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水の大陸  作者: 夢ノ華
草原編
2/3

壱話 緑の草原

小説ってかくの難しいっすね…

風で草花が揺れる

草花特有の優しい香りと緑の香りが辺り一面に舞い上がる


何処からか鳥のさえずりが聞こえた。

耳元ではリスのような鳴き声

ヒラリヒラリと青と赤の不思議な色をした蝶が空を舞う

蝶はゆっくりと降下すると草むらの中で眠っている少女の鼻尖部へと羽を休めた


少女からちいさなうめき声にも近い声が漏れると蝶は慌てて羽を動かし少女から離れていく

そっと目を覚まし、体を起こす

寝ぼけた黄色の瞳が不思議そうに揺れ動く


「東京にこんなところあったか…?

てかなんで、僕こんなところで寝てるんだよ…。」


学校へ向かう途中だったはずだけどなあ、と頭をかきながら立ち上がる

ふと、かばんがないことに気づく。

慌てて探すと、近くの草むらに落ちているのを見つけた。それだけではなく、自分がいた場所を囲むかのように崩れた建物の壁だったものがあるのにも気づいた

そっと触れてみればヒビの入った場所が崩れてしまう


「ボロボロだ…、ほんとうにここどこだろうか。

絶対に東京ではない、それだけはいえる!あれかな!最近アニメとか小説でよく流行りのアレ!」


異世界転生って言う奴なのかな?と頭を傾ける

だが、自分はトラックに撥ねられた訳でもなく

ましてや、誰かに刃物で刺されたわけでもない。

記憶に残っているのは揺れる視界と大きな音を出す世界


そして、落ちてくる灰色



「んー、わかんないや!

それよりも、もしこれがほんとうに異世界転生ってやつなら小学校休めるや!!うぇーい!!ズル休みじゃないけどズル休み!!」


あはは!と笑いながら、カバンを片手に持ち草原に再び腰を掛ける

草花の香りが鼻腔を掠める

見たことのない花々、見たことのないちょうちょ

それだけで幼い少女にとっては目を輝かせる材料だ


「むしあみとか虫かごがほしいなー!あのちょうちょ欲しい!!

赤と青で綺麗!!なんていう蝶なんだろ!!」


いっそのことカバンの中身を取り出してカバンで捕まえてしまおうか

そんな考えが過る。

だが、中身は教科書とノート

それから給食袋と筆箱に体操着の入った体操着袋。出したとしてもどう持てばいいかわからないものだらけだ


しょうがない、今回は諦めよう

だが僕はやる時はやるのだ!!だからこのちょうちょは必ずぼくが手に入れるのだ!!

あれ、でもちょうちょ手に入れても何食べるか僕知らないや。


「…さて、本当にどうしよう。

異世界転生ってやつだとしても、僕ここに一人でいたらやばいよね。

そもそも僕何ができるかわからないし、もしかしたら普通の人間のままなのかもしれないし!

怪物が来たら食べられちゃうよ!」


あわあわ、と慌てながらも立ち上がる

カバンをしっかりと片手で握り歩き出す。

周りは草原と木々が生い茂ってる森


森の方に入ったら絶対に死亡フラグだよなあ

せめて、大きな岩とかないかな~辺りを一度見渡すってのはゲームじゃ普通だし!


だが、少女の視界に映るのはどこまでも続く緑

緑以外の色なんて一切見当たらない。

さすがにここまで緑だと心の奥底から不安な気持ちが込み上げてくる。


僕、ほんとうにやばいところへ来てしまったのではないだろうか?

もし、そうだとしたらどうしたらいいのか

僕、頭そんなによくないし。体力だってそんなにないし…。

本当にどうしよう


少々表情を暗くしながら俯きながら歩く

そのため、進んでいる先に突然現れた存在に気付かなかった。

モフリという感触の中でも、少々の衝撃

それに驚き、尻餅をつく


「いてて…なんだよもー!さっきここに何もなか、った…」


息が詰まったような気がした。

目を見開かせる。


目の前にいたのは、車をゆうに越してしまうのではないかと思う巨大な狼

巨大だけではなく、見た目も普通の狼とは違う

血のような赤色の目、魂を一瞬で飲み込んでしまいそうな真っ黒な身体と黒いオーラ


「…か、かいぶ…つ」


やっとの思いで出した声は余りにも声と呼ぶには及ばない掠れ切った音だった

ズッと音を立て、後ろへ下がる

その瞬間劈くような狼の咆哮が辺り一面に響く

皮切りに、というわけでもないが息をつまらせながらも慌てて立ち上がる


立ち上がっているのか本当にわからない

けれども、足を動かさなければどうなるかは一目瞭然だ。

だが、所詮獣と人の足

どちらが優れているのかは考えなくてもわかる


「あ…あぁあ…!!!」


回り込まれた。

どうしよう、どうしよう…!!!

嫌だ嫌だ、死にたくない!!死にたくない!!!!


低い唸り声をあげ一歩一歩近づいてくる狼

脂汗が額にじんわりと滲む



人生というのは、どうやら簡単に終わってしまうものなのかもしれない

とりあえず、グダグダにならないように色々頑張ろう

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