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この世界に生きる僕ら  作者: くーる
新たな出会いと成長
20/43

この世界の戦い方


レインズの気まぐれで稽古を付けて貰うことになったタイヨウ。

店内で自分に合った装備を選んでいた。

「さて、武器と防具を選ばないとな」

「私の店は基本的に武器の製造、強化、錬金だ

防具はあまり揃えが無いから無理にここで揃える必要は無いんだぞ?」

「いえ、これからお世話になるし、ここで揃えさせてください」

「そんな気を使わなくていいんだぞ?」

「あと言っちゃえば他の店行くのも、もう面倒なので」

「ふふっ、正直だなっ

だがそうゆうのは建前だけ言っておいて、本音は言わなくていいんだぞ?」

「はは、気を付けますっ。」


「まぁギルドの簡単な依頼を受けるくらいなら、ここの防具でも問題ないだろう

ある程度戦闘に慣れてから、きちんとした防具にするのもいいかもな」

「そうですね、そうします」

「剣もオーソドックスなソードにして、防具も軽めの物にしておこう」

明らかに金属素材で作られている防具の数々。

持たずしても重いだろう事が見て取れる。

「はいっ」

「全部で5000シルだが、大丈夫か?」

「……安くないですか?」

「う、うるさい!今日はたまたま……セールなんだっ!」

自分の処女作に興味を持たれ嬉しかったのであろうレインズは、不器用にもサービスを施した。

「ハハハ、じゃぁありがとうございます

お言葉に甘えますねっ」

「えぇい!さっさと着替えて来い!」

照れくさくなったのかタイヨウを一蹴する。

「はいっ行ってきます!」

「ん、奥の部屋を使え」

「ありがとうございますっ」

ガシャガシャと音を立てながらタイヨウは奥の部屋へ歩いて行った。

「ふぅ、しばらく退屈しないですみそうだな」


防具を装着するのに手間取ったのか、しばらくしてタイヨウが奥の部屋から現れた。

「ど、どうですかね?」

着慣れない様子が見てわかる。歩幅は小さく、金属音を店主に響かせ歩いてきた。

「んー、まるで似合わんな」

「酷くないですか?!」

「はは、冗談だ

しかしまぁ動きづらそうだな」

「関節が曲がりません」

曲げようにも腕が曲がらず、棒立ちになるタイヨウ。

「お前は案外小柄と言うか、その……」

気を使って言葉を探している様子のレインズ。

「あぁーいいですいいです、分かってますから、大丈夫です」

「本当なら防具をつけた状態での戦闘訓練が一番効果的だが……

それでは訓練にもならないな、よし脱いでこい」

「えぇ、着るの苦労したんですよ?!」

「そうか、つまり関節も曲がらないような、木偶の坊状態で私にしごかれたいと?私はそれでも構わんが」

「すぐ着替えてきます、すぐに」

「ふふっ、行ってこい」


「着替えました」

「よし、じゃぁ壁に掛かってる剣をひとつ選んで貰うんだが……これなんてどうだ?」

丁度レインズの目の前にあった剣を手に取り、タイヨウ

に渡す。

「よく分からないですけど、持った感じは悪くないです」

「初心者向けの剣だからな

軽いし切れ味もそれなりだが、強度が弱いからすぐに刃こぼれしてしまう」

タイヨウ自身も練習用の気持ちで勧められた剣に決めた。「とりあえずコレにします」

「分かった、付いて来い」

「はいっ」


再び練習場にやって来た二人。

「さてと、確かお前は火属性だったな

ちなみに属性攻撃の事は知ってるか?」

「ほとんどわかりません……」

「じゃぁ簡単に説明する、属性攻撃とは自らの攻撃手段に属性を纏わせる事だ」

「先生ピンと来ません」

「だろうな、魔法使いの様に自分の魔力と精霊、微精霊の魔 力を掛け合わせるのでは無く、己の中の魔力のみを消費して発動、纏わせるんだ」

「ふむふむ」

「やってみろ」

「え?!」

「冗談だ、お前はからかい概があるな」

「えぇ……」

「目を閉じて胸とヘソの間の中心に炎をイメージしろ

出来るだけリアルにな」

「はいっ」

言われた通りに目を閉じて集中する。

「イメージ出来たらその炎を纏わせたい箇所までゆっくり移動させる、今は利き手に向けてやるんだ」

タイヨウの中に浮かび上がる静かな炎。

それを剣を握る右手に向けて流れるようにイメージする。

「手元まで炎のイメージが来たら燃え上がるように炎を膨らませ、その瞬間に目を開けて利き手を見ろ」


「……ッ!」

タイヨウが目を見開いた瞬間、紅黒い炎が剣を纏った。

「出来た! ソードに炎が纏ってる!」

「なんだ……紅黒い炎だと?どうゆう事だ」

赤く燃え盛る炎では無く、禍々しさを放つ紅く黒い炎。

「あの、成功ですか?」

タイヨウにはその異常な状況を理解する術は無かった。「あ、あぁ、成功だ

発動を止める時は炎を消すイメージだ」

「はいっ」

心の中で言われた通りにイメージをすると、剣を纏っていた炎が消えていった。


通常では考えられない紅黒い炎。

レインズは直感的に闇属性の可能性を見出す。

「闇属性?いやしかし……」

「あの、レインズさん?」

「……ん?!あぁ、悪いな、考え事をしていた

そのイメージを忘れずに訓練していれば、瞬時に発動出来るようになるぞ」

レインズの表情が険しくなっていた事を察し、タイヨウも

先ほどの紅黒い炎が原因なのかと考える。

「は、はい……」


少しの沈黙のあと、レインズが確信に迫る。

「ちなみにだがお前、闇属性も持ってるのか?」

少なからず覚悟はしていたが、こうも早く指摘させるとは思いもしなかったタイヨウ。

「……はい」

「やはりな、どうゆう事だ?」

「俺にはハードラックっていうスキルが付いてるんですが、そのスキルの中に闇属性の付与ってのがあるんです」「ハードラック?!

あの運が-100を超えると発動するあれか?!

……何故生きている?!」

「キュート、おいで」

キュイー♪

広い練習場で飛び回るキュートを呼び、抱き抱えキュートの背中をレインズに見せる。


タイヨウ 「こいつの背中の紋様、どうやら光の加護というものが発動してるらしくて

これが危険遭遇を回避してるらしいんです……」

「光の加護……」

「でもこの光の加護も、そのうち消えてしまうらしいんです」

「なら加護が無くなるのか?」

「ただ……実はキュートも俺と同じでハードラッカーなんです」

「そのドラゴンもなのか?!

いよいよ規格外だな」

「はい、それで闇属性の主従属性一致で、闇の眷族ってのが発動してるんです」


「闇の眷族、聞いたことないな」

「加護が無くなってからは、それが俺たちを守ってくれるみたいなんです」

次から次へと出てくるタイヨウの秘密にある意味、危機感を覚えたレインズ。

「どうやら、ただの暇つぶしだけでは済みそうに無いな」

「あの、この事は秘密でお願いします」

「わかっている、私の口はオリハルコンより堅いと言ったはずだ」

「……鋼じゃなかったでした?」

「鋼より堅くしたって事だ」

「ありがとう、ございます」


「よし、じゃぁ続けるぞ

ちなみにお前がある程度戦えるようになったら、この子と一緒に戦うよう訓練するからな」

「はいっ!お願いします!」

キュイー!

「ではまず、お前のセンスを見たい、私と戦え」

「戦うんですか?!

つか、レインズさん結構スパルタですねっ」

「お前がこの先、何かと戦う事になればそれは命の取り合いだ、いざと言う時に躊躇すれば死ぬのはお前だ」


その言葉を聞きタイヨウは思い出す。

魔獣に襲われたあの時、死ぬか生きるかの瀬戸際で戦った事を。

「そう、ですね」

「安心しろ、使うのは木刀だ

それに私は受けにわまるから、お前はひたすら私に打ち込めばいい」

「はい、分かりました」


レインズが用意した木刀を受け取り、互いに構える。

「最初に教えたのはあくまでも、片刃剣の構えだから今は忘れろ

子供の時に木の棒かなんかを振り回して遊んだ事くらいあるだろう?それと同じ感覚で構わん」

「はいっ!行きます!」

「来いっ」


もちろんタイヨウは剣術の心得など無く、ゲームやマンガなどでの戦闘シーンを思い出しながら木刀を振り回す。

「はぁっ、たぁっ!」

まるで規則性の無いタイヨウの太刀筋を、眉一つ動かさず軽くいなすレインズ。

「ふん、はっ、おっと」

タイヨウが足を踏み込み、大振りの縦切りを放つ。

「とりゃぁ!」

その先は一瞬の出来事だった。

レインズは木刀を真横に構え受け止めたかと思いきや、半歩前に踏み出しその勢いでタイヨウの懐に入る。

「ふっ!」

タイヨウが怯んだ瞬間、真横に構えていた木刀の剣先を下げた。

「えっ?!」

タイヨウの重心が前方に崩れ、バランスを取ろうと木刀を握る力が緩んだ隙にレインズは木刀を振り上げた。

「うわっ!」

その勢いでタイヨウの木刀は手を離れ床に転がった。


「まぁこんなもんだな、最後は木刀を払い飛ばしたが今の攻防で5回は死んでるぞ?」

「そりゃぁ、素人ですから……」

「だが筋は良かった

スピードもあるし、相手を良く見ている

これなら下手に防具を着けるよりは、観察力、洞察力、スピードを鍛えた方がいいかもしれんな。」

「ありがとう…ございますっ」

「だらしないな、もうヘトヘトか?

まぁいい、今日はここまでにするか

私はこれからのお前の育て方を考えておく」

初めての打ち込み稽古で気力も体力も使い果たしたタイヨウ。

「あ、ありがとうございました」

「明日また来れるか?」

「はい、お願いします」

「キュートが遊べるおもちゃも用意しとくからな、いつでもいいから来い」

キュイー♪

「はいっ!じゃぁ、また明日!」

「あぁ、またな」

タイヨウが店を後にし、店のカウンターの椅子に腰掛けた

レインズ 。

「さて、これからは忙しくなりそうだな」

タイヨウが発動させた紅黒い炎を思い返す。

「それにしても、ハードラックに闇の眷族……

何者なんだアイツは……」



「ふぅ、疲れたな……」

ゴーン ゴーン ゴーン

空に響き渡る時計台の鐘の音。

「もう昼か……飯でも行くかな」

思い掛けずレインズに稽古を付けてもらえる事になったタイヨウ。

これから先、ギルドでの依頼や旅に向けて大きな一歩を踏み出したと言えよう。

「とりあえずフロスタントに行くか」


「いらっしゃいませ!あ、タイヨウさん!」

大きくお辞儀をするユリス。

その反動で大きく揺れる二つの山。

「ユリスちゃん、こんにちは」

なるべく直視しないように気を付けながら、軽く挨拶を交わす。

「こんにちは!あれ?

今日はレイリーちゃんと一緒じゃないんですか?」

「え?あ、うん、なんか忙しいみたいでさ……」

先日にかけて、あれ程仲良くしていたユリスにさえ理由を告げていない事を悟るタイヨウ。

「そうなんですか……あっ!席にご案内しますね!」

「ありがとう」

誰にも理由を話さないあたり、他言出来ない事態なのかと、より一層の不安を増したタイヨウだった。


「こちらの席にどうぞ!」

「昼時なのに今日は客が少ないね?」

いつもなら、食事やユリス目当てに訪れる多くの客で賑わっている時間にも関わらず、利用客の姿は殆ど無かった。

「今日は月に1度のアワアワ祭りですので、大体の方は大広場で宴会騒ぎしてますよっ」

「アワアワ祭り?」

読んで字のごとく大体の察しは付くものの、祭りの詳細聞こうとする。

すると店の奥から声が届いた。

「ユリスちゃーん!休憩入ってー!」

「はーい!……あの」

声のした方向に身体を向け返事をして、再びタイヨウに向き直す。

そんな横の動きにすら二つのスイカは揺れていた。

「ん?どうしたの?」

不用意に顎より下を見ない、を心がけるタイヨウ。

「ご一緒しても、いいですか?」

「もちろん大丈夫だよ」

「ありがとうございます!」

こちらこそと心の中で呟くあたり、タイヨウも年頃の男の子なのだろう。


「エプロンだけ外して来ますねっ!

あっ、ご注文決まってたらついでに聞きますよ?」

特に決めていなかったが、偶然目に止まったメニューの一番上にある物を注文した。

「あっじゃぁ、ランチセット大盛りで」

「かしこまりましたー♪じゃぁ少し待っててくださいねっ♪」

そう言い残し、小走りで店の裏へ向かって行った。

「すごいなぁ、何がとは言わないけど」


数分後。

「お待たせしました!

料理はもう少ししたら来ますので、ちょっと待ってくださいねっ」

「お疲れ様、ありがとう」

以降タイヨウの心の声。

すごい……エプロンと言う布1枚無くなっただけで、ここまで凶暴化するのかッ!

世界最高峰エベレストがふたつも……ッ!

以上。


「あの……」

エプロンと言う枷を外され、凶暴化したエベレストについ見入ってしまっていたタイヨウ。

「えっ?!あっ!?あ、そうそう!

アワアワ祭りって何かなって!」

見られていた事に対し恥ずかしさを感じるも、その質問に答えた。

「うぅ……

アワアワ祭りは月に一度、時計台のある大広場で行われるイベントなんですっ」

「へぇ、時計台の下って大広場になってるんだな」

「はいっ、この日はほとんどの人の仕事がお昼までで、その人達が大広場に集まって、アワアワを夜まで飲むっていうイベントなんですよ!」

「じゃぁ昼の鐘は、始まりの合図見たいなものだな」


「そうですねっ

私はあまりアワアワ飲めないので行ったこと無いですけど、すごい盛り上がってるみたいですよ!」

「なるほど、だから今日は客が少ないのか」

「はい、おかげでこうしてタイヨウさんともお話出来るので、良かったですけどねっ!あっ、料理来ました!」

女性の店員が二人分の料理を運んで来た。

「おぉっ!うまそう!いただきまーす!」

「いただきまーす!」


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