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哲学貴族の恋愛結婚  作者: めい
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01 はじまり



「この子がお前の婚約者だよ。」


父に紹介された女の子は、一つ下の6歳だった。

うさぎのぬいぐるみを抱きしめて、不思議そうにこちらを見ていた。


「こんにちは。ルイスだよ。」


「はじめまして、ルイス!名前はリディアよ!」


薄い金髪の真っ直ぐな髪の毛に、ふわふわしたドレスをきている。歳の近い女の子は初めてみたので、興味深かった。


遊んでらっしゃい、とサンルームから繋がる中庭に出された僕のあとを、リディアはとことことついてきた。ベンチにこしかけると、僕が持っている本をじっと見てきた。中庭は色々な草花の香りで満ちていて心地がよかった。


「ねぇねぇ、ルイス。ルイスは本をよめる?」


「読めるよ。」


「ほんと!あのね!あのね!私ずーっと不思議なことがあるの!ルイス知ってるかしら?」


「不思議なこと?」


「あのね!みんな髪の毛や目の色がちょっと違うのよ!たまに肌もちがうの!ルイスにあってね、おどろいたの!真っ黒なんだもん!なんでかしら!みんなに効いても、難しいの!」


むっ。とむくれてみせて、キラキラした瞳でリディアは近くの大人に聞いても要領をえなかったらしい不思議なことをいくつも教えてくれた。



たまごはなんで黄色なのかしら?いつも同じ色々ななのよ!


お星様はなんで夜しかみえないのかしら?お昼にもあったら素適なのに!


屋敷にいる子猫は、なんでミルクをのむのかしら?ステーキだっておいしいのよ?



「リディア、君って素敵な女の子なんだね!僕もね、そういうのたっくさん調べてるんだよ!!」


「本当!?ルイスってすごいんだわ!!」


「僕もね、いろんなことが不思議だから、文字を覚えてるんだよ。お勉強するんだ。父様や兄様たちは、沢山の本をもってるから。」


「女の子でも、勉強してもいいのかしら?ルイスは、お嫁さんがお勉強するのは、ダメだとおもう?」


まだこの頃はよく知らなかったけれど、女の人はあまり勉学に励まないものだった。刺繍をしたり、絵画をならったり、ダンスをしたり。そういうのが、素敵なレディなんだと聞いたことがあった。


でも、そんなの子より。



「まさか!沢山の本が読めれば、きっと楽しいよ!」


「うれしい!私、ぜったいルイスのお嫁さんになるわ!」


「僕も!リディアと結婚したら、すっごく楽しそう!」


「「楽しみ!!」」



出会ったその日は、初夏の快晴が美しい日。

芍薬の花が咲き乱れる、素晴らしい庭。



僕たちは、どこまでも無邪気に結婚を約束した。





これは長い長い、婚約者達の物語。



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