この世界で生きた僕ら その2
「ねー、タイちゃん」
「んー?」
土曜日の朝。
タイヨウの部屋には何故か、朝からアオイの姿があった。
「どっかお出かけしよーよー」
学校も無く未だベットの上で横になっているタイヨウを他所に、アオイが座席の回る椅子に腰掛け回っている。
「せっかくの休みになんでわざわざ……。
つかなんで普通に俺の部屋にいんの?あと俺の椅子に座って遊ぶな」
「ぶー、けちー!回覧板まわしに来たら、タイちゃんママがタイちゃん起こして来てって!」
不機嫌な様子を見せるアオイ。
「なんだよそれ……。
今日は別に用事なんか無いはずなのに……んしょっと」
仕方なく起き上がりベットに腰掛ける。
「休みの日だからって、いつまでもぐーたらしてるのは許さん!ってさ♪」
「はぁ……んで?
アオイは友達と遊び行けばいいじゃんか」
相変わらず椅子で回っているアオイ。
「みんな部活だー」
タイヨウは窓を開け、部屋の空気を入れ替える。
「じゃぁ、アオイも部活入ればよかったじゃん」
「まーたそうやって……タイちゃんのひねくれものー」
「ひねくれもので結構です」
部屋用の小さな冷蔵庫からペットボトルのお茶を出し、一口飲む。
「そんなん言ってたら、もっと髪の毛くるくるになるよ?」
「なんだよそれ、怖ぇよ」
「ねーねーねーどっかいこーよー」
タイヨウ自身面倒な気持ちもあったが、それ以上の要因があった。
「うるせーなー……そもそも金無いし」
「タイちゃんママが『アオイちゃんと出掛けるならお小遣い上げる』と仰ってましたが?」
その言葉にスクっと立ち上がる、タイヨウ。
「よしわかったどこへ行こうか、遊園地?映画館?散歩?家でブルーレイがいいなー」
「なるべくお金使わないで、余ったお小遣いを自分の物にする気だね……?」
「……ちっ」
「まぁどこでも良いよー?とにかく家を出る為に支度をしよう!」
「そういえば、アオイは既に準備万端だな」
「ふふふ、備えあれば何とやらさ!」
「さいですか、あ、そうだ水族館行きたいかも」
「いいね!じゃぁ水族館行こう!イルカショー見たい!」
何故か休日早起きすると沸き起こる高揚感がタイヨウにも沸く。
「ヤバいなんかワクワクしてきたぞ!急いで支度するから待っててくれ!」
「アイアイサー!あっでも、出掛ける前にちゃんと調べとこう?タイちゃんと出掛けると……ほら」
二人は遠くを見つめて、過去の事例を挙げる。
「俺とアオイで遊園地行けばジェットコースターは点検で乗れないし?」
「タイちゃんとデパート行けばエレベーター壊れて
閉じ込められるし?」
「アオイとプラネタリウム行けば演目変更期間で見れないし……」
「タイちゃんと水族館行けばイルカショー会場が改装中でやってないし……」
「「はぁ……」」
日常とは常に非常である。




