神様は意地悪だった
『私は、僕は、俺はあの日人間であることをやめた。
今となっては懐かしいという感情すら出てくる程昔の話だけれど、心にずっと植え付けられているその日の出来事は、永遠と私を僕を俺を許してくれる事は無いだろう。』
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ふわりと風が頬を撫でる。それと同時にカーテンの隙間から眩い光が、ひょっこり顔を出してきた。
ふかふかのベッドに横たわりながら、もう朝かと重たい体を起こす。
そして、欠伸をしてベッドから立ち上がると背伸びをする。これが日課、というかやらないと気が済まないことである。
「おはようございます。朝ごはんはいかがなさいますか?」
ガチャリと扉が開く音がして、扉の方を向けばお手伝いの少女がメイド服を着て微笑んでいた。
朝ごはん、はいらないと思った。昨日の夜に少しつまみ食いをしてしまったからだろう。
お腹がすいてないというか、今消化中なのだろう。胃がムカムカする。
「いらないから君達で食べていいよ。今日も取りに行ってくるから」
そう言って微笑んでやると少女はわかりました、と返事をして扉を閉めた。
ここは森の中だからなのかあまり食料が取れないのだ。まあ森の中に入れば殺されることを分かっているからだろう。
ふと、窓を開けて外を見た。
なんて綺麗な青空と白い雲。いいお天気日和なんだろうなぁなんて、平和的な思考を持ってみた。
けれどすぐにバカバカしい、という気持ちが湧き上がってきて笑ってしまった。