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この世界に生きる僕ら  作者: くーる
新たな出会いと成長
29/43

アストフトとストラトス


「さて……と、なになに?」


『調査結果報告

アストフトからストラトスへ向かう。

順調に行けば半日で到着出来る見込み。

整備された道を馬車で進む。

今の所は周囲に異常無し。


アストフトとストラトスの中間程の地点。

雨が降り出す。

嫌な臭いの雨。

ストラトスが遠くに見える。

見たことも無い程に黒い雲が覆っている。

雨以外に異常無し。


途中、ストラトスから避難してきた者を保護する。

話を聞こうにも衰弱が激しく詳しく話せない。

まだ避難出来ていない人が多く居るらしい。

近くに村があったので保護した者を預けるついでに、

村の者に話を聞いた。

ストラトスの付近では雨が降り続いてるとの事。

日中にも関わらず黒い雲が日を遮り、

常に夜に近い状態にあるので魔物が多く発生しているらしい。

自警団や警備隊が応戦するも劣勢との事。

再びストラトスへと出発する。


先程、街人を保護した場所から数キロ地点。

魔物に遭遇する。

雇った腕利きの用心棒が応戦。

問題なく撃体。

先へ進む。


魔物と遭遇した場所から更に数キロ地点。

魔物に遭遇する。

先程よりも個体が大きく、数も増えた。

用心棒が応戦。

撃体に成功するも用心棒が深傷をおった。

これ以上の調査は危険と判断。

調査を終了する。


最終調査結果


ストラトスに近づくに連れて雨は強まり

魔物の大きさも、数も増えていく。

ストラトス領内にたどり着くには、充分な戦力と人員が必要。

街の中には未だ多くの人が残されている模様。

明確な必要物資などは不明。


ここまでが調査に向かわせた者からの報告。

ここから先は、私の得た情報を追記する。


ストラトスへは、通りを行くのが安全だ。

しかし速さを重視するのなら、

森を抜けて行けば半分程の時間でたどり着ける。

ただ、馬車は引けない上に夜になってしまえば

魔獣も現れるだろう。おすすめは出来ない。


私の得た情報では、

ストラトスに異変が起きたのは

鉱山より魔石が発掘され持ち出した後からとの事。

闇の力が宿っている、魔物を引き寄せるなど

色々な情報が飛び交っているが詳細は不明。

また、一度はストラトスの領主にて

破棄を命じられるも魔石の行方は不明だ。

調査隊の派遣で何か分かればと思ったが、

ストラトス領地に近づく事すら安易では無いようだ』


「魔石……闇の宝玉なのか?」

可能性として否定は出来なかったが、「何にしてもコレが原因なら、なんとかしなくちゃな……」と頭を抱えた。

そんな時、軽くドアをノックされた。

「ん?また誰か来たな……

またメイドさんかな?キュート隠れててなっ、

俺が呼ぶまで隠れてろよ?」

「キュイー♪」と、キュートは、再びベッドの中に隠れた。

「今開けますっ」

タイヨウがドアを開けると、思いもよらぬ人物が立っていた。

「こ、こんばんわ」

「ふぇ、フェリアス?!」

そこには社交会の豪華なドレスでは無く、寝巻き姿のフェリアスが立っていた。

……いわゆるネグリジェというやつだ。


「お邪魔しても、よろしいかしら」

「ア、ハイ」

タイヨウは、ドアを抑えたままフェリアスを先に部屋に通す。

「(残念だったなお前ら、スケスケでは無かったぞ」)

そもそもフェリアスの部屋からここまでの間、そのような姿で来れるはずも無い事に気付かない。

「(でもなんかドキドキすっぞ)」

「ふぅ、掛けてもいいかしら」

「ドウゾ」

ソファーに腰掛けたフェリアスに向かい合って座るタイヨウ。

「なに緊張してるのっ?あっ、もしかして私のネグリジェ姿を見て興奮しちゃったかしら?」

「ぐぬぬ……、反論出来ない……」

「ふふ、タイヨウはホントに面白いわねっ

安心して?これは普通の寝巻き用よ」

「そうなのかー」(勝負用があるんですか?)


「今日はお疲れ様、ゆっくり休んでね」

「フェリアスこそ、お疲れ様

初めての体験だったから疲たよ……あ、食事と飲み物ありがとうなっ!

会場では食べれなかったから助かった」

「そうだと思ったわっ、喜んで貰えて良かった」

「そういえば密閉されてる容器の中身って何なんだ?

まだ開けてないんだけど」

「あれは、アワアワよ?お父様が好きだからって、来賓の方が泊まる時には必ず運ばせるのよ」

「ああー、アワアワかぁ

確かに広い浴場でさっぱりした後なんかに、キューっとしたくなるもんな!なんて親父くさいかっ」

「ふふっ、何それ変なのっ」

キュイー?


「ハハッ……は?」(キューっと、キューット……キュート?あ、これダメなやつかも)

タイヨウの余計な一言に、呼ばれたと勘違いしたキュートがベッドから飛び出した。

キュイー♪

窮屈だったベッドから解放され、翼を広げ伸びをするキュート。

「えぇ?!ど、ドラゴン?!」

思わずベッドに飛び乗り近くで確認するフェリアス。

「あちゃー」と言いながらベッドに移動し、腰掛けるタイヨウ。

「……おいで、キュート」

キュイー♪キュイー♪

上機嫌でタイヨウの頭に乗るキュート。

「ままままままさか、タイヨウの霊獣?!!」

「あぁ、俺の霊獣のキュートだ

他に知られたくないから内緒で頼む」

「わかったわ!約束する!ちょっとよく見せて可愛いいぃぃ!」

キュイー♪

キュートを抱きしめ、ご満悦のフェリアス。

「(あの時は暗くてよく見えなかったから、ただのカラスの霊獣かと思ってけど……まさかドラゴンだったなんて!)」

「初めて見たわ、あぁ、可愛い……」


「と、ところで何か用があったのか?」

ベッドに一緒に座る形になってしまい、目のやり場に困るタイヨウ。

「あ、特に用は無かったんだけど、なんか眠れなくて……タイヨウは何かしてたのかしら?」

「俺は社交会でレインズさんと話をしてた情報屋?の人から貰ったストラトスの調査報告書を読んでたんだ」

「情報屋?……あぁ、あの人かしら」

フェリアスはベッドの上で壁側に移動し、キュートの翼を広げて遊んでいる。

「フェリアスも知ってる人なのか?」

「一介の情報屋が社交会に来れるわけないでしょ?

巷ではアストフトいちの商人兼、情報屋と言われてる人だわ」

「レインズさんと凄まじいと言うか、腹の探り合いみたいな話をしてたけど……」

「私も詳しくは知らないけど、あの人の先代とお父様の親交がとても深くて、うちに有益な情報を提供してくれているのよ」


「ずっと後ろで話を聞いてたけど、俺には踏み込めない世界だったよ……

んで、その時の紙を明日の会議の資料として使うって言ってたな」

「そう、じゃぁ私が今ここで読む必要は無いわね」

「そうなのか?」

「私もその会議に出るのよ」

「なるほど、そうゆう事か……お?なんだキュート?」

それまで大人しくフェリアスに遊ばれていたが、飽きてしまったのかタイヨウの頭の上にやって来たキュート。


「そう言えば、なんでアイガールさんはストラトスに援助をする予定だったんだ?」

「もともとね、アストフトとストラトスは近い位置にあるし、ストラトス家の領主様も気のいい方だから、

アストフト家とも友好的な関係なのよ」

「へぇ、そうなのか」

「ただ、前に比べると魔物も増えて来たから……ちょっと遊びに行くって感じでは、行き来が出来なくなったのよ」

「魔物が……」

「っそ、だから私も小さい頃に何度か行ったっきりなの……まぁ、ここだけじゃなく、世界中で魔物が多くなってるみたいだけどね」

アイルが言っていたこの世界の異常とは、この事なのかと心に思うタイヨウ。


「私は今回の遠征に参加出来ないけど、私の分までしっかりやるのよ?」

「わかってるっ

フェリアス、色々ありがとうな」

「いいのよ、所でずっと気になってたんだけど……」

キュートが居なくなり、手持ち無沙汰からなのか枕を抱きしめるフェリアス。

「ん?なんだ?」

「レイリー ストラトスさんとは、どうゆう関係なのかしら……ッ」

言い終わる瞬間、枕を強く抱く。


少しの間を置き「レイリーは俺の命の恩人だよ」と、正直に話した。

「命の恩人?」

「俺は少し前に記憶が無いまま森をさ迷ってて、魔獣に襲われたところをレイリーに助けられたんだ

それからも、何も分からない俺を支えてくれたのもレイリーなんだ」

「ーーッ」

「あの時は自分の事で精一杯で、レイリーが何しに来たのかも聞かないで甘えっぱなしだったな」

頭の上のキュートを下ろし、膝の上に乗せるタイヨウ。


「……私、何も知らなかった」

「まぁ、俺もレイリーやフェリアス、本当に信頼出来る人にしか話してないよ」

「そう……なの」

飛びたそうにしているキュートをベッドの上に下ろしながら「あ、レインズさんにはまだだったな」と言いつつ、両腕を後ろに突っ張り体重を乗せる。

「どっちにしても、記憶が無いなんて知られたら気味悪がれるだろ?」

「……そんな事無いわよ

タイヨウならそんな風に思わないわ」

「ありがとうな」

「私の方こそ、ありがとう……

タイヨウと出会わなかったら弟の、ルクトのあんな笑顔見れなかった……本当に感謝してるわ」

「なんか湿っぽくなっちゃったな……よーし、この話終わりにしようぜ!」

「ふふっ、そうねっ!終わりっ」


「そう言えばログレスは、まだ例の件で動いてるのか?」

「そうよ?アイツは私を誘拐するって話を聞いた途端、自分からネズミ狩りに名乗り出て、副隊長と一緒に動向を探ってるわ」

「そうなのか、とは言っても狙われてる事に変わりは無いからな、しっかり用心してくれよ」

「タイヨウは私の心配より、レイリーさんの心配してなさい

私は……大丈夫だから」

「バカ言うな

フェリアスも俺の大切な人なんだぞ?

心配するな、なんて無理に決まってるだろ」

「もぅ、ばか……はぁ、そろそろ寝れそうな気がするわ

タイヨウも早く寝て明日の準備に備えるのよ」


「ん?あぁ、わかったよ」

「長居して悪かったわね

じゃぁ、おやすみなさい」

「フェリアスと話せて良かったよ

おやすみ、また明日な」

「こちらこそ、じゃぁね」

タイヨウは、ドアを開けフェリアスを見送った。



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