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オーバーラップ  作者: ここたそ
君からのリターンパス
5/18

第1話

この話から第2章になります!拙い文章ですが、お読みいただけると嬉しいです、



「そういえば俺、来月結婚することになったから〜!」


「ぶはっっ!」


一生は口に含んでいたコーヒーを、目の前の智大に盛大にぶちまけた。



「なんっだよ、汚ね〜な〜。」


智大は、スーツにかかったコーヒーを拭き取りながら、文句を言った。


「だ………誰と?」


麻美あさみに決まってるだろ〜が。」



麻美とは、智大が遠距離恋愛している彼女だ、一応。


というのも、智大との普段の会話で麻美の話が出てくることなどほぼないため、一生自身もその存在をすっかり忘れていたのだ。



「一体どういう風の吹き回しでそうなったわけ?言っちゃ悪いけど、おまえ、麻美ちゃんの他にもさ……」



そう、智大は遠距離恋愛中なのをいいことに、時たまその場限りの女性とも遊んだりしていたことを、一生は知っていた。


だからこそ尚更、今智大の話を聞くまで、麻美のことなど頭からすっかり抜け落ちていたのだ。



「ま〜あれはさ…ほんと一夜限りだから。寂しさを埋めるためっていうかさ〜。」


智大から、歯切れの悪い返事が返ってきた。



「後腐れはないんだな?」


「ないない、大半の女はもう連絡先も知らね〜よ。」




それはそれで酷い話だな、と思い一生は苦笑いを浮かべた。



「この間さ〜、4か月ぶりに麻美のところに会いに行ったんだ。」



それで?と一生は聞き返す。


「大変だったんだよ。いい加減きちんとケジメをつけてくれないと別れるとか、泣きながら喚きちらされて〜…。」


「うん。で?」


「最初、めんどくせ〜な〜もう知らねぇよ、とか思ったんだけどさ。」


「うん。」


「まあ、確かに俺も長らく放置してたし。」


「放置どころか、浮気してたくらいだしな。」


「うるっせ〜よ。やっぱ何だかんださ…失いたくはないと思ったわけよ………麻美のこと。」



やはり、大事なターニングポイントで、きちんと結論を出すところは智大の長所だ。


「それで、結婚の流れになった訳か。よかったじゃん、おめでとう。」


「おう!俺はやればできるんだ!愛は国境を超えたぜ!」


…遠距離恋愛とはいえ、国内同士なんだから国境は超えてないだろ、と心の中で突っ込んだ。お前が超えたのは、せいぜい県境だ。



「一生がさや沙ちゃんと、生温く仲良くしている間に、俺は修羅場を乗り越えてたってわけだ。」


ーーーなんだよ、生温くって…。



あのランニングでの偶然の再会の後から、一生とさや沙の距離感は確実に縮まっていた。


お互い仕事忙しくない週末は、例にもよってランニングをしたり、ご飯を食べたりと、一緒に過ごす時間が増えた。



「それで来月、結婚式を挙げるんだけどさ〜。」


智大が、話を巻き戻す。


「まあ、式っていっても堅苦しくない友人主体のパーティーみたいなのにする予定でさ。」


一生が頷く。


「おまえ、さや沙ちゃんも呼んで一緒に参加しろよ。」



「はぁ〜?」


智大からの思いもよらない提案に、思わず間抜けな声をあげた。


そんな一生を諭すかのように、智大は淡々と話はじめる。


「いいか一生、よく考えてもみろ。お前とさや沙ちゃんは、このままだとず〜っと、仲のいい友達の関係が続くことになるんだぞ。」


さらに智大は続けた。


「恋愛なんてそんなもんだ。何かアクションをおこさなければ、発展しようがない。しか〜し、おまえは運がいい。」


色々と突っ込みたかったが、ひとまず智大の持論を黙って聞くことにした。



「このタイミングで俺の結婚式という、友達から恋人へ昇格するにはナイスなイベントが待ってるんだからな。」


「なんでおまえの結婚式に行くと、恋人になれるんだよ…。」


流石に少し言いたくなり、一生は話の流れを止めた。


が、全く気にしない様子で、智大は説明を続けた。


「結婚式に参加すると、目の前には幸せそうなカップル、もとい新郎新婦の仲睦まじい様子を、まじまじと見せつけられるわけだ。ほとんどの女子はそんな光景を見ると、いいなぁ〜わたしも結婚したい!恋人がほしい!って気分になるもんだぜ〜。そんなときに、横にフリーのそこそこイケメンがいたら、まあ付き合ってみるかって気にもなるだろ。」


「そこそこ、が余計だな。」


「だから俺の結婚式を利用して、さや沙ちゃんの気持ちをおまえに向くように仕向けてみろよ〜、なっ!」


ーーー多少強引ではある、たまには智大の誘いに乗ってみるのも悪くはない、か。



「わかった、じゃあ参加するか聞くだけ聞いてみるよ。」


智大は白い歯を覗かせて、ニカッと笑った。


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