武器と防具
よろしくお願いします。
「わ、ワカリマシタ………。ど、どうぞ…」
ボクはお尻を隠していた手を離し、胸の下で腕を組むことで豊かな胸を更に強調しながらぐっっと前に突き出すと、小人さんは「では…確認させていただくぞい」と指を近づけてきた。
ボクの胸に向かってくる小人さんの小さい手を見ながら、「これはお医者さんの治療みたいなもの」と、何とか気を紛らわす。
ぐにゅんっ
「…おおッ!!?」
なんと、小人さんの指がおっぱいに触れるや否や、そのまま胸の谷間に吸い込まれるように突っ込まれてしまった!
「ひっ!? な、なんで? 突くだけって言ったのにっ!?」
「なんじゃ、この尋常でない柔らかさと弾力は!? こんなモン、わしゃ知らんぞっ!?」
小人さんの小さな手がボクのおっぱいの間でワキワキしているッ!?!?
おっぱいの間で小さいモノが蠢いている感覚が何とも気持ちが悪い!
ボクは「止めて…ください」と懇願したんだけど、小人さんは「気が散るで、黙っててくれんかのう。黄金細工の取引がのうなってもよいのか!?」と、ボクの胸を堪能するのに夢中になってしまっている。そしてその様子を見ていた他の三人の小人さんたちが「なんじゃと?」「ワシにも試させろ!」とボクに群がってきた!
四人の小人さんの合計八つの手が、ボクのおっぱいを突いたり揉みしだいたりしている。
「ほっほう…。何という揉み心地じゃ…。いつまで揉んでも飽きんわい…!」
「もう…やめ…。ッ!?」
「こんなにもちもちしておってからに…。これは小人族を邪なる道に引きずり込む魔性の乳。…なんというけしからん乳じゃ」
「ううっ。ならそろそろ終わりにして…。もう…耐えられ…な、うぁッ!?」
ボクは手を口元に当てて必死に声を抑える。
「そうはいってもお主の肌理細やかな肌質…乳が吸い付くようでの。我らの手を咥えこんで放さんのじゃ。文句があるなら自分の乳に言ってほしいわい!」
「…おおっ。こんなにも柔らかいのに、弾力と張りでワシの手を押し返してきよる…! どうなっとるんじゃ!? …うむむ。もっと研究せねば!」
「た、助けっ。…と、トールさんっ。聞こえてないのっ? ……とー…トールお姉さまぁぁっっ!」
ボクは隣に座るトールさんに助けを求めると、トールさんは「んまっ。そんな脂肪の塊なんて邪道よっ」とドレスを開けてサイドチェストを見せつけ始めた。トールさんの大胸筋がプルプル震えているけど、それにつられて胸毛がふるふるしていて正視に絶えない。
彼の周囲だけ、さながらボディビルの品評会と化していたので、ボクの危機に気付いていなんだ。
他の小人さんたちが彼を取り巻きながら「ナイスカット! ナイスバルクじゃ!」「カーフでかいの!」なんて意味不明な歓声をあげていた。
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「…やめてって、言ったのに…。それなのに…。ううっ」
小人たちによるセクハラ行為。
ボクの胸は…突かれたり撫でまわされたり揉まれたりしてしまった。
そしてボクの前には例の四人の小人さんたちが小さなカラダを更に小さくして反省しているようだ。
「つい夢中になってしもうて…すまんかったのう…。お詫びに嬢ちゃん…ジエラじゃったか? ジエラ嬢ちゃんの望むアイテムを創ってやるで、勘弁してくれい」
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そして出来上がった品は黄金の首輪だった。
かなりシックなデザインの金細工で、黄金の炎が燃えているような『黄金の首飾り』と比べると、どちらかっていうと地味だけど、とても丁寧で瀟洒な造形に…正直いって一目で気に入ってしまった。
それこそカラダを弄ばれた精神的ダメージが消えてなくなっちゃうくらい。
小人さんの説明によると、ボクの髪の色、肌の色を自在に変えることはもちろん。瞳の色も変えられるとの事だった。
「…ところで嬢ちゃんの腕輪…。ワシらが昔作った腕輪じゃな。見たトコロ、“無限に腕輪を産みだす”効果が“無限に防具を産みだす”効果に改造されているみたいじゃが…。武器の方はどうなっておるんじゃ?」
そう言えば、フッラさんが武装については用意してくれるっていってたから大丈夫だと思うけど…。
でも西洋風(?)の武器なんだろうな。
マンガとかに出てくる長剣とか刺突剣かな?
ボク、生前は師匠に色んな武器を教えてもらったけど、フッラさんは女神様だし、ボクの全く知らない形状の武器だったらどうしよう。
ちゃんと使えるのかな…?
「………」
ボクが考え事をしていると、小人さんはそれをボクが落ち込んでいると勘違いしたんだろう。ちょっとオロオロし始めた。
「すまんかったの…。嫁入り前の嬢ちゃんを弄りまわしてしもうて…」
「だからワシはあれ程止めておけっていうたんじゃ」
「ナニ言っとんるんだお主!? この布が捲れんとかいいながら必死こいて手を奥へ奥へ侵入させようとしとったではないか!」
「ああ、すまんのう…。こんな小さな金細工なんかで誤魔化そうとしてしもうたわい。お主のようなキレイな娘を傷つけてしもうた詫びに、その首輪にお主が望む新たな機能を付加するでな。フレイヤ嬢ちゃんの仕事をしっかりと果たしてきてくれ」
………ここは小人さんの勘違いに便乗させてもらおう。
「…えーっと。ボクが慣れ親しんだ武器っていうか、知っている武器が欲しいんですが?」
自分で言っておきながら曖昧な注文だな。でも小人さんたちはあっさりと引き受けてくれた。
「お安い御用じゃ!」
「首輪に“ジエラ嬢ちゃんが想像する形状の武器を産みだす”機能を付加させてやろう! 新たな武具も後から収納できるようにしておくぞい。取り出す時は望む武具を念じながら『勝利』と唱えるがええ。じゃが、腕輪が創造する武器には…そうじゃな、“壊れない”という特性を付けようか。刃毀れとは無縁。メンテナンスも不要じゃ」
「おお…。何と欲のない娘じゃ。ワシらの無礼をこれしきの事で許してくれるとはのう…」
……。
“これしきの事”……?
「…ボク…、ボク…。大切な任務の前にこんな事されちゃって…。あんなに弄りまわされて…心傷になっちゃった…。…こんなんじゃ……任務…失敗しちゃうよぉ。…うええぇっ」
「わーーーっ! スマン、本当にスマン!」
「嬢ちゃん、泣かんでくれい! おい、機能を更に追加じゃ!」
「うむ。ワシらは鍛冶の一族じゃ。世界樹を通じて様々な世界の武具を熟知しておるんじゃ! それこそ人間が使う名剣や伝説級の武器のみならず、神剣、聖剣、魔剣。無論、剣だけではなく、それこそ槍だろうが斧だろうがなんでもござれじゃわい!」
「嬢ちゃんの首輪から、あらゆる武具を本来の能力と同等の複製品として産みだせるようにしておくでな! しかも本物に付いとる呪いは外した状態でじゃ! フレイヤ嬢ちゃんの任務がどれ程大変か知らんが、これで失敗するはずはないぞい!」
「神々や悪魔共の武装はワケの分からん権能が満載じゃからのう。使用する際にそれらが理解出来るように取説が頭に思い浮かぶようにしておいたわい!」
……。
なんだかトンデモナイことになってるぞ。
『あらゆる神や悪魔の武装を自由に創造できる』って何だよ?
これって大丈夫なのか心配になってきたぞ?
この辺を落としどころにしておかないとボロがでちゃうな。
ボクは精一杯の笑顔で小人さんたちに微笑んだつもりだったけど、さっきまで泣いた振りをしていたから、泣き笑いっぽくなっちゃった。
「…えへへ。弱気になっちゃってゴメンなさい。励ましてくれてありがとう。ボク、小人さんたちの協力も忘れないで、異世界でガンバルから…!」
ボクがそういうと、小人さんたちは感涙でむせび泣いてしまった。
「おお…なんという健気な娘じゃ」
「わしゃあ…ジエラ嬢ちゃんのファンになってしもうたわい!」
「…よし、嬢ちゃんのためじゃ! これから首輪にさらなる加護を付加するぞい!」
…なんだか小人さんたちがブツブツ言いながら首輪に更に何らかの能力を付与してくれているみたいだけど、ハンマーの音がカチンカチンと鳴り響いていてよく聞こえないからわからない。
それにしても黄金の塊にハンマーを振り下ろしているだけで、よくあんな細かい装飾品が創れるものだと感心してしまった。それに「ナニしてるんですか」って聞いても小人さんたちは「ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ、お守りじゃよ。ジエラ嬢ちゃんが無事に帰って来れるようにな」と、笑っているだけだった。
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来た時と同様にトールさんの山羊車に乗ってフレイヤ達の待つアースガルズの城館に向かっている。
ボクの首には小人さんたちに創ってもらったシックな首輪が光っている。
実際に装着して手鏡で確認してみたら、自分で言うのもなんだけど凄く似合っていた。
「えへへ♡」
「あらぁ、ジエラちゃん、ご機嫌ねぇ? そんなにその首輪が気に入ったのぉ?」
うっ。
いけないいけない。ボクは男らしくならなきゃいけないのに、こんなアクセサリーでニヤニヤしてちゃダメだよねっ。
「ち、ちがいますよっ。ほ、ほら、フレイヤが注文した『黄金の首飾り』を受け取れたじゃないですか。フレイヤ、喜んでくれるかなって」
「あらン♡ 仲がよろしいコト♡ ごちそうさまぁん♡」
ボクはトールさんと談笑しながら小人さんとの会話を思い出していた。
「……ジエラ嬢ちゃん。嬢ちゃんの創る壊れる事のない武器はのう、ワシらがいうのもなんじゃが規格外じゃ。いくら無制限に産みだせるとはいっても無闇にばらまかんでくれよ?」
「うむ。それに神々らの武装は嬢ちゃんしか使えんように制限をかけておいた。あんなのが人間界で流通したらトンデモナイどころか世界の一つや二つ滅んでもおかしくないわい」
確かに壊れない武器や神様たちの武装って凄いよね。
こんなのを無制限に産みだせるなんてコトがまわりに知れちゃったらゾッとしちゃう…。
で、でも、世界を滅ぼせる武装って…。
そんなのをボクみたいな戦乙女が持ってていいのかなぁ?
ま、まぁ、未来のネコ型ロボットさんも地球破壊爆弾を持ってるくらいだし、気をつければ大丈夫だろう。
着々と準備が整っている。
最初はどうなるか心配だったけど何だかワクワクしてきたぞ!