!」


 スラッシュグリーンはピエロ怪人との距離を一気に詰めた。


「速い…」


 ドラゴニックブルーが反応を見せる。お前久しぶりに喋った気がするな。そしてスラッシュグリーンはピエロ怪人を攻撃し始めた。


「オラオラオラ!どうしたオラ!」


 かなりオラオラな奴だということがすぐにわかった。ピエロ怪人はスラッシュグリーンのスピードに終始翻弄されていた。少しだが、スラッシュグリーンが現れてからピエロ怪人の戦意が喪失しているように感じた。ただの気のせいなのだろうか。それとも反撃させる隙を与えないスラッシュグリーンの高速戦闘でそう見えるだけなのか。よくわからなかった。


「どオラァ!」


 スラッシュグリーンがピエロ怪人を蹴り飛ばした。スラッシュグリーンが必殺技を放つため力を溜め始めると、ピエロ怪人は危機を察知したのか、煙幕を放ち、俺たちの目をくらませた。


「なに?随分情けねぇことする野郎だな!」


 スラッシュグリーンは煙を振り払う。俺たちも煙を振り払うとピエロ怪人はすでにいなくなっていた。


「逃げたのか」


 俺が言うと―――


「逃げるとはなかなか根性のねぇ野郎だな!」


 スラッシュグリーンは叫んでいる。そしてスラッシュグリーンの目が今度は俺たちに向けられた。


「で?お前らはナニモンだ?なんか俺様と似たような姿をしてねぇか?」


「俺たちもお前と同じ魔法少女だ、敵じゃない」


 俺は自分たちのことを簡潔に説明した。すると―――


「敵じゃないだと?敵じゃないかどうかは俺様が決めるんだよ!」


 スラッシュグリーンはそう言って俺たちに攻撃を仕掛けてきた。俺たちは散開してなんとか攻撃を躱した。


「だから、俺たちは敵じゃないんだって!話を聞けよ!」


「うるせぇ!うるせぇ!」


 スラッシュグリーンは聞く耳を持たない。そしてシューティングイエローを蹴り飛ばした。


「うわぁ〜!!」


「大丈夫か!?」


「この野郎!」


 俺とドラゴニックブルーが同時に攻撃するもスラッシュグリーンは持ち前のスピードで躱しながら、反撃してきた。

 そして俺たちもあっさりと蹴散らされてしまった。


「なんだよ、俺様以外の魔法少女って言うからどんなもんかと思えば、全然大したことねぇのな!そろそろおしまいの時間だな!」


 スラッシュグリーンは必殺技を放つ態勢に入った。


 続く。

今回は特別編で先行登場した、スラッシュグリーンの本編初登場回です。そして新章夏休み編の開幕でもあります。隣町の魔法少女はかなり強い。これから隣り合う街の魔法少女たちはどうするのか。それは次回をお楽しみに!!今回も読んでいただきありがとうございました!

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