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無気力JKの非日常生活  作者: CHEB丸
第1章
17/19

〜警察署5〜

「ねぇ、まさか、そんな」


町田が驚愕に目を見開いて由馬に問う


「ちーが好きだから?それだけが理由で人を、みんなをころ...こ、ろしたの...?」


「好き?それだけ?何を言ってるのかよく分からないね。僕はちぃ姉が『好き』なんじゃない、『愛している』んだよ。君ごときがちぃ姉と接してることすら僕には理解できないね」


「っ...」



歪んでいる




「いい、気にするな」

「ちー...」

「精神異常者に何を言っても無駄だ」

「精神異常者?僕が?」


由馬は、ははは、と、陽気に


「人殺しに言われたくないな」



「え?」

咲真と牧野がそう言った時



パァンッ パン



銃声が響く




「サクっ!!」


咲真が撃たれたかとも思ったが、銃口は咲真の眉間から少しはずれ、後方に向けられていた。


「ちっ」


「由馬っ...!」


「なにを勘違いしてるか知らないけど、今は守ってあげたんだけど?まぁ避けられたけど」


「あっ...」

「彩?」


「あぁ、君には見えたのか。なんだろうねアレは。警官ゾンビにしてはあまりに気色悪い気がするけど」


そう言った由馬は銃を構え、咲真から距離をとった。


そして、着ていたジャケットの内側から銃を一丁取り出すと、知由に向かって投げた。


「ちぃ姉なら戦えるよね。戦えなくてもそれで自分の身は守って。使い方はきっとちぃ姉のゲームと一緒だから」


「さ、サクにもあげて」

「駄目だよ」


背後の廊下の先を黒い影がよぎる


「早く!由馬!」

「二度も言わせないで。駄目だ。話している時間と余裕はちぃ姉にはないんじゃない?ほら、早く逃げるか戦うかしないと」


パンッ ドパパンッ


廊下に得体のしれない物体の血が飛ぶ


もうその影はそこにはない



「ーーー殺されちゃうよ?」


「ちっ」


そして知由もみんなを庇うようにして銃を構えた。そのときーーー


廊下の先からそれは飛び出し、天井や壁をつたいながらこちらへ向かってきた。


警官の服をきた、2つの頭に長い尾を持つ生物が。


「!?」

「きゃぁあ!」

「みんな私の後ろへ!!」


パァンッ パンッ ドパパンッ


「効、かない...っ!?」


そしてそれは知由の目の前に。


知由に見えたのは喉の奥。




「ちー!!」





ガッ ボギボギッ



それは思い切り噛み付いたーーー


知由を押しのけて前へ出た咲真の肩へ。


「っ!!!」



「さ、く.....?」



「がぁあぁぁあぁあああ」



咲真の肩から口を離し、地面に倒れこんだ向かいに見えたのは両手に刃渡30センチほどのナイフを構えた由馬。


「逃げるよ。僕も初めて見た。頭一つ切り落としてもまだ死んでないみたいだし、今はそいつと戦うリスクは負えない」


そう言って由馬は非常階段の方に向かって走り始めた。


頬に汗を流す咲真も気を失うことなくうなづいて走り始めた。

牧野と町田も咲真に気を配りながら走り出す。


知由だけが呆然と立ったまま、その場から動かない。



「ち、よ!!早くしろ!逃げるぞ!牧野!知由を連れてこい!」


「櫻田先輩!」


戻ってきた牧野が勢いよく知由の手を引っ張り、非常階段に向かって走り出す。




知由の足取りは拙く、重かった。







"お姉ちゃん!!"


叫ばれてはっとすれば、目の前には、庇うようにして前に立つ少年。


そして、生暖かい液体が知由に降り注いだ。



一瞬でも忘れることのない過去の記憶が、知由の視界を埋め尽くしていた。





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