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とある日 〜二二一七の日本にて〜

作者: 只の鯨

「そっかぁ、有料だからこの動画見られないのかー」

 僕が動画サイトの画面を見ながらがっかりしていると隣でインターネットブラウザを開いていた友人が怪訝な顔をした。

「おいおい、なんだ今の言葉づかい」

「え?」

「その『見られない』って言葉、聞いたことねぇよ。そういうのなんて言うの? 『ら入れ言葉』?」

「……そっかぁ僕そんな言葉使ってたか。無意識にやってた」

「よくわかんねぇけど日本語の正しい文法じゃねぇって。普通は『見れない』……だよな?」

「それを僕に聞かれても困るけど。まぁそうだね。以後気を付けるよ」

「そんなことよりお前、昨日配信された古文の教科書見た? 一回さらっと目を通したんだけどヤバいだろ。『ら抜き言葉に関する持論』って本。二百年前の本だからだから読めるかと思ったら全然読めねぇ。言ってる意味がわかんねぇんだ」

「僕も読んだけどさっぱりだったよ。多分ある言葉から『ら』を抜いたんだよね」

「でも不思議な所は無かったよな? 『寝れない』『見れない』『来れない』『着れない』。おかしいところなんてないじゃん。そうだよお前の『ら入れ言葉』にそっくりだ」

「じゃあ僕は古語で話してたのか」

「そーかもな。てかあの敬語おかしくね? あれ何、『さ抜き言葉』?」

「そんな文化だったんだろうねぇ。二〇一七年は」

「変だよなぁ。二〇一七年って。おい、そろそろ出ようぜ」

「そうだね」

 そういうと僕達は店を出た。

『VRインターネット喫茶』を。

 友人が思案に耽る顔をした後、言った。

「あっやべぇ。明日の日本史レポートまだ書ききってなかった。先に帰るわ」

「あぁ、じゃあね」

 別れの言葉を言うと同時、彼の姿は消失(・・)した。

『ホームページ』に飛んだのだろう。

 二二一七年、日本の国民が住処を仮想世界に動かしてから十年がたった。

 二十二世紀から始まったビックプロジェクトだったらしい。

 僕らは二十二世紀末チルドレンだから六歳からこの仮想世界で暮らしている。現実に取り残されている僕らの体がどうなっているのかは知る由もない。

 僕も自分の宿題を片づけるために『ホームページ』にカーソルを合わせて決定を押した。

 その瞬間景色が作り変わる。そこは……一つ下のショッピングサイトだった。

「押し間違えた……」

 こうなると押し間違えのない昔の方がいい気もする。

 ……でも僕は現実世界の記憶なんてほとんど無いのだった。

今朝みた夢の話に色々な設定をつけ足した話です。

普段の生活から「ら抜き言葉」や「さ入れ言葉」が気になっています。気になりすぎて夜も寝られません。「寝れません」ではないです。ここ重要。

それにしても「日本住民総フルダイブVR生活」。夢ですね。誰かこの設定を活用してほしい……。

この設定みたいな小説を書く際はご一報ください。見に行きます。

ではでは。

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