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この世界に生きる僕ら  作者: くーる
新たな出会いと成長
21/43

この世界の住人


「ふぅ、ごちそうさま

相変わらずここのご飯は美味いな」

「そう言って頂けると嬉しいですっ!

ご一緒させて頂いてありがとうございました!」

「いやいや、こちらこそ

せっかくの昼休みだったのに、色々聞いちゃってごめんな」

「とても楽しかったです!またいらしてくださいっ

今度はレイリーちゃんも一緒に!」

「……そうだね、そうするよ

色々教えてもらったお礼にここは、俺に持たせてくれるか?」

「えっ、そんな悪いですよ!」

「だって、普通ならまかない料理とかで店員さんだったらお金かからないのに、わざわざ伝票打って俺と食べてくれたからさ

せめてお礼させてくれ」

「うぅ、そんな細かい所まで考えてくださってたんですね……

じゃぁお言葉に甘えますねっ!ごちそうさまですっ!」

「こちらこそ、ごちそうさま

ユリスちゃんありがと」

「い、いえ、そんな、ではまた……」

「またね、ユリスちゃん」


フロスタントで会計を済ませ、店の外でこれからの予定を考えていた。

「いゃぁ満腹眼福、これからどうしようかな」

レインズの元での稽古は明日。

ひとまず装備に関してもレインズから助言を貰えた事で、今すぐに他の装備屋に行く必要も無かった。

「ぶらぶら遊んでる時間は無いな

エルフ族の事とか地域の事を勉強しておこう」


タイヨウが図書資料館へ行こうと歩き出した時だった。

「あら、ごきげんよう」

「お、フェリアス、偶然だな」

声を掛けてきたのは、日中の日差しから肌を守るために日傘を差したフェアリスだった。

「……そうですわね、これから何処か行かれるのでして?」

「ちょっと調べ物にな

この前はありがとう、すごい勉強になったよ」

「それは何よりですわ

あなたも勉強熱心ですのねぇ」

日傘をクルクル回して遊ぶフェアリス。


「フェリアスは俺に何か用か?」

「ふぇっ?!……オホン

わたくしは別に、さ、散歩!お散歩ですわっ!」

何故か取り乱した事を気にしつつも、タイヨウは先を急ごうとした。

「そ、そうか、じゃぁ気を付けてな」

「ちょちょちょっとお待ちなさいまし!」

「おぅ? どうした?」

「あ、あなたの調べ物に、わたくしも付き合って差し上げますわ」

「ん?いいよ、散歩の途中だろ?」

この機を逃すまいと、まるでまくし立てるかのように言い放つフェリアス。


「お散歩と言うのは目的も無く歩く事、つまり道中に何か目的が出来れば中断、もしくは中止する事は問題ないのですわ!」

「なんでそんなに必死なんだよ」

「ひ、必死じゃありませんわ!ただ、わたくしは迷える子羊に救いの手を……」

日傘を肩で支えシャフトを両手でおとい、指をモジモジさせるフェアリス。

そんな様子を見たタイヨウは、ほんの少しイタズラ心が芽生える。

「おい、子羊って俺の事だよな?」

「え?!えっと、言葉のあやというか……ッ

気を悪くなせたなら……」

思いのほか肩を落としてしまい慌てて

「冗談だよ、からかってごめんな

フェリアスが居てくれるなら、調べ物もずっと捗る(はかどる)だろうしよろしく頼むよ!」

「は、はい!……オホン

では参りますわよっ」


一方その頃、

「またしてもお嬢様に逃げられてしまった……」

アストフトを走り回り誰かを探す人の姿があった。


図書資料館に到着し、館内に入るタイヨウとフェアリス。

「さてと、おぉ?今日は人がえらい少ないな」

「恐らくアワアワ祭りの影響だと思いますわ」

他の利用者の姿はほとんど無く、ほぼ貸し切り状態の館内。

「こんな所にも影響が出るのか」

「お父様のアワアワ好きも困ったものですわ……」

フェアリスはいつもより広く感じる館内を見渡しながら呟いた。

「ん?フェリアスのお父さんも参加してるのか?」

「え?あ、そうですわね……」


「さてと、これだけ空いてたら席を予約しとかなくても大丈夫だな

さっそく探しに行くか」

「今日は何を?」

「エルフ族の事とか、他のグラウンド?についてかな」

「以前調べていた、古代文字や古代語の続きを調べるのかしら?」

「そうそう、あとはエルフ族がどこに住んでるかとかだな」

「それであればある程度わたくしが教えてあげれますけど……」

闇雲に本や文献を漁るよりも、効率的だと判断したタイヨウ。

「じゃぁお願いしようかな

説明しやすくなる本とかあるか?」

「そうですわね、世界地図と歴史が一緒に見れる本があれば、それを使いますわ」

「分かった、探してくるから席でまっててくれるか?」

「それならわたくしも……」

「これから色々教わるのに、教本まで探してもらったら悪いだろ

すぐ戻ってくるからさ」

「そこまでおっしゃるのなら、ここでお待ちしておりますわ」

「あぁ、悪いな」


フェアリスを待たせ、教本となるべく資料を探すタイヨウ。

「んー、似たような本ばっかでよくわからんッ」

細分化しきれずに並べられた棚の中から無作為に手に取った一冊の本。

『セルソフィアの地図と歴史』

「これでいいな」


静かな館内に響くタイヨウの足音。

探し出した本を手に持って席に戻ってきた。

「お待たせ、これで大丈夫か?」

本を受け取り、パラパラと中身を確認するフェアリス。

「問題ありませんわ」


フェアリスに確認がとれた所で、自らも席に座り直す。

「じゃぁ、よろしくお願いします」

他の利用者がいない事で声が館内に響く。

談話が許されているとは言え、広い空間に自分達だけの声が反響するのは、少し気恥しいものがある。

なるべく声を落としつつ話を始めた。

「まずエルフ族に関して、どこまでご存知かしら?」

「えっと、エルフ族が人間を毛嫌いしてる事とか、エルフ族の名前の由来とか……

あとフェアリスからも聞いた、古代語を組み合わせて使うとかかな」


「分かりましたわ

じゃぁまずエルフ族の認識からお話しましょう」

フェアリスが言うにはこうだ。

結論から言うとエルフ族からの印象については、グラウンドによって全然異なり、

北 最悪

東 良くない

南 普通

西 良 との事。

「北のエルフ族の印象は最悪なのか……」

「北に位置するローグファリアスは、広大な大陸に砂漠や

ジャングルなどが多いグラウンドですわ」

今回話しの肝に(きも)になるエルフ族が一番多く暮らしているのもローグファリアスのようだ。


「そのローグファリアスでは遥か昔、人間の手によって森林伐採が進み、それが原因でエルフ族とのいざこざがありましたの」

「ふむ……」

「ただ単に森を減らしたからで無く、これにはエルフ族の存続を左右する問題だったのですわ」

「エルフ族の存続?」

「そう、エルフ族は森を守る存在として古くから知られていますが、そのじつエルフ族は精霊と共存をしておりますの」

「精霊と共存……」


「エルフ族は元々身体が弱く、常に魔力を消費して肉体を維持しており、自身の魔力が無くなればエルフ族は死んでしまいますわ」

「長寿の種族なのにか?」

「エルフ族の習わしに、 一根一霊いっこんいちれいと言うのがありますの」

一根一霊いっこんいちれい?」

「ひとつのに対しひとつの精霊が宿ると言う意味でして、その精霊達がエルフ族に魔力を分け与え、その代わりにエルフ族が精霊を守るのですわ」

「ミツバチみたいだな

蜜を貰う代わりに花粉を運ぶ見たいな」

「……続けてもよろしいかしら?」

「あ、はい、すいません」


「コホンッ、つまり草木など植物を守る事でエルフ族も生きるための魔力を貰っている

これがエルフ族と精霊の共存関係ですの」

「そらがエルフ族の長寿の理由になるのか?」

「魔力で肉体の維持を続ければ、肉体の老化は極端に遅くなりますの

それが長寿の理由ですわ」

「なるほどな

自分達の命を繫ぐ木々を切られる事は、自分たちの命を切られてるのと全く同じなんだな」

「そうですわね

ただわたくし達人間は、木を切り生活していますわ

紙を作り、家を建て、家具や、このテーブルさえも木で出来ていますわ」

理由は違えど、どの世界でも森林伐採は問題視されているんだと思うタイヨウ。

「確かに見渡すと木で出来てる物が多いよな」

「今では技術も進歩して、全てに木を頼る事も減りましたが……」

「一度の出来た溝はそう簡単に埋まらないのか」

「そうですわね」


「ローグファリアスはエルフ族発祥の地

故に未だ人間に対する警戒が強いのですわ」

「自分たちの命を脅かすなら当然だよな」

「もちろん人間側もその事を知ってからは、ただ切るだけでは無く、新たなに苗を植え育てる事にも努力をしておりますわ」

「人間も悪気があった訳じゃないもんな」

その言葉に少し顔をしかめるフェアリス。


「しかし全ての人間がそうしている訳では無く、闇雲に切り倒す者も居れば、ゴミを森に放置して汚す者、薬品を使いの森を殺す者と……

同じ人間として許せない行動をする輩もおりますわ」

「それじゃぁ印象が悪くなるばかりだな」

「悲しい事ですわ」

「そうだな

……西のエルフ族は友好的なのか?」


「アークセリアスの事ですわね

アークセリアスは水と共に生きる街として有名ですわ

水の大精霊のセイレーンの加護のもと、色んな種族が共存しておりますの」

「へぇ、一度見てみたいな」

「わたくしもですわ」

アークセリアスでは、主な交通手段として水路を小舟で移動するのが主流らしい。

更に無闇に水を汚せば極刑という、厳しい法もあるとか。


「とても優れた浄水設備もあり、そのおかげで水は常に綺麗ですわ

そのため水の精霊や微精霊も多いんですの」

「じゃぁアークセリアスに住んでるエルフ族は、水の精霊達から魔力を貰ってるのか?」

「おっしゃる通りですわ

故にアークセリアスのエルフ族は率先して水の保護、浄化に取り組んでいますの」

「水を汚せば極刑か、それなら人間も水を汚せないから、

エルフ族との関係も悪くならないのか」

「そうですわね」


「じゃぁエルフ族に話を聞くなら、遠くてもアークセリアスに言った方がいいのかな」

「エルフ族に用がありますの?」

「あぁ、この前の古代語についてとか、他にも聞きたい事があってさ

ここで調べるのにも限界がありそうだから、直接聞きに行こうかって思っててさ」

「……あなたがお調べになってた古代語は、おそらくローグファリアスのエルフ族にしか分からない言葉だと思いますわ」

「なにぃ?!」

「エルクやカーサス、恐らくどちらもエルフ族の古原語ですわ

つまりアークセリアスに移住したエルフ族では、恐らく分からないかと……」

タイヨウは占い師の予言には、逆らえない事を悟った。

「あー……そう、まじかぁ」

茨の道を行くしかないと判明し落胆する。

「おチカラになれず申し訳ありませんわ……」


「いやいやいや、フェリアスが謝ることなんて何も無いよ

ほんとに助かった、ありがとう」

「……はい」

「あとはこの本を使って自分でも調べてみるよ」

「はい」

気に病んでしまったのか、肩を落とすフェアリス。

「そうだ、何かお礼をさせてくれないか?」

その一言にフェアリスが反応を示す。

「あ、あの!それならわたくし……」

「ん?俺に出来る事になるけど、何でも言ってくれ」

「……紙細工が、欲しいですわ」


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