二十六話 簡単過ぎた
ディムラン
これでも、私は、多くの世界を見てまわってきた。
多くを知り、戦い そして鍛え上げられた部下達と共に、今 あの神兵が、居なくなった付近へと来ている。 おそらくここら辺にいるのだろう
こっちに向かってくる者が居た。 全身が血だらけでありながら傷一つない男 神兵の血か? いや違う この男本人の血だ。
私の能力の一つとして、魔力などを、見て誰がどういうのなのかを、一瞬で分かると言うものがある。 それで、分かった。
この男、人間にしてはかなり多い部類に、入るだろう 神兵を、それも、半神の神兵を、殺すにはいささか足りないような気がするが、
こちら側が武装し警戒しているのを、嘲笑うかのように、男は、薄いローブを身に纏い腰にかけた武器であろう物しか装備していない。 しかもそのまま前進してくれる 中々の、奴ではある。
「…貴様か 神兵を倒したのは」
一応聞いてみる。 まぁありえない話だ。 単なる人間が、半神を、打ち倒すなど、
奴は、腰から剣を引き抜き 臨戦態勢へと切り替えた。 そして質問には、反応しない。不気味な奴め
「奴を捕らえよ」
そう命令し、10人ほどの神兵で、奴を取り囲み捕えようとしたが、奴の姿は、その瞬間消えた。
その後すぐだ。 神兵が、三人も同時に死んだ。
一人は、奴の剣で刺され
一人は、首を曲げられ
一人は、心臓部を貫通された。
しかし奴の姿は、見えない。 隠れているのだろうか はたまた逃げたのだろうか……神兵達も、この状況を怯え狼狽してしまっている。
そしてまた神兵が殺られた。次は、体が上半身と下半身で別れた。 私だけが、何が起こったか理解できた。奴は大きな大剣のような物で薙ぎ払っていた。 しかもその刃は、一つ一つが動いており、更には、魔力を帯びていた。 キュィィィン と、甲高い音が辺に、響く
魔剣だと一目で分かった。 しかしあんなのは、見たことがない。 今の時代 魔剣を打てる者も少なくはない。だが、奴の魔剣は、普通じゃない。
私は生き残った神兵と共に逃げた。流石に少数ではアレには勝てない。 思った以上の戦力だ。 幸いな事に、奴は、追っては来なかった。 私自身が、本気を出せば 状況は変わっただろうか まぁ良い これを、奴らに教え 対策すべきだ。 流石に数には勝てまい
◇◆◇
塚本
「…全く あの中にハヤメの分体が混じっていることすら気づかないか」
そう私は、逃げていく者共を、見送っていた。 あっ私が何をしていたかか? そうだな まず 神兵の体の組織を調べハヤメが変身できるか試してみた。結果 案の定そのままコピー出来てしまった。
ちなみに関係のない話だが、 ハヤメが出来ることはとんでもない数ある。 戦闘 変身 空を飛ぶ 同化 侵食 融合 料理 片付け 掃除 偵察 癒しなどなどだ。
閑話休題
次にある魔導人形を、制作した。 その名も、
機械仕掛けの神兵 そのままだな まぁその性能は使うときにでも、説明しようではないか
それにしても、私が異常ね 精霊神には、もっと異常な奴は多いってことを、あっちで学習してくれると良いんだが、 というより私はまだ正常な部類だ 問題ない。
さて、神兵の死体《材料》も、集めなくては、勢い余って 神殺しで、真っ二つにしてしまったが、概ね問題はなかったりする。 何せ肉片一つでも良い材料になるからな ふふ これで研究が進む。
しかし 元々血だらけだったから良かったものの、普通の服を着ていたら捨てる羽目になるところだった。 はぁ普通の魔法が使えれば良いんだがね。 なお、私実は天雷と、基本的な肉体強化以外魔法を使えないのだ。 天雷は、特殊な部類だから 私でも使えるというだけだ。
さて、神共は、どのような反応を見せるだろうか ハヤメに気づければ及第点としてやるかな 気づければだが、 ハヤメを通して 話し合いなどを、盗聴することとする。
なお、この後だが、私の肉片を通して 精霊神達が何をしているのか 探ったりしていた。 屑い? 何を言うか 私だって自身の過去を知りたいのだ。