〜ポリシーに反する〜
今回は知由のターンじゃないです(=´∀`)人(´∀`=)
知由が結構ちょろちょろっと倒してたんで伝わりにくいですが、そろそろゾンビと戦う大変さが伝わるかと...(汗)
「ったく!知由と違って俺はこういうの慣れてねぇんだよ!」
そう叫びながら鉄の棒を振りかざし、ゾンビの頭を容赦なく潰す少年が一人。
金曜に東京へ遊びに行って、羽目を外して電車を乗り過ごした、土曜の朝。少年はやっと地元に帰ってきた。
しかし、待っていたのはいつもの平凡な景色ではなかった。
叫びながら逃げ惑う人たち。それを追いかけ喰らう人たち。街は悪夢と化していた。
「なんだ...これ...」
普段は「ひとりごとなんて気持ち悪い。その癖やめろよ」と、とある仲のいい女友達に言う少年だったが、今回ばかりは言葉を口に出さないとやっていられなかった。
まだ駅の構内には人を喰らう人たちはいないようであったが、ひとり、ふたりと駅に通じる大階段をのぼり始めていた。
明らかに異常事態だが、頭の回転が速いこともあり、ある程度は冷静だった。少なくとも無闇に逃げ惑うことをしない程度は。
構内のファストフード店に、シャッターを下ろすための鉄の棒を見つけると、それを手にして見渡しの良いところへ移動する。
そして、注意深く彼らを観察した。
(あいつら、目ぇ見えてんのか?白目、だよな...?)
しばらく観察していたが、結論は割と簡単だった。いつも隣で友人が覗き込んでいる画面に彼らがいたことを思い出す。
(ゾンビ、か。よく見ればどのゾンビも必ずどこか大きな傷があるな。噛まれた、とかか?いや、でも噛み跡のない奴もいるな...。どういうことだ?)
しばらく考え込んでいた少年だったが
(いや、考えるのは後だ。こういうのはあいつの方が詳しい。とりあえず観れるだけ観ておいて後で報告してみよう)
そう決め、早速連絡しようとスマホを取り出すと、もうすでにその人物から数件着信が入っていた。
そして、発信ボタンを押し、ふと目線を上げると。
「ちっ、来たか」
目の前にはゾンビ。
うめき声をしきりにあげている。
「あーあー、美人さんじゃん。女の子のことは傷つけたくないんだけどなぁ」
"ごめんね?"
心の中で涙を流しながら少年は棒を思い切り振った。
グシャア!!
そして祈りを捧げると、少年ーーー梨蔵咲真は四角い電子機器から聞こえる声の主と会話を始めた。