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無気力JKの非日常生活  作者: CHEB丸
第1章
15/19

〜警察署3〜

忙しくて期間が少し空いての投稿になりました(^◇^;)


今回もよろしくお願いします( ´ ▽ ` )



ー警察署8階ー


ガ、ゴン


8階に続く扉がゆっくり開く。

そこから顔がひょっこり覗く。


「ん、大丈夫、見た限り何もいない」


知由を先頭に、町田、牧野、咲真の順に武器庫の捜索を始めた4人だったが


「不気味なくらい何もいないな」

咲真がふと言葉を漏らす。

「だな。一階をやった奴もここにいる可能性が高いな...。武器庫はこの階にあるはずなんだけどなぁ」

知由は疲れがにじむ声でそう言った。


しばらく歩いても武器庫は見つからず、ゾンビ一体さえそこにはいなかった。


しかし、牧野が先ほどから落ち着かない様子で周りを見渡している。

それに気付いた知由が牧野に話しかけた。

「牧野?どうした?」

「あっ、えっと...」

牧野は1年生、後輩だった。いつもとても頭がキレる後輩だった。ーーーそしてこの時も。

「少し気になっていたんですが、これ、なんですか?何かを引き摺った跡のように見えるのですが...」

知由は、そう言われて初めて床に視線を落とす。

ずっと周囲を警戒していたため、下に視線を落とすのはこれが初めてだった。


そこには、何かを引き摺ったような跡ーーー血の跡が付いていた。


見れば、廊下の先に続いている。


「行ってみよう。面倒な相手なら早めに始末しておいた方がいい」





「おぇえ....」

「牧野くん、大丈夫?」

「町田先輩...すいません」


それは嘔吐しても仕方ないと思えるものだった。知由と咲真でさえ平然と見ることは出来ず、口元を押さえ眉を顰めている。


たどり着いた先は外へと通じる非常階段の前だった。

そして、そこには、身体中食い荒らされた警察官であろう男性の死体があった。


ゾンビとなり動くことも出来ないほど、原形を留めていなかった。


「人が人を食べてるなんて...ほんと気色悪ぃな」


咲真がそう言い、同意を求めるように知由を見るとーーー青ざめた顔をして死体を見つめていた。


「ははっ、なんだお前、さすがに参ったか?可愛いところもあるんだな」

そう言って茶化す咲真だったが、普段であれば睨むなりするものの、知由は相も変わらず青ざめた顔をしている。


「知由?」

「....ぅ」

「え?」



「違う」



「違うってなにが...」

知由は咲真の言葉を待たず、死体をまたいで外の非常階段へと出る。

「1階...」

その非常階段は8階の外から1階へと続いていた。


「知由....?」

咲真は瞬時に気付いた。


何か、良くないことが起こっている、と。


そして知由は来た道へ走り出す。


「知由!待て!落ち着け!おい!!...ちっ、なんなんだよぉお!町田、牧野、急いで知由について行け!後ろに俺がいるから大丈夫だ!急げ!」




知由は走る。

ただ、もうひたすらに。

ーーー己を責めながら。



ダメだ、違う、あれは、ゾンビじゃない 生きていた きっとあの人はあそこに着いた時点ではまだ生きていたんだ生きたまま引き摺られておそらくアレをやったのはあいつらだどうして気がつかなかったんだろう気がついていたらもっと早くハヤクいやその前だイソイデどうして側から離れてしまったんだろう守ると約束したのにハシレ甘かった死ぬ覚悟?1番できていなかったのは私だタスケナイト心のどこかで大丈夫だと思っていた 最悪の状況だって考えていたはずなのにマタ私のせいだ 私が間違わなければアノトキミタイニもし もしワタシノテデ本当に推測があっているなら 急がないといそいでみんなのもとへいかないと みんな


みんな





『 み ん な 死 ん で し ま う 』




コ ロ シ テ シ マ ウ







知由は汗で滑る手で業務員用階段の扉を勢いよく開けた。


「きゃっ!!」


開けたと同時に胸に飛び込んできたのは自分より少し小さい女の子ーーー倉持まな。

「まな!?みんなは!?」

「知由ちゃん!みんなが!警官ゾンビが隠れていたって!よくわからないやつもいるって!助けて!みんなが死んじゃう!」


「はぁ、はぁ、ちー!」

「あぁ、まな、彩と一緒にいて。私は、今すぐ下にいかないと」


「知由っ!待て!俺も行く!」

咲真が階段の扉に着いた時はもうすでに知由の姿はなくなっていた。

「いつもいつも、置いてくんじゃねぇ、よ!」

「私達も行く」

咲真は彩の目を見て、黙って頷いた。




「はぁ、はぁ」

知由は階段を飛び降りながら駆け下りる。

そして、4階と5階をつなぐ踊り場にたどり着いた頃、ふと足を止めた。


(いる)


4階の扉の前にソレはいた。


(間に合わ、なかった。死んでしまった。


殺してしまった。 私が。)


ソレは人を食べていた。

食べる部位を移動させた際に、ソレの体で見えなかった顔の部分が見えた。見えてしまった。


「っっ!!!」


知由は叫び声をあげそうになるのを寸前のところで抑えた。

(み、や、もと.....)

知由がフラフラと、ソレに近づこうとしたその時、上から駆け下りてくる音が聞こえた。


そこでやっと、知由は冷静になることができた。


出来てしまったーーー仲間が殺されたのに。



上から来た咲真達を手で制すると、人差し指を立て、上へ戻るように指示した。

そして、知由も静かにその場を離れようとするとーーー



キィイィン



「あっ...」



牧野の持つバットが手すりにあたる音だった。


知由が瞬時に振り向くとーーーソレは知由をじっと見ていた。


「走れ!!急いで!!扉に入れ!!早く!!」



四人は走る。


(まずいっ、追いつかれる)


知由は後ろを振り返ると思い切りスイングした。

「キャウンッ!」


そしてまた走る。


振り返り、殴る。


そしてまた走る。


それを繰り返し、やっとの思いで8階の扉に駆け込み扉を閉めるとゴンゴンと扉に体当たりする音が聞こえた。


(一匹しかいなかったのが幸いだな...)


「知由...あれ、なんだ...」

「あれは」


咲真の問いに応えようと顔を上げる、と


右側の廊下の先にソレはいた。


「みんな、左側へ」

「ち、ちー...」


左側から町田の声が聞こえそちらを見ると


そこにもソレが


(あぁ、嘘だろう...?)


後ろからは相変わらずゴンゴンと


左側にも 右側にも



「あれは、なんだ?」

咲真が問う



「サクが大好きな"ワンちゃん"、だよ」



知由が自嘲気味に笑い、バッドを構えた


ワンちゃんーーーケロベロスが唸り声をあげ、今にも走り出そうとしたその時



パァンッ パンッ



ドサッ


左側にいたケロベロスが鳴き声を上げる間も無く地面に伏せ、動かなくなった。


「えっ?」

咲真と町田と牧野は何が起こったか分からず知由を見る。

すると知由は今にも泣きそうな顔をしていた。


「このタイミングでお出ましかよ...」


コツン コツン と廊下の角の先から足音が聞こえる




「精神異常者様のご登場だ」





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